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ハチャメチャ魔王  作者: 火憐ちゃん
個人編
51/110

魔王と盗賊とニート

お気に入りが30件超えました


ありがとうございます


飛影と静紅がこの世界に来てから3日


「お茶が美味いわね~」


「煎餅も上手く作れたな」


飛影と静紅は向かい合うように正座で座りお茶を飲んで煎餅を食していた


場所は城の飛影と静紅に割り当てられた1室


全く移動していなかった


あの後アニスを同行させようとしたが、飛影の暴走のせいで警戒されていて連れていくことが出来なかった。


なら同行するまで私達はここに住むわと静紅が宣言


そして現在に至る


静紅の狙っている宝は城の宝物庫にあるため、ぶっちゃけるとアニスを同行させる意味はあまりない


一番手っ取り早いのは脅して開けさせることであるが、それはスマートではないと静紅は考える


だが魔王倒したから褒美としてくれ、というのは更に盗賊ではないと静紅は考えている


一番最高なのは飛影に魔法を見させてヘリオトロープで解除することだ


理由としては一番盗賊っぽいという理由


「それで…どうだった?」


静紅は一瞬だけ周囲を警戒し確認する


結果は護衛という名の見張りが廊下にいるくらいである


静紅は眼で飛影に合図をする


《風華》


飛影は風華を発動


風の結界で音が洩れないようにする


「え~と宝物庫の周りには人気は無し、魔術による結界や警報、罠とかもあったな。常時発動してる。まぁ宝物庫の周囲は魔術によるものだからそこまで警戒する必要はない」


魔法と魔術の違いは簡単である


自力で構築しているか、何かの力を借りて構築しているかだけである。


その身ひとつで構築できる魔法と違い


魔術は杖や札などの道具、詠唱や言霊などの言葉、印を組むなどの動作が必要で


簡単に言えば粗悪品である


「次は私ね、宝物庫の中には次元破壊でいけなかったから、層をずらしているわね。次元破壊での侵入は無理そう」


「へ~結構上等な結界だな」


絶対強者級の侵入を防げる結界などそうはない


「ちょっと違うわ!侵入はできるのだけど中の次元も破壊しそうだから侵入できないのよ!」


盗賊として侵入できないという評価は価値が下がる


一応は本当のことである


侵入はできるのだが中が次元ごと壊れてしまうため宝が取れないから侵入できないのだと追加する


「…ぉお」


少し気圧された飛影


(意外と盗賊にプライドあるんだな)


感心してしまう飛影


(ただのアホと思われるのはごめんだわ)


だが実際は盗賊とか云々ではなく個人的なイメージのためであった


「どうしよっか」


「どうしましょうか」


完全な手詰まり


困ったものだと二人して悩む


「…面倒ね、滅ぼそうかしら」


パッと気まぐれででてきた言葉


「宝取れなくね?」


そのこと自体には驚くことはない飛影


そんな気まぐれで世界が滅ぶのは珍しくもない


だが今回は滅ぼしたら目当てのものが盗れない


それだけが問題である


「はぁ面倒ね」


再び同じ台詞を溜め息とともに吐き出す


「名案が浮かばないわ~…飛影君があの時暴走しなきゃ上手くいってたかもなのに」


ついカッとなった飛影


「…すまん」


謝ることしか出来なかった


言い訳のしようがない


「まぁシーレイちゃんじゃないのだから結果はもしなんて考える意味がないのだけれど」


「…何が望みだ」


何か言いたそうである静紅


飛影は溜め息しかでない


「あらあら~なんか悪いわね~とりあえずクロイツ3つでいいわよ」


「…意外と高い」


飛影はコートのポケットから手のひらサイズの水晶を3つ取りだし静紅に投げる


「へぶ!」


二つは両手を使いキャッチしたが最後の一個が顔面キャッチであった


クロイツ


使用法は魔力を込めて割るだけ

効果はその込められた魔力の持ち主は10分だけ魔力探知に引っ掛からない


逃げるのに適している道具である


そこそこ手に入らず希少価値ではないが一応はレアな物である


「アホ」


「う~飛影君が3つもいっぺんに投げるからよ~」


傷がついていないことを確認して静紅は着物の袖に仕舞う


「さて、暇だ」


「あら?そろそろじゃない?」


「あ~ホントだ」


静紅も飛影も異世界に移動しようがなんだろうが正確すぎる体内時計を所持している


時計も見ずに日の傾きすらも関係無しに体内時計だけで判断できる


コンコンと控え目なノック


「飛影君…わかってるわよね?」


「わかった」


静紅から発せられる圧


これからやることをキチンと理解しているわよね?とヒシヒシと伝わる


飛影は頷き深呼吸をする


「どうぞ~」


微笑んで招く静紅


入ってきたのは銀髪金眼の14歳程の少女


アニスである


「…」


アニスは黙ったまま飛影をガン見する


飛影が暴走してから毎日同じ時間に訪ねてきて飛影にフルボッコ(言葉の暴力)される


だが懲りずに毎日毎日来る


最初は飛影も微笑んで話しかけるのだが、しばらく(5分)話しかけるとキレることを繰り返している


「今日はなんの用だ?」


ニコニコと不自然なくらいの微笑みを浮かべる飛影


静紅はお茶を持ってこようと立ち上がる


飛影は内心転ぶだろうなぁと思いながらも止めない


「…」


アニスは口を開かずに空中に魔法で文字を描く


「あのな…俺は字が読めないから話してくれなきゃわからないんだよ」


ニコニコとした微笑みから少し頬がひくつく


「…」


再び文字が描かれる


眼に敵意は感じないが喧嘩を売っているように飛影は感じる


「お茶持ってきたわ~」


微笑みながら静紅が戻ってくる


「早よ喋れや」


「はやっ!!!!!!?」


まだ二分しか経っていない筈だが軽くキレている飛影に驚く静紅


「飛影君おさえ…」


飛影を止めようとした静紅がむんずと裾を踏む


「あら?」


そのまま後ろにすってんころりん


お盆に乗せたお茶(熱々)は飛影とアニスに一個づつ襲いかかる


「アホ」


「…!」


飛影は見ずに容器を掴みお茶を溢さないように回収して口に運ぶ


アニスは突然のこと動けずにお茶を被る


何故かこれでもかという程沸騰しているお茶


大火傷に失明は確実である


また肌にも後遺症が残るかもしれないほどである


「…ぁぁあ!!」


熱さに驚き、叫び声が上がる


物理的に喋れないのではなく精神的なものならば叫び声程度ならいつでも出せるのだ


感情が無いのではなくただ喋らないだけなのだ


「なんだ…喋れるじゃん」


ニヤリと笑う飛影


立ち上がりあまりの熱さに暴れるアニスの両肩に優しく手を起く


「落ち着け…大丈夫だ」


飛影はクシャクシャと柔らかいお茶で濡れていない髪の毛を撫でてやり真っ白な火傷を負っていない頬を軽く叩く


「…」


正気に戻るとどこも火傷していないどころか濡れてもいない


人間は思い込みが激しい


例えば熱していないアイロンに触れて火傷することがあげられる


飛影は風華を発動してアニスに薄い膜を張った


そうすることで怪我を負わないようにし、沸騰しているお茶を被ったと錯覚させたのである


飛影が静紅が転ける際に思いつき実行した


見事成功し完全に喋れなくなったことではないと理解する


「もっと喋れば楽しくなるぞ。人間として生きろよ…まぁ最初に比べれば幾分かましな面になったな」


「…」


再び黙るアニス


飛影を鋭い目付きで睨み今度は文字も描かず黙ったまま退室する


「また怒らせちゃったわね」


「らしいな」


「難しいわね~」


「思春期だからな」


おっちゃんはわからんよ~と外見高校生の実年齢277歳がお茶を啜る


「そうね~私もわからないわ」


おばちゃんは辛いわ~腰にくるわ~と外見高校生~大学生の実年齢不明もお茶を啜る


絶対強者級から見れば若い部類に入る二人


だが時々誰よりも年寄りになる二人である


「あ~暇だ」

「あ~暇ね」


やることが全く無い飛影と静紅


全てはアニス次第である


まずはアニスと嫌われても構わないからコミュニケーションを取ることが必要である


ありがとうございます

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