波乱
トーナメントが終了しましたので、新章的な感じで
「それでだ…」
現在の状況
武器を持った騎士風な鎧をまとった集団に囲まれ槍を向けられている飛影と静紅
さすがに事態が把握できなかった飛影
「これはどゆこと?俺暴れていいの?」
静紅に拉致されたのは飛影にとっては別にたまにあることで
静紅の仕事(盗賊)の手伝いであるとは思っているが
少しカビ臭い
神聖な魔力で包まれているこの部屋
別にそこまでなら飛影は笑いながら事情を説明してくれと言う
だが今の状況は武器を向けられている状況である
しかも飛影が見た感じで普通の人間に
飛影は普通の人間が嫌いである
嫌いというよりもゴミに近い
リーべのように家畜のような存在だと感じている
そんなゴミに敵意をぶつけられ
更には武器を向けられている
飛影にとってはゴミが喋ってお前ゴミだなと言われているような舐められているものである
飛影は特別気が長いわけでも穏便なわけでもない
ぶっちゃけていえば今ここで全員殺しても構わないと考えている
「あ~」
飛影のそんな気持ちがひしひしと伝わってくる静紅
少し微笑みが苦笑になっている
「とりあえず、話は私がするから飛影君は話を合わせてくれるかしら?」
唇だけ動かす静紅
それだけで飛影には伝わる
「了解」
飛影も同じように唇だけ動かし、応答する
僅かな時間だが方針を決めた
飛影は一歩下がり静紅を前に押し出すような位置に待機する
「さて…いきなりこの状況って少し失礼じゃないのかしら?」
少しだけ
僅かに不快を表すように敵意を放出する静紅
僅かであるが絶対強者級の敵意
騎士達の持つ槍が震え、一歩下がらせる
すると空間に文字が走る
飛影と静紅には理解できない文字であった
だが騎士達はそれを見ると飛影達を囲んでいたが、人一人すんなりと通れるように穴を空ける
そこにいたのは少女であった
外見は14歳程
儀礼服のように純白の服に身を包んだ銀髪金眼の少女
静紅は横目でちらりと飛影を見る
面白いものを見つけた表情で飛影は少女を見ていた
再び空間に文字が現れる
何を書いているかはわからない
騎士の中でのリーダ格の人物がその文字を読み上げる
二人にとってはそんなことはどうでもいい
飛影はゴミの言葉など聞かずに少女から眼を逸らさない
静紅はその飛影の反応を見て少女が本物だということを理解し、微笑む
静紅が飛影を連れて次元を移動した理由はあるお宝を盗るためである
第一段階の飛影拉致は成功
第二段階の少女判断も成功
順調である
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「秋野さん!!大変だぁ!!」
ドカンと勢いよくドアが開く
現在授業中である
「!!?」
なにかデジャブを感じた秋野
教師は一瞬飛影かと思って身構えるが来訪者は火月であった
飛影の罰ゲームとは違いどこか焦った表情
何事かとクラスの全員が騒ぎだす
「ちょっとすいません」
秋野もすぐに立ち上がり教室を出る
「どうしたの?」
ただ事ではないのは理解できた
「これなんだけど」
火月は手に持っていたものを秋野に見せる
「げ」
厄介事だった
それも超がつくほどの
火月が持っているのはビー玉のような球体
赤いビー玉のように見える
だがそれはセンサーなのだ
危険な気配を感じると色が変化する
透明
赤
金
の3種類の色があり、
透明が普通
赤がけっこう危険
金が死ぬほどの危険
飛影の知り合いで絶対強者級ではない者に支給されている
飛影が言っていた台詞では
透明は大丈夫
赤は近くの絶対強者級に知らせること
金は焦って急いで直ぐに即行で絶対に何が起きててもその場に絶対強者級がいる場合でもいない場合でも屋敷に行くこと
である
「それで、他の誰かには伝えてる?」
最初が自分ということはありえないだろうと秋野は考えている
「んと一応校長先生とかリタさんとか探したけどいないんだよな~、彗さんはいたから協力してもらってる」
秋野が視線を少しずらすと少し離れたところに彗がいた
「今の状況として、何故か絶対強者がいない。そして赤色かなりやばい状況だ」
さすがに年下の教室へは乱入できなかった彗
現在絶対強者級はいない
まるで留守中を狙ったかのように、危険である
「火月が気づいたのは中学の校舎、んで俺のも赤色だからこのままだと確実にこの学校自体が危ない」
中学の校舎と高校の校舎は同じ敷地内だがすこし離れている
その二つの校舎で赤になったならば学校自体の危険があるということである
「どうします?」
「どうすんだ?」
秋野は普段は彗と話すことはかなり難しいが、今はそんな雰囲気でも無い、メリハリがある秋野と手伝う気満々の火月
「とりあえず、犠牲者が出た瞬間に今はあいつらがいないからかなりヤバイ、表沙汰になる可能性があるからな、原因を探す。倒せそうだったら倒すし、やばい場合は俺が足止め、佐藤達はなんとかして助けを呼ぶってところだな」
「オッケー!!」
元気良く返事をする火月
彗と秋野で原因を探しに行き一人でいる火月が襲われた場合を考え共に行動させる
「…」
だが彗が一人で足止めするというのがかなりの危険であり、秋野は頷くことはできない
「まぁ絶対強者級じゃないことは確定してるからな」
少し微笑む彗
心配するなという表情である
絶対強者級である場合は金に色が変わる
「探索開始だ」
「はい」
「うっす!」
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「お邪魔するわね」
東東高校
保健室
椿があまりにも暇すぎてベッドで寝転がり本を読んでいた時であった
誰かと思って椿が顔をあげるとアユリがいた
いつも通りにスーツを着用してピシっとしている
「?どうしたの?」
非常に珍しい
アユリが単体で人間界に来ることは珍しくはないが
保健室にしかも飛影以外に会いに来ていることが珍しい
「あれのことよ、貴女…飛影様の魔法使ったじゃない。そのことについて話を聞きたいと思ってね」
同一の魔法は存在しない
指紋などと同じで魔力が人それぞれ絶対に異なるのである
そのため、魔力の性質上同じような魔法でも決して同一にはならない
飛影と同じ炎の魔法使いでも飛影のように黒炎を造ることはできない
そのため、飛影のヘリオトロープが異質すぎるだけで同一の魔法を使用することは不可能である
にも関わらず椿は飛影の魔法を使用した
「あ~」
すっかり忘れていた椿
(そういえば説明するって言っちゃった)
「まぁいっか!…かなぁ~~~~~り長くなるけど大丈夫?」
「…何時間くらいかかるの?」
椿の言い様
本当に長くなりそうだと察知する
「本気で語るならば100時間くらいは必要かも」
「うぇ!!?」
想定外すぎる
予想では2時間とかだと思っていたが予想の斜め上どころか遥か天井を突き抜けて地球外まで行ってしまった
「軽めに語るなら2時間くらいかな?」
椿と飛影の過ごした年月は270年以上
確かに本気で語るには100時間は掛かるが、本当に重要な箇所だけを抽出すれば2時間でなんとかレベルである
「なんでそんなに長いの!!?」
「だってあのこと話すにはちゃんと順序を追って説明しなきゃ意味不明だと思うよ。あと面倒だからここでは話さないし」
あの後アユリだけでなく黒鋼以外の全員から聞かれていたことを思い出す
それだったら家に集合して話した方が楽なのだ
「…まぁ、今日の仕事は終わらせてきたから大丈夫だけど…」
「ありがと~、どうする?あと2時間くらいは待機してなきゃダメだけど、先屋敷行ってる?」
「ん~ここにいるわ、こういうところ初めてだし」
アユリは当然ながら学校に行ったことはない
初めて学校というものを知ったのが最近である
(あ~だから、さっきから目移りしてたのか~)
キョロキョロと挙動不審とまではいかないが、まるで田舎者が都会にきたかのようなリアクションであった
「もしよかったら案内しようか?」
「お願いします!」
返答は速かった
・飛影と静紅の異世界騒動
・彗と秋野と火月の学校騒動
・飛影と椿の過去話
こんな感じですかね。
順番的には
2,
1,
3,
って感じです