トーナメント決勝戦
誰も予測できない終わり方です。
[さぁ!!いよいよこの最強を決める戦いがクライマックスになりました]
会場の観客は今まで以上に集まっていた
立ち見の観客が増えて熱気に包まれている
[まずは、天界の魔王補佐…最硬を誇る氷を統べるもの、最強の悪魔アユリ選手!!]
今までと形式が違いゲートが作成されており、ゲートが開きアユリが入場する
足取りはフラフラとしていて顔は真っ青である
「…頭痛い、気持ち悪い…」
少し歩くとその場に座り込む
完全な二日酔いである
[そして、最強の吸血鬼…無限に近い再生力を誇る鬼、リーべ選手!!]
再びゲートが開く
対するリーべもフラフラとした足取りで完全に疲労が溜まっている表情である
「疲れたわ…」
昨日一日中リタと殺しあいをしていて体力は限界、魔力もほぼ底をつきかけている
リーべも少し歩いてから座り込む
二人とも決勝戦が始まる前からぐったりしている
[え…と、両者脱力してますね。とりあえず、オッズの発表です]
リーべ 2.0倍
アユリ 2.0倍
同じオッズ
二日酔いVS疲労困憊の戦いが今始まる
[試合開始!!!]
まず先に仕掛けようとしたのはアユリである
《魔氷・アイスふぃ》
「頭痛い」
魔法を構築する途中で吐き気と頭痛により魔法の構築を失敗する
「チャンスね」
リーべが頑張って立ち上がり爪を伸ばした右手で振り下ろし衝撃波を放つ
つもりであったが
ただ手を上げて下げただけとなった
『…』
一同ある意味で絶句
オイ最強と心の中でツッコミを入れる
これでは子供にも負けそうである
[オイこら!!真面目にやれや!!!!!]
完全復活した飛影
マイクを実況から奪い取っていた
「いえ…これ限界よ」
「わ…私も全力です…」
リーべの原因はリタが作り出し
アユリの原因はダドマが作り出した
飛影は溜め息を吐く
炎舞ではアルコールは分解できるが二日酔いの頭痛は消せない
リーべの体力と魔力の無さはどうにかなるが確実にヘリオトロープが必須になる
[まぁ…頑張れ]
諦めた飛影
「…飛影」
くいくいと飛影の腕を引っ張るシーレイ
「ん?」
「…」
ゴニョゴニョと飛影に告げるとそのまま飛影を枕にするシーレイ
そして
今大会初めてのショボい戦いが始まった
アユリの攻撃
ゆっくりと頭を振らないように体を硬直させながら石を投げた
リーべの頭が吹き飛ぶ
しかし、再生
リーべの攻撃
手拍子
アユリが頭を抱えてうずくまる
[…]
『…』
不毛な争いであると感じ取った全員
「寝るわ」
コロンとリーべはその場で横になり眠り始める
「甘いわ」
アユリは再び石を投げる
まるで子供の喧嘩であるがアユリの投げた石は大砲よりも破壊力がある
上半身が弾けとぶリーべ
もう一投と石を握ったところでアユリはふと気付く
「…」
[再生…しないですね]
リーべの体はまだ上半身が吹き飛んだままである
再生の気配が無い
「…あれ?これ…もしかして…死」
サーとアユリの顔が更に青く染まる
飛影は仲間を傷付けるまたは、殺そうとするやつを生かさない
アユリは飛影の方を見ると無表情である
恐怖しか感じない
「ちょ!!リーべさん!!起きて!頼むから起きてぇ!!」
今は無き上半身
必死に足を揺らす
しかし、返事がない。ただの屍のようだ
[とりあえず…リーべ選手を死に到らしめたため、アユリ選手の反則敗けです]
ガックリと肩を落として敗けを残念がる
なんて余裕は全く無い
(私が普通に飛影様に殺される!もしくは確実に嫌われるぅぅう!)
そしてアユリの敗けが宣言されたところでリーべの血肉が空気中に霧散する
「私の勝ちね」
霧散した血肉の代わりにリーべは再生され復活する
「な!!!?」
吸血鬼であるリーべ
ただの吸血鬼ではなく強力な吸血鬼であるリーべには傷の再生速度をいじることができる
つまり再生させずに放置して、勝ちが決まったら復活する
魔力も体力もほぼ0のリーべが勝つにはこの方法しかないのだ
二日酔いとはいえ魔力はMAXのアユリには音程度しか攻撃することができない
時間をかければ二日酔いが治ってきてリーべは確実に負けていた
[うっわー搦め手使ったな~まぁリーべの優勝だ]
唖然としている全員
飛影はシーレイにこの事を聞いていたため、驚くことは無い
「ちょ…卑怯よ!!って頭が」
自分の声の大きさで自爆したアユリ
「ふ…勝てばいいのよ勝てば」
勝ち誇った顔のリーべ
[…最強決定戦!!優勝はリーべ選手です!!!!!!]
歓声もない
まだ唖然としていた
というわけでリーべの優勝です
恐らくこんな優勝の仕方は予想していなかったと思います
飽きたわけではなく前話ですでにこの構成を練ってました
読者の予想を裏切るにはやはり斜め上にしなければということでこうなりました
次でトーナメント終了です