飛影VSギルギア
ついに40話突破
アクセス20000超えました。
ありがとうございます。
[さあ!本日最後の試合…魔界の魔王飛影選手VS人間界の魔王補佐ギルギア選手の試合となります]
[この戦いは面白いぞ!!攻撃力最強と接近戦最強の戦いだ]
飛影は試合に出るため、ダドマが代わりに解説役をかって出た
「酷いよ飛影…」
飛影の武器である黒鋼
拗ねたように寝転がっている
ギルギアと戦う際に黒鋼が元気良く準備を始めていたが
やっぱ大丈夫と飛影が断ったせいである
先程から武器なのに…使用されない武器って一体…と嘆いているがもうあまりにも哀れすぎて誰も見ることができない
そんな中飛影とギルギアはすでに100m程距離を離し構えもせずにガンを飛ばしあっている
[オッズはこちらです!!]
ギルギア1.6倍
飛影2.3倍
かなりの差で飛影が負けるとの予想が多い
それも当然で飛影はギルギアにあまり勝ったことがないからである
「はっはっは、やはり我の勝ちは決まっておるのう」
「はぁ?なに言ってんだか…」
ギルギアの勝ち誇った顔と飛影の小馬鹿にしている顔
表情は愉快に素敵に変わっているが
眼だけは睨んでいるままである
[それでは…試合開始!!!]
合図と共に衝撃波と轟音が鳴り響き、地面が所々亀裂が入る
しかし飛影とギルギアは構えも取らずただゆっくりと二人して歩いて近づいているだけである
「全く貴様ごときが我に勝てると思っているのならその思い上がりを粉砕してくれよう」
「逆にお前が俺に勝てるって自信はどこから涌き出てくるんだ?それが不思議でしょうがない」
ゆっくりと動きながらそれでも口は止まらない
相変わらず衝撃波と轟音と亀裂は止まない
「貴様と我の戦績を忘れたわけではあるまい」
「あ?579戦210勝369敗だがそれがどうした?」
いつそんな戦ったんだ?と飛影とギルギアを知っている者の疑問
「ほれそれが証拠じゃ」
「今日は勝つ日かもしれないだろ?戦績で全て決まると思うなよ」
「ふむ…それもそうじゃな、しかし貴様はヘリオトロープを使わんのじゃろ?」
二人の距離は残り40m
「まぁな」
「何故じゃ?あれを使えば勝率は増すじゃろ?」
飛影のヘリオトロープはチートである
見たことがあり、名前も知っている魔法ならば使用できる
それはつまりラインの幻想魔境すら使用できるのである
「副作用がめんどくせーのがひとつ」
そんなチート魔法
副作用として使用した分だけ赤子にも捻り殺される程の弱体化時間が延びる
飛影としては個人的にその状態になりたくない
「それと…やっぱりお前には普通に勝ちてえ」
ニヤリと笑う飛影
「ふはは!面白い!」
それにつられギルギアもニヤリと笑う
二人の距離は10m
今までの試合と違い
そして前の試合がリタとアユリの試合で余韻が残っているなか口しか動かしていない飛影達
観客も少し不満が募っている
[すげえな]
しかしダドマは
いや
絶対強者級は面白そうにそれを見ている
[ん?口喧嘩がですか?]
ダドマの感想に疑問を抱いた実況
[んあ?見えねえのか?あいつら適当に衝撃波をぶつけ合ってんだよ]
歩きながら構えていない態勢から拳を振って衝撃波を発生させている
所々の衝撃波と轟音と亀裂はそのぶつかり合いである
[うわ~お…さすがにすごいですね]
[つってもあいつらは準備運動の準備ってところだろ]
そうこうしている内に二人の距離は超至近距離になっていた
二人の距離は僅か50cm
轟音と衝撃波が止んだ
「さて…一つだけ言っておこうかの」
「あ?」
ちょっとだけ休戦ではなく
嵐の前の静けさのような雰囲気に変わる
「我はこの大会の優勝にはあまり興味がない。何でも願いが叶うというのならば貴様の顔面でも殴る程度しかないのでな…」
「すげぇぶっちゃけたな」
「それでじゃ…ぶっちゃけてしまえば今ここで貴様と戦えるのじゃから我はもうどうでもよい」
「つまり?」
「貴様も全力で来い」
ギルギアの抑えていた魔力が吹き出す
飛影は笑いながら頬を掻く
「困った…」
飛影も魔力を解放する
魔力同士がぶつかり合い渦を巻く
「そう言われると本気出すしかねえじゃねえか!!」
嵐が吹き荒れた
小手調べとでも言うように飛影とギルギアは互いの拳を全力で打ち付け合う
鱗にヒビが入る音と飛影の拳が砕ける音が響いた
「はっは!!」
「ふっはははは!!!」
互いに狂喜乱舞
狂ったように笑いながら飛影とギルギアは拳同士をぶつけ合う
飛影は攻撃する度に拳の骨が折れるが次打ち付ける時には大体完治している
ギルギアの鎧はヒビが入るだけで割れはしていない
拳と拳だけのガチンコ勝負
そして同時に後ろに飛ぶ
「お~お~超痛え~」
ぶらぶらと拳を振る飛影
「めんどくさい再生能力じゃの」
同じように拳を振っているギルギア
「ふ~一応俺力だけなら最強だぜ?なのに互角ってひでえ話だ」
「我なんて接近だけなら最強じゃが、自慢の鎧もヒビが入っておる。酷い話じゃ」
互いに溜め息を吐く
《グラビティ・重力砲》
《炎舞・王玉無炎ver》
そして同時に魔法を構築し放つ
ギルギアの手から闇色の重力を圧縮した玉が
飛影の手からは闇色の光すら焼いている玉が
同時に手を離れ
導かれるように攻撃同士がぶつかり合う
二人とも結果を見ないでもわかるといった感じで軽く腕を回したり、屈伸したりと準備運動を始める
そして二人の攻撃はきれいに相殺した
「さて…良い感じ」
「ふむ…」
二人して頷く
[あぁちなみに今までの準備運動な…今からが本番だ]
は?っと観客が驚く暇もなく二人は激突する
《グラビティ・纒》
《炎舞・炎拳無炎ver》
ギルギアは拳に重力を
飛影は無炎を纏っている
先ほどと違い二人して全力で攻撃を避けて防ぐ
馬鹿みたいな攻撃力を持っている攻撃である
喰らえば痛いで済めば良いほどである
「おら死ね!」
飛影は無炎を纏わせた右足でギルギアに蹴りかかる
《グラビティ・天地逆転》
重力が飛影の真正面から襲ってくる
今の飛影にとっては地面はただの壁である
《風華・翔揺》
来ることを予想していたかのように飛影は風で体を浮かせる
「はっ!」
刹那にも満たない時間
飛影は動きを止めてしまった
それは大きな隙となりニヤリと笑いながらその飛影の顔面に拳を放つ
《風華・玄武》
飛影は風を纏う
その風は圧倒的な風力でギルギアの拳を逸らす
ニヤリと笑う飛影
「おらぁ!!!!」
攻撃を逸らされたギルギアは当然隙が生まれてしまう
態勢が不十分だが素手でギルギアの鎧を砕く飛影の拳にさらに無炎という強力な炎を纏わせた一撃
「甘いわ!」
《グラビティ・斥霊》
ギルギアの周囲に斥力が発生する
飛影の攻撃が押し返される
双方共に一撃を防がれながらも次へと動く
『死ね!!』
態勢が悪かった二人だがクルリと一回転しそのまま裏拳を放ち合う
飛影の右腕が吹き飛び
ギルギアの右腕の鱗が砕かれ同時に吹き飛ぶ
《風華・圧殺》
《グラビティ・圧陣》
吹き飛ばされながら同時に魔法を構築・発動
そして二人して横に吹っ飛んでいたがベクトルが代わり地面に叩きつけられる
風の塊と重力が二人を押し潰す
「ぐぎぎ!!」
「こ…の」
二人して喰らっているが攻撃を緩めることだけはしていない
どんどんと地面に陥没していく二人
ギルギアは鱗が軋み
飛影は再生する暇も無く骨が折れ続ける
飛影の再生力は無限ではなく底は当然ある
再生させ続けることで再生力は無くされる
「ふっざけ!!!!」
《炎舞・無炎》
ただの無炎を飛影は痛みに耐えながら作り出す
その無炎が局地的陥没が起きている地面に触れた
瞬間に地面がなくなった
「っしゃあ!!!」
僅かな時間だが自由になった飛影は重力から脱出する
「っち!!」
対するギルギアは圧縮された風が周囲を囲んでいて動けない
《炎舞・ランス無炎ver》
再生を待たず飛影はそのまま無炎で槍を作成
そのまま投擲
狙っているのはランスで串刺しにすることではなく
「っち、まずいの!」
ギルギアの周囲を囲っている風に着火させることである
無炎が風に吸収され爆発的に燃え上がる
「…ふぅ」
と一息つく飛影
再生力が落ちてきていてまだ完治していない
「あ~最悪じゃ」
光すら燃やす飛影の無炎
その中から不機嫌そうな声が届く
「服がなくなったのじゃが…まぁよいか」
「がっ!!」
巨大な黒い何かが無炎の中から現れ横薙ぎに飛影を吹き飛ばす
せっかく完治した傷
だが今の一撃で左腕の骨は粉砕した
「全く、この姿は嫌いなんじゃがな」
風と炎が吸い寄せられる
無炎が綺麗さっぱりと無くなった
そこにいたのは龍であった
全長10m程
真っ黒な鱗の鎧に包まれている
仰々しい翼
見るものを圧巻させる圧力
四本の脚
黒い鱗はところどころ溶けていて飛影の無炎のダメージは喰らっていることがわかる
「なぜ我がこの姿を嫌っておるかわかるか?」
「知るか」
飛影は吸血鬼の翼を生やす
吸血鬼の力を使うことによって再生力を少しでも底上げさせる
もう再生力の余裕はない
「簡単じゃ…楽しめないからのう」
ギルギアはぶつかり合いが好きである
しかし、この龍の姿だと速度は当然下がってしまう
殴りあいができないのである
「あぁ、そゆことね」
「あとはこの姿がちょっと嫌じゃ、不格好じゃからな」
見るものを圧巻するほどの姿ではあるのだが本人的には気にくわないらしい
「ふ~ん」
飛影にとってはどうでもいいことで軽く流す
吸血鬼の翼を羽ばたかせフワフワと浮いている
折れた左腕は既に完治していた
「んでじゃ、疑問に思うのじゃが貴様手を抜いておるな」
「ん?そんなことはないが…」
突き刺すようなギルギアの視線
全力でやっているつもりの飛影にとっては身に覚えがないことである
「ふむ…では何故我の攻撃を受け止める?」
「いやそりゃ食らったら痛いだろ」
「違う…貴様は剛ではなく柔のが強いじゃろう?」
飛影は攻撃力最強である
さらには力同士のぶつかり合いではなく、飛影が得意なのは相手の攻撃を受け流してその隙を突くことである
「いや…性分的な問題だけど」
だが飛影が得意なのは柔であるが
好きなのは剛である
更にギルギア相手だと、ガチンコのぶつかり合いが可能であるため
飛影は使う気が全くない
「それが一つ目じゃ…もう一つは何故貴様はヘリオトロープを使わん」
「最初に言っただろ」
「ふむ…了解じゃ、ならば」
ギルギアは溜め息混じりに大きな首を振る
《グラビティ・重力砲》
口を大きく広げ先程とは比べ物にならない威力と大きさの重力砲を放つ
《炎舞&風華・リコード》
風と無炎が合わさりレーザーのような無炎が放たれる
巨大な球体とレーザーがぶつかり合う
と同時に飛影とギルギアは距離を詰めていた
放った瞬間に相殺すると察知している二人
予想通りに相殺した
《グラビティ・圧》
《風華・飃》
飛影は風を纏って加速しギルギアの重力の範囲から離れる
ニヤリとギルギアは笑う
《グラビティ・天地逆転》
重力の向きが変化する
範囲はギルギアの前方全て
向きは横向き
「ぐっ!!!」
飛影は横からの圧力を受け吹き飛ばされ結界に激突する
「っ」
「チェックメイトじゃな」
魔法を構築する暇も無く避ける時間もなく
ギルギアの尻尾が飛影に叩きつけられる
全身の骨が砕かれる
「くっそ…」
飛影はそのまま受け身も取れずに地面に落下する
「…まだ…遠いな」
実力差
同じ絶対強者級であるが生きてきた年月が違いすぎる
「ふむ…久々に良い戦いじゃった。感謝するぞ」
仰向けに倒れている飛影
再生力が落ちているため、全然治りはしない
「はぁ…くそ」
震える右手を空へと伸ばす
その表情は本当に悔しそうであった
一度目を閉じる飛影
そして深呼吸
[これは…ギルギア選手のしょ]
完全に勝負はついた
そう判断した実況
「黙れ…」
ギルギアが言いきる前に実況を睨む
それだけで実況は声を出すことができず、恐怖に震える
「…ヘリオトロープ…起動」
ポツリと飛影は呟いて魔法を構築する
《ヘリオトロープ》
「ほぉ…ようやくじゃな…待ちくたびれたぞ」
ゆっくりと翼を羽ばたかせ宙に浮く飛影
《ヘリオトロープ・創造物質・服》
「ん?」
ギルギアの頭に服が降ってくる
「試合前と同じ服だ…人形形態になるなら着替えろ」
「ふむ…では着替えさせてもらおうかの」
パッと龍が消える
そして服を着た人の姿のギルギアが現れる
「我は準備完了じゃ、怪我は治さんのか?待っといてやるぞ」
あくまでも今あるベストな戦いがしたいギルギア
「んじゃあそうさせてもらう」
《ヘリオトロープ・レーリス・完全治癒》
光が飛影を包み傷が一瞬で修復される
そしてギルギアの傷も修復された
「ふむ…待ちわびたぞ」
「さて…んじゃやるか」
残りの魔力を解放
再び対峙する
「悪いが短期決戦だ!!!」
「挑むところじゃ!」
《グラビティ・圧》
《ヘリオトロープ・グラビティ・浮》
同時に魔法を構築
上から下への重力と
下から上への重力がぶつかり合う
「っち!!」
舌打ちをするギルギア
威力は互角である
《ヘリオトロープ・廻眼》
飛影の目が紅く光る
視界にギルギアが入る
「くぅ!!」
右腕が意思に反して廻る
逃れるには飛影の視界外に出るしかないが、実力が拮抗している同士そんなことは不可能である
(ならば)
手は一つだけ
ギルギアは飛影へと距離を詰める
顔面を粉砕すれば視界外になる
《ヘリオトロープ・次元破壊》
飛影は避ける素振りもなく、パキリと次元が破壊されギルギアの拳が吸い込まれる
「ぐっ!!!」
自分の拳が自分の腹へと直撃する
《ヘリオトロープ・神の翼・突》
飛影の手から神の翼が光速でギルギアを突き刺す
ぎりぎり鎧で防ぐことができたが壁まで吹き飛ばされる
同時に廻眼により右腕が廻し切られもぎ取れる
「借りるぜ…セツネ」
《ヘリオトロープ・威雷&炎舞・紫炎一閃》
飛影の全身に雷が帯電
さらに
右手に雷
左手に無炎が纏う
ギルギアが受け身を取り攻撃を先読み
「く!!」
カウンターの要領で軌道上に拳を放つ
高速移動の弱点は急な軌道変化をできないことである
飛影はそのままギルギアの拳に向けて突っ込み
《ヘリオトロープ・方舟》
僅かに半歩分ずれる
運動エネルギーはそのままで移動した飛影はギルギアの拳を避けて無防備な胴体に打ち込んだ
ギルギアの弱点は雷である
防御力に特化していて衝撃すら吸収してしまうギルギアの鱗は雷を通してしまう
紫無一閃
雷で相手の動きを止め
無炎で焼きつくす一撃
「くたばれや!」
拳を直撃すると同時に雷が全身に巡る
そして反転し、身動きが取れないギルギアへと無炎の
飛影の一撃が襲いかかる
「ちっ」
ギルギアが諦めて奥の手の使用を考えた瞬間
飛影はそのまま、その場に崩れ落ちる
「む?」
「…タイムオーバー&ゲームオーバー」
ポツリと飛影は呟いた
ヘリオトロープの弱点
それは発動時の魔力消耗が高すぎることである
拳を打ち付ける前に魔力がきれたのだ
「む…」
ピクリとも動かない飛影
「くっそ…」
[…こ…今度こそ決まりましたか?]
ビクビクと震えている実況
また同じ目にはあいたくないので、確認をとる
ギルギアはもう一度飛影を一瞥する
意識はあるが動く気配は微塵もない
「…ついたの、悔しいが引き分けじゃな」
[へ?]
「引き分けじゃ」
ギルギア的にはヘリオトロープを使わせることができて、双方とも奥の手は隠したままだったがとても満足のいく戦いになった
それにギルギアも魔力が少ないし、それ以上にもう満足してしまったというのが一番の理由である
[…3回戦、最後の試合…勝者無し!引き分けです!!!]
静まり返る観客
壮絶な試合で最後が呆気なく終わり感想も浮かばない
この戦いを一番書きたかったのではりきっていたら
長くなりました。
引き分けです。