特別入学二日目
平和的です
「あ…やばい!」
飛影とリタとエリア
三人が
というよりもリタが来たことを視認した彗は焦る
「?」
リタが視線を彗に向ける
彗は飛影の机の付近にいて
飛影の机には中傷的な落書きに机の中にはゴミが見えていた
彗の手には雑巾
落書きを消そうとしていたのであろう
既に生徒達が席についていた
飛影達は最後である
「…どういうことですか?」
リタが静かに圧力を彗にかけながら近づく
「ちょ…」
心臓が圧迫される
「リタ!!」
飛影が無理やり頭をひっぱたいてリタを止める
「落ち着け」
「…ごめんなさい、彗さん、事情を説明してもらっても?」
リタも彗も深呼吸を繰り返しなんとか落ち着きを取り戻す
「俺が学校来たらこんな感じだ」
飛影はのほほんとどうでも良いような表情
リタは拳を握り締め怒りを抑え
エリアも俯いている
「犯人はわかんねぇ」
彗としてはリタが怖い
直接怒りをぶつけられてはいないが
圧力が
先程よりはましだが圧力が怖い
「これってイジメ…なんですか?」
エリアはそれがわからない
「だろうな」
エリアの問いに彗が肯定する
「う…わ」
エリアからも圧力が発せられる
(え!?なんで俺こんな目にぃぃぃ!!!!?)
「リタ!!エリア!!落ち着け」
頭を抱える飛影
「ですが飛影!!こんなこと許されるハズがないです!!」
かなりキレているリタ
今のリタなら少しスイッチが入るだけでこの学校が崩壊しそうである
「…私も同意見です!」
滅多に
いや
飛影からすれば初めて怒っているエリア
更に頭を抱える飛影
「…犯人見つけたらどうすんだ?」
彗のちょっとした疑問
もしやと答えはわかっているつもりだが気になってしまう
『殺します』
即答でハモった
笑っているが目は本気である
「ストォォォップ!!落ち着け!!マジで!!おい飛影からもなんか言え!!っていねぇぇぇ!!」
気付くと先程まで頭を抱えていた飛影か消えていた
「それに大体飛影からしてみればミジンコに喧嘩売られたみたいなもんだろ!?本人もそんな気にしてないだろうし大丈夫だって!!」
なんとか平和的解決案を探す彗
しかしリタは首を振る
「ミジンコであろうと飛影に喧嘩を売ったのならどのミジンコかわからなければ種を滅ぼします」
神であり魔王補佐であり気まぐれで世界を破壊できる絶対強者級のリタ
その彼女が犯人が見つからなかったら人間という種を滅ぼすとも言っているのだ
「落ち着けぇぇぇ!!深呼吸だ!!」
冗談には決して聞こえない
世界中の人間が滅ぼされることはないかもしれないが
確実にこの学校の人間程度は滅ぶ
「大丈夫です。物凄く落ち着いています」
笑顔のリタ
その手には神の金鎚が握られていた
「どちくしょぉぉ!!滅ぶ決定じゃねぇか!!」
「…大丈夫ですか?」
頭を抱える彗にエリアが声をかける
「…エリアって魔法使い?」
すぐ傍にいるエリア
魔力の動きが魔法構築の動きなことに彗は焦りながらポツリと呟く
「はい‥お父様に…飛影様に教えてもらいました」
同じく呟いて微笑みを浮かべる魔王の娘
(あいつが前に言ってた娘ってこいつかよぉ!!)
既に魔法《廻眼》は構築が終わりいつでも攻撃できる状態であり目の色がうっすらと赤になる
二人とも自身よりも強いことは魔力で判断できる
(今すぐこの学校から逃げたい!せめて保健室に行きてぇぇぇ!!ってか犯人殺してぇぇ!!)
彗の心の叫び
彗がこれだけの苦労をしているのは
90パーセント犯人
10パーセント飛影
のせいである
彗の胃がキリキリと痛みを発しているのはストレスによるものである
授業は既に始まっているが二人の圧力に話すことも移動することもできない
「あぁぁぁ!!もう飛影はどこ行きやがった!!?」
「呼んだ?」
胃を抑える彗の背後
いつからいたのかがわからない
エリアは驚いていて
リタは普通の表情
「これでオーケー」
空き教室から机と椅子を持ってきた飛影
汚い机と椅子を片付けて飛影は綺麗な机と椅子を設置する
「んで」
机と椅子を窓に投げる
「疲れた疲れた」
新しい椅子に座り一息つく飛影
「リタもエリアも座る!いいか?今回俺はミジンコに噛まれた…その程度だ」
飛影が無理矢理リタとエリアを座らせる
しぶしぶといった表情で大人しく座る
(俺同じこと言ったけど!?)
反応の違いに軽くショックを受ける彗
「さて…と、リタ、メリア頼んだ」
飛影はリタとエリアを座らせてどこかへ行こうとする
「?」
寂しそうな瞳で飛影を見るエリア
飛影は一瞬身体の動きが止まるが首を振る
「ちょっと大事な話があるから悪いな」
優しくエリアの頭を撫でる飛影
まるで猫のように嬉しそうに笑う
ちなみに授業中である
全員が注視している
「んじゃ」
飛影は手を振り教室を出ていく
「…一つ聞いてもいいか?」
「はい?」
固まっていた教師が口を開く
「どういうご関係で?」
教師の疑問に生徒達が一斉に頷く
「お父ムグ」
ついぶっちゃけようとしていたエリアの口を塞ぐリタ
「プライベートの詮索はダメですよ。」
にっこりと笑うリタの圧力で頷くしかない教師
リタ的には完璧なサポートであると思ったのだが
当然ながら怪しまれ違う想像をさせてしまう
クラスでの想像は二つである
飛影の正体か
幼なじみ
もしくは
兄
の二つ
二つとも惜しい
幸いなのが飛影とエリアの外見から親子には見られないことである
リタは時々ミスをする
今回もお父様と言わせてから笑って冗談が上手いと褒めれば冗談で終了していた
そんなことに気付かないリタは安堵の溜め息を吐く
「…アホだ」
彗は小声でツッコミを入れてしまった
バン!!
大きな音をたて飛影がドアを吹き飛ばしながらダイナミックな入室する
吹き飛んだドアはリタがエリアが怪我をしないようにドアの墓場へと方向を修正する
クラス中が唖然とする中飛影は立ち上がる
「あは!!あはは!!ぶち殺し決定だこのクソがぁ!」
マジでキレてる飛影
その相手は
「はぁ!?貴様如きが我を殺すじゃと?冗談もそこまで来るとぶち殺したくなるのう!!」
当然ながらギルギアである
こちらもキレている
二人して制限かかってるから全力で殺し合っても大丈夫
という解釈である
「えぇ!?大事な話し合いは!?」
話し合いすると言って出て行った飛影が拳の話し合いになっていることにツッコミを入れる彗
「冗談!?はっ!!今すぐ現実に変えてやるぞこのババア!!」
「…死ねチビ!!」
拳同士がぶつかり合う
場所など関係ない
彗のツッコミにすら反応しないということは戦闘モードである
「まぁ理事長と話し合い中に喧嘩になったのでしょうね」
冷静に状況を推測するリタ
「いやいや止めろよ!!」
「なんで私が蜂の巣を突っつくような真似をしなければならないんですか?」
リタは止める気がない
所詮二人とも中学生レベルの喧嘩である
放置しても問題ない
エリアは戸惑って混乱している
飛影の蹴りがギルギアの側頭部を捉える
怯むがその足を掴み投げる
中学生レベルの身体能力だが当然魔力は循環して身体能力は向上されている
投げられた瞬間
飛影はギルギアの手を掴み一緒に窓からダイナミックに退室
空中でも殴り合っていて着地のことなど考えていない
「あいつらバカだろ」
「今更ですね」
どこか悟った彗
こうして二日目は
飛影が苛められ
リタとエリアが切れて
最後に飛影とギルギアが喧嘩をして終了した
飛影が帰ってきたのは夜で敷地に入った瞬間傷が癒えたのか無傷で服だけがボロボロの状態であった
物凄く不満そうな表情だったので殺し損ねたらしい
エリアもクラスに少しづつなれてきていて
平和であった
次ぐらいに事件でもと考えてます