超遠距離監視護衛付デート
ギャグってなんでしょうね…
それは最近のある日のことである
飛影がまだブレスレットによる力の制限を受けていない時である
リタが屋敷で寛いで休日をどう過ごすか悩んでいた
「おいリタ!!ちょっと来てくれ」
そんな暇なリタへと
どこか慌てた様子の飛影がやってくる
「…どうしたんです?」
慌てている飛影は珍しく
リタは周辺の魔力を調べる
だがいつも通りなんの問題もない
「リタにしかできないことだ!!」
飛影は慌てながら時間が惜しいのかリタの手を掴み意思に関係なく引っ張っていく
「…で?」
飛影とリタはある高層ビルの屋上にいた
「リタは秋野が彗のことを好きなのは知ってるな?」
「はい、見ればわかります」
恥じらう乙女の佐藤秋野
現在安倍川彗に恋道まっしぐらである
「今日は二人がデートするんだ!!」
「おぉ~秋野さんも頑張ったんですね」
彗とまともに話すことすらできない秋野
デートに誘えるのは大きな進歩である
「いや、彗の方は俺と映画見ると思ってる」
「はい?」
つまり飛影の計画は
秋野の相談
安倍川先輩とデートしてみたい
飛影の返答
任せろ
から始まり
まず飛影はその日の内に彗を映画に誘う
というかそれは昨日の出来事だ
そして飛影は用事ができたからと言って断りのメールを今作成中
そして代わりに秋野をよこすから二人で遊ばせる作戦である
映画のチケットはすでに秋野に渡しており
彗は貧乏性なため必ず見に行くのである
「というわけだ」
「…はい、それで私はなんで呼ばれたのですか?」
「炎と風と光があれば彗達にバレずに監視と護衛ができるだろ?」
つまりは面白いからつけようということである
神としてそんなことはしてはいけないとリタは考えるが
「はぁ…わかりました」
魔王補佐だから魔王の命令は聞かなければならないと自分に納得できる理由を考えて
私はしょうがなく飛影についてきているというオーラを放ちながらも
やる気は充分である
「場所は?」
「あっちに一キロ」
飛影は指を指す
リタはその方向を向いて魔法を発動する
《キュリクレイ》
光を統べる魔法
リタにとっては壁や建物などに意味はない
リタの眼に彗が暇そうに待機しているのがはっきりと映る
「発見しました。視界を飛影と共有します」
魔法を再び使用し自分の視界を飛影にも見せる
「よしOKだ!!」
飛影の視界にもリタと同じモノが映る
「会話はどうします?」
一キロ先程度なら魔王や魔王補佐の飛影やリタは唇の動きで会話がわかるが
「ふっふっふ!!」
《風華》
飛影は風を使い彗の周辺の風を制御する
「これで会話は駄々漏れだ」
「さすが飛影です」
二人の表情はどこまでも真剣である
「そういえば飛影、秋野さんはこの場合服などを決めるのに時間が掛かりそうなイメージなのですが…」
どうしよう
こうしよう
と
鏡を見て服を合わせ次の服を合わせを繰り返している秋野の具体的なイメージがリタには想像できる
「その通りだ。だから俺は昨日の内に秋野が着る服をコーディネートしといた」
親指を立てる飛影
「さすが飛影です」
同じく親指を立てるリタ
気まぐれで世界を滅ぼせる
絶対強者級の二人のチートによるデートの監視が今から開始される
「秋野からの合図を受信した」合図となるワン切りがされ
飛影は携帯を開き彗へとメールをする
「以降この作戦名を砂糖に変更!今回の目的は彗と秋野のデートを尾行しバレずにサポートと護衛を行う!!オペレーション砂糖開始する!!」
何故砂糖かは誰にもわからない
「イエスサー」
敬礼で答える
魔王と魔王補佐による豪華で強力な尾行が始まる
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【悪い!魔界でなんかトラブルあるらしいから今日行けなくなっちった( ̄∀ ̄)】
それが彗に届いたメールである
待ち合わせは10時00分
映画見て
飯食べて
遊ぶ計画を飛影が持ちかけてきたので
たまにはいいかと承諾した彗
Tシャツにパーカーにジーンズとラフな格好である
現在時刻9時58分
(まぁあいつ一応魔王だからな…忙しいのか)
彗の心は寛大で約束をすっぽかしている飛影も魔王だからしょうがないと納得する
やることもないので帰ろうと踵を返した時にメールに続きがあることに気付く
【追伸、悪いと思ったから秋野を呼んどいた】
(…あいつも大変だな)
「お待たせしました!!」
ちょうど良いタイミングで秋野が現れる
飛影がコーディネートした格好は最低限のおしゃれである
偶然か必然か彗と似てパーカーとTシャツにフレアスカートである
「早いな」
てっきり30分か一時間は待つと思っていたのだ
メールがきて5分後に到着したので驚いてしまう
「飛影先輩から9時00分に連絡来ましたから」
「何故その段階で俺に連絡しないんだあの馬鹿は」
待ち合わせは彗の家からも近いので9時00分に連絡をよこせば余裕で二度寝ができたのである
「はは…まぁ私も暇でしたのでちょうど良かったです」
ここまでの会話のパターンは予想通りで飛影が昨日作成した合流する際の会話パターンに記されている
そして
彗としては遊ぶ
秋野としてはデートが始まった
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「こちらキング!標的が無事合流!どうぞ」
「こちらゴッド!こちらも確認しました!どうぞ」
それを500メートル上空から見ている飛影とリタ
リタは意外と飛影と二人の時はノリが良い
ちなみにだがキングは魔王の飛影
ゴッドは神のリタである
さらに言えば通信をしているかのように会話しているが互いに隣にいる
「こちらゴッド、標的の近くに不良を発見。ナンパ目的だと見られます。このままでは標的と接触します」
「こちらキング、始末しろ」
「了解しました!!」
即答しリタは降下する
「って飛影!!」
雰囲気で即答したが当然直ぐに気付く
「さすがに殺すのはダメです!!」
「んじゃどうすんだ?」
「見えなくします」
《キュリクレイ》
500メートル下の人間の視界を少し変える
不良の視界から彗と秋野が消える
「良し!!標的が無事映画館に到着したぞ」
「こちらも確認。どの映画を見るのでしょうかね」
リタの問いに飛影はニヤリと笑う
「抜かりはない。昨日秋野に無料チケットじゃなくてタイトル指定のチケットを渡しておいた」
「さすがです。ただその間暇ですね」
映画中に動きはないため暇なのである
「その点も抜かりはないぞ」
何でも準備万端であった
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「そんなこんなで最後までバレずにデートをサポートしてましたね」
「そんなアホなことやってたの!!?」
どこかやりきった表情のリタに思わず突っ込んでしまう
「面白かったですよ」
「…っていうかそれ超遠距離のダブルデートだよね」
「へ?あぁそうですね」
指摘を受けて今頃になって気付くリタ
リタは飛影への恋愛感情はなく尊敬で構成されていた
「で?今回のオチは?」
「秋野さん彗さんの隣を歩いただけで緊張して会話が三回しかなかったです」
飛影の風華で聞き耳をたてていたので間違いない
「…」
「飛影が乗り込もうとしましたが私が妨害しておきました」
仕事人な表情のリタ
「…アホなこと好きすぎでしょ!!?絶対強者級ってみんなそうなの?」
溜め息が出そうであった
椿の知る絶対強者級の人物
飛影
リタ
リーベ
ダドマ
ギルギア
共通点はアホなことが好き
戦い大好き
の二点である
「…まぁそうかもしれないですね」
否定ができないリタであった
次は優希の採用されたらへんの話になります