とある村のはずれにて
「勇者が龍を倒す」「勇者が魔王を倒し、世界を救った」そんな風に、ファンタジー物語やゲームは進んでいく。しかし、もし、倒せていなかったら?命からがら生き延びた代わりに、大事なものを失ったとしたら?
とある丘に、風が吹いている。太陽はとっくに傾いている。そこにポツンと一人で、青年が座っている。まるで、風が包み込むように吹いている。
「カイー!」と声が聞こえる。カイと呼ばれた青年が振り返ると、そこには、オレンジ色の髪をした、女性が立っていた。「なんだよエマ。隣の親父さんがまたぶっ倒れたのか?」とカイが冗談を飛ばす。エマは、「そんなんじゃないの!これ見て!」と言い、紙を渡す。カイが紙を受け取って見ると、「メルドラ城、落城」と書いてある。カイは、それを黙って読み、「わざわざこれを渡してきたってことは...俺に行けって言ってるのか、エマ?」と聞く。エマは、「...私達、来年結婚する...それは分かってる。忘れたわけじゃない。...でも、あなたは、勇者なんだから、いかないと行けないはずよ!」と言う。カイは下を向く。左右の色違いの瞳が、寂しそうに光を反射する。やがて、「あぁ。そうだったな。俺は前の話とはいえど、勇者なんだ。いい加減、向き合わないと行けないのかもしれない。」と言う。エマは、「そう...それでこそ、カイなんだから」と優しく微笑む。




