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夢と祈りのあいだ(ゆめといのりのあいだ)

Prologue (Introduction)


A quiet village -

surrounded by old trees, where a forgotten wind blows, a girl named Faria lived.


She was 16 years old. She

was quiet, with a slightly mysterious look in her eyes.

People said -

"Faria is different from other children. She seems to hear the rustling of leaves, the silence of the moon, and the murmuring of the water."


One night, when the world held its breath, something called her from deep in the forest.


It wasn't a sound.

It was a feeling that welled up from deep in her chest.

A mysterious gravitational force, as if she was being drawn to something.


And so, barefoot, Faria quietly walked into the shadows of the forest - not yet


knowing that this would be a night that would lead to something she had forgotten,

and that she would meet "someone" who had been waiting for her all this time.



ファリアの森の夜


その夜、ファリアの村はいつもと違っていた。


風は静かで、木々はじっと立っていた。

ファリアは暗い森をゆっくりと歩いていた。

一歩一歩が柔らかく、でも不安定だった。

体は弱っていて、喉はカラカラ。

胸の奥に、不思議な恐れが重くのしかかっていた。


森の奥へ進むにつれて、額に汗がにじんだ。

手のひらはじっとりと濡れ、服の下の背中は熱く感じた。

空気は冷たいのに、恐怖のせいで身体が火照っていた。

彼女は袖で顔を拭き、歩き続けた。


そのとき、遠くにチラチラと光が見えた。

小さな焚き火だった。


誰かがいた。


カサカサと、足元の枯れ葉が鳴った。森に響く唯一の音。

どこかで動物の声がした。野性的で大きな声。

この森は、夜になると危険だと知っていた。


それでも、何かに引き寄せられるように前へ進んだ。


「水が…ほしい…」彼女は小さくつぶやいた。


何かがおかしい気がした。

でも、その胸の奥からもう一つ別の感情が湧いてきた。

優しくて、不思議な気持ち。

まるで、誰かが自分を待っているようだった。


もしかして…

あの火は、自分のために焚かれたものかもしれない。

もしかして…

誰かが、彼女が来ると知っていたのかもしれない。


足が痛んだ。

足元から血がにじみ出し、葉の上に赤いしずくが落ちた。

それでも彼女は止まらなかった。


焚き火のそばにいるのは誰なのか、確かめなければ。


彼女はゆっくりと前に進んだ――


そして見えた。

焚き火のそばに座る影。

その影は、微動だにしなかった。


ファリアの鼓動が速くなった。

「……誰?」彼女はささやいた。


その影は、ゆっくりと頭をこちらに向けた。


……そして、動いた。


でも次の瞬間――

その影はもう焚き火のそばにはいなかった。

彼女の後ろに立っていた。

川の方へ、ゆっくりと歩いていく。


ファリアは振り返った。

胸が不安と好奇心でいっぱいになった。


やがて月明かりの下で、彼の姿がはっきりと見えた。


若い男だった。二十代後半くらいだろうか。

背が高く、整った顔立ち。真剣で、落ち着いていた。

兵士のように見えた。目は鋭く、どこか深いものを見ていた。


ファリアは、静かに、でも興味深く彼に近づいた。


男は川辺に立ち、黒いシャツの袖をまくりあげていた。

ズボンのすそを膝まであげ、水をすくっていた。


彼はゆっくりと、自分の腕、顔、そして足を洗い始めた。


それは不思議だった。でも、とても静かで美しかった。

彼の動きには意味があった。

まるで何か神聖な準備をしているようだった。


ファリアは気づいた。


――これは、「ウドゥ(wudu)」だ。

イスラム教の礼拝前に行う洗浄の儀式。


彼女は知っていた。

この森ではなく、昔…心の奥深くにある記憶の中で。

父が同じようにしていたことを思い出した。

バケツの水のそばで、ゆっくり、丁寧に。

あの時は意味が分からなかった。

でも今、風のように優しくその記憶が戻ってきた。


手、腕、顔、頭、足…

一つ一つを、心を込めて清めていく姿。


男が何かをささやいた。言葉ははっきり聞こえなかった。

でも、彼女の耳に届いた二つの言葉――

「信仰」と「真実」。


彼の声は、石を流れる水の音のように深く、静かだった。


喉の渇きがさらに強くなった。


彼女は川岸にひざまずき、手を水に浸した。

冷たい水をすくって飲んだ。


唇に触れたその水は、喉を通り、心にまで染み渡った。


涙があふれてきた。


彼が誰なのかは分からなかった。

でも確かに――彼は彼女に、平和をもたらした。


やがて彼は地面に立った。

敷物も布も置かず、ただ土の上に立ち――祈り始めた。


その動きは静かで、でも深い意味を持っていた。


耳の横に手を上げ、胸の上に手を置き、

深くお辞儀をし、ひざまずき、

そしてそっと、額を地面に触れさせた。


世界が静まり返った。

まるで時間そのものが、彼の祈りを見つめていた。


祈りを終えると、彼は右を向き、次に左を向いた。

その唇からこぼれた言葉は、彼と神にしか分からないものだった。


そして彼は両手を上げて、静かに**ドゥア(祈り)**を捧げた。


ファリアは動けずに見つめていた。


いつの間にか、朝日が昇っていた。


黄金色の光が、彼女の髪に触れ、頬をあたためた。


男は彼女の方を見た――

でも、ファリアがその顔をよく見ようとしたとき、

朝日が彼女の目に差し込んだ。


眩しくて、目を開けていられなかった。


――そして、その光の中で声が響いた。


「ファルズ…ファイザ! ファイザ、起きなさい!」


ファリアは目を開けた。


もう森の中ではなかった。

そこは、自分の小さな木の寝室だった。


朝の光が小さな窓から差し込んでいた。

枕は汗で濡れていた。


母のケイコがそばに立ち、優しく彼女の名前を呼んでいた。


時刻は6時40分――7時まであと20分。


ケイコはいつもの朝の服装をしていた。

やわらかな木綿のサリー、色あせた花柄のブラウス、

そして青いモンペ。肩には白いタオル。

朝の料理と掃除を終えた腕まくりの姿。

せっけんと玉ねぎの匂いがしていた。


「早く起きなさい、ファイザ。学校に遅れるよ。」


ファリアはゆっくりと起き上がった。

小花模様の薄い浴衣を着たまま。

黒くて短い髪は乱れていて、目にはまだ眠気が残っていた。


彼女は窓の外に差し込む朝日を見つめた。


……あの夢。


いや、あれは夢じゃない。


本当に、誰かがそこに――いた気がした。






Thank you so much for reading this episode!

Your support means a lot to me.

If you enjoyed it, please leave a comment or rate it.

I will try my best to update next time, so please look forward to it.


Sincerely,

— Sabiya Shaikh


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