第十六話 誓いあったリベンジ
「よし!!あと一ヶ月だな!
全日本大学駅伝の予選会まで!」
六月一日の練習終わり。
三年生の双子の弟・修太が意気込む。
「ああ、箱根も大事だけど、去年の悔しさは
今年の全日本予選会で晴らすんだ!」
双子の兄・蓮太も気合い十分。
昨年の予選会で途中棄権をした二人は
リベンジに燃えていた。
第十六話 誓いあったリベンジ
「おいおい、悔しかったのは、
お前たちだけじゃないぞ。」
エースの石川涼介が声をかける。
「そうそう、今年は俺も走るから、
絶対に本戦出場できるって!
渾身のラストスパートを見せてやるさー!」
いまだ、大学駅伝で出場歴はないが、
悲劇の世代と悔しさを共にしてきた
同じくの三年生・荻久保圭佑の表情も
自信に満ち溢れていた。
「ところで、蒼太は?」
涼介があたりを見渡す。
「矢車さんに付き合ってジョグに行ったよ。」
圭佑が応える。
「そうか。矢車さんも蒼太も、
あの時のレンとシュウの棄権を
自分のことみたいに悔しそうにしてたよな。
そして、今年は矢車さんの
ラストシーズンだ。
俺も半端な走りはできねーな。」
涼介の心には、覚悟がみなぎっていた。
『一人ひとりの悔しさは、全員が分かち合う。』
チームなら当たり前かもしれないが、
それを当たり前のようにできることが
城西拓翼大学の強さだ。
悔しさを乗り越えた彼らの飛躍は、
今まさに始まったばかりである。
なお、全日本大学駅伝エントリーメンバーは、
次の通り。
第一組 矢車(四年)、力石(ニ年)
第二組 蒼太(三年)、荻久保(三年)
第三組 蓮太(三年)、修太(三年)
最終組 石川(三年)、宗像(一年)