表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/57

第十一話 帰寮して…

関東インカレが無事閉幕し、

城西拓翼大学駅伝部のメンバーも

帰り支度を始めていた。


「そう言えば…。

1部にいる早稲田学院大学ワセガク

速水瞬は、どの競技にも

エントリーしていなかったみたいだな。」


念入りにストレッチを繰り返している

石川涼介が蒼太に話しかける。


「何でだろうな。

もしかして、故障ケガでもしたのかな。

それとも…。」


(あいつなら、何かこう、

俺たちとは違うことを

考えているような気がする。)


蒼太がそう言おうとした瞬間、


1部昇格の喜びで、陽気にはしゃいでいた

同期の荻久保圭佑が話に割ってきた。


「でも、まあいいじゃん!


来年の関東インカレは、

ウチもワセガクも同じ1部で

勝負するわけだし!


そしたら、

駅伝以外でも蒼太と速水の対決が

実現するんだから、気にせず行こうよ!」


そう言って、蒼太と涼介の間に入り、

二人の腰を同時に叩く。


(ああ、そう言われてみれば…。)


三人は互いに顔を見合わせながら、

闘志を燃やしていた!


『大学生活は残り二年!

一度でもいいから速水に、

そして、ワセガクに勝ちたい!!』と。



第十一話 帰寮して…



会場にいた時は、

あれほどハイテンションだったにも関わらず、

陸上部のバスで寮へ戻るころには、

メンバー全員が疲労でぐったりしていた。


ようやく、関東インカレの緊張感から

解放されてホッとしたのだろう。


それでも、どこかしら

穏やかな顔をしているのは、


メンバーもサポートも全員が、

全力を出し切り、

目標であった1部昇格を

果たせたからに違いない。


そして、皆、用具の片付けなどを終えて、

自分の部屋に戻ると、

お約束事のように、ベッドに倒れ込んだ。


だが、このまま眠ってしまうと、

明日は間違いなく筋肉痛で起きられなくなる。


試合レース終わった後こそ、

体のケアが大切なのだ。


(すぐに風呂に入りたい…。)


蒼太は気合いで自分のベッドから起き上がる。


よろよろと歩き出し、

部屋のドアを開けようとしたその時、

携帯から激しいロックンロールがなりだした。


(このファンキーな着信BGMはッ…!!)


正真正銘、あの速水瞬からであった。


すぐに携帯を取る!


なぜ、インカレに出なかったのか?、

何かあったのか?、怪我をしたのか?


そして、チームが1部に昇格したこと、

来年のインカレで勝負できることなど、


聞きたいことやいいたいことが

蒼太の頭から溢れだす!


「よう、蒼太!今度の休みいつだ?

お前に合わせるから、

二人でメシ食いにいこうや。」


速水の声は拍子抜けするほど、

とても明るかった。


「ふぇっ!?」


蒼太は自分でも

間抜けだと思うくらい変な声を出した。


一方、電話越しの速水は、

口に含んだばかりのドリンクを

噴き出し、腹を抱えて笑いだしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ