第十話 順調なシーズン開幕
都内、某陸上競技場。
ゴールデンウィークが明けた週の日曜日。
すでに真夏を感じさせるようなアツさの中、
関東学生陸上競技対校選手権大会、
通称、関東インカレの火蓋が切って落とされた。
この関東インカレでは、
ここで行われた全ての陸上競技の成績を
ポイント化し、その獲得ポイントの合計で、
各大学の順位が決定する。
短・長距離といった徒競走だけでなく、
跳躍種目や投擲種目も対象とした
大学対抗戦であるため、
お祭りのような箱根駅伝とは、また違った、
学生スポーツらしい盛り上がり方を見せる。
また、各競技のスター選手が勢揃いすることから、
大学スポーツの花と言っても過言ではない。
男子は主に1部と2部に分かれており、
昨年の上位16校が1部として、
関東最強の座を賭けて火花を散らす。
一方、2部に所属する大学もまた、
1部昇格の条件である上位二校を目指し、
激しい熱戦を繰り広げていた。
第十話 順調なシーズン開幕
昨年、惜しくも三位で1部昇格に
届かなかった城西拓翼大学は、
例年以上に陸上部と駅伝部が一致団結し、
各競技での応援にも力がこもる。
途中、
宗像、他校の女子選手に
サイン攻めにあう事件、
宗像、女子大生に見惚れて、
チームの応援を忘れかけた事件、
宗像、会場に来ていた奥さんに
渾身の平手打ちを放たれた事件、
などのトラブルもあったが、
チームは順調にポイントを重ねて
総合二位となり、
城西拓翼大学史上初の1部昇格を果たした!
長距離部門では、
上級生である矢車(四年)と荻久保(三年)が
3000メートル障害に出場し、
自己ベストをマークすると、
他の三年生も表彰台には届かなかったが、
それぞれ出場した、
5000メートル、1万メートル、
ハーフマラソンで入賞を果たす。
『城西拓翼大学には
圧倒的なエースはいないが、
粒揃いで侮れない。』
そんな印象を他校に与えるには、
十分な成績であった。
こうして、ジョーダイは、
満足のいく形で関東インカレを終え、
駅伝シーズンに向けて弾みをつけた!