EP152.泳ぐ直前の話
俺だ、江波戸蓮だ。
プールに来たのはいいが、まず最初は準備体操をしなければないよな?
てなわけで準備体操だ!番号は第一!
「……すごく真面目にやるんだね、案外」
腕を回す運動をしている時、隣で同じく準備体操をしている山地芙陽がそう呟く。
当然だ……だって昔、準備体操をせずに運動したら手足を酷く釣ったからな……
運動能力を高めるために度の過ぎた運動をしたからだが、いいトラウマである。
というわけで、俺は基本的に真面目に準備体操を行っている。
おかげで怪我は減った……いや、さすがに度が過ぎすぎて偶に釣ったけどな。
……それはさておき、今は胸をそらす運動を行っているところなのだが。
「すげえ胸揺れてる……」
「ジャージの下で揺れる双丘……グッド」
……目の前の白河小夜なんだが、まあ、色々とアウトなのである。
ジッパーを開けているせいで中身見えるし……それも、大きいからか揺れている。
何か、とは健全のために詳しく言つもりはないが、揺れている。
真面目にやっているため動作もそこそこ大きく、結構目立つように揺れている。
………。
あのな!?目のやり場に困るんだよ!?
「小夜、ラッシュガードのジッパーをあげてくれねえか……?」
「え?あ、はい」
一時中止して、小夜はジッパーをあげる。
「ああ閉めちゃった……」
「素晴らしかったのに……」
先にジッパーを上げさせればよかった、と後悔する俺であった。
先程から居なかった親メンバーと兄妹らは、体操中にやってきた。
なぜ遅かった?かと言われると、なんか色々とあったらしい。
てことで、全員集まった。
といっても、子供は夏休みでも流石に仕事があるらしくて数人不在だ。
具体的にいえば、母親陣は兄妹の母しかいないし、父親も正悟さんと兄妹父だけだ。
……まあ、その兄妹母は小夜の母親である小朝さんに似てるから目立ってるがな。
それはさておき、準備体操も終わった事だし早速遊泳タイムである。
……あ、でもそういえば。
「この6人の中で泳げないやつはいるか?」
「………──いやなんで私だけなのよ!?」
一応親切にそう訊くと、薫だけがちょこんと手を挙げてそう叫ぶ。
なんか少し可哀想になってきたな……
「……薫、俺が教えようか?」
正直妹である瑠愛が人間関係的に適任なんだが、瑠愛は最低限泳げるだけだ。
具体的にいえば、なんとかクロールはできる状態だった気がする。
ん?知ってる理由?昔姉貴にプールや海に連れ回されたからだよ。
「……泳げるの?」
薫が心配そうに、かつ上目遣いでこちらを見るてくる。
小夜や瑠愛ならイチコロかも知れないが、俺はそんな攻撃は効くわけが無い。
……多分、意図的な攻撃ではないが。
「バタフライまでならなんとか……だな。クロールや平泳ぎなら100mは一応泳げる」
「……タイムは?」
「クロール25mなら、中学の時で17秒くらいだったかなあ……」
姉貴関係以外ではあんま泳いでないから、大して早くはないんだよな。
ただまあ、教えれるくらいには泳げるかね……多分なまってる気がするがな。
「それならば、私が教えた方がいいのでは?」
「小夜はクロール25何秒なんだ?」
「中学の時で16秒と少しです」
中々にはええな……!?
それなら、やっぱり小夜が教えた方がいいのか……?んーどうしようか……
「……なら、一緒に教えるか?」
「え、ちょま──」
「いいですね!私もそう思っていたところです!」
俺が顎に手を添えて提案すると、目をキラキラと輝かせる小夜。
それで改めて見ると、ラッシュガード姿の小夜がとても可愛く見えた。
水着の下がスカートじゃないからかセクシーではあるが、可愛さもある。
じゃなくて。
「じゃあそうするか。場所は……そこでどうだ?浅そうだし、練習にはいいだろ」
頷いて周りを見渡した俺は、割と近くにあったエリアを指さす。
そこで泳ぐ客は、みんな基本的に太ももから上は見えるので恐らく浅い。
「了解しました。行きましょう薫ちゃん!」
「え、ええ……」
なぜだかもう力が抜けきった顔の薫を連れて、俺と小夜はそのエリアへと向かう。
「あ、兄さん。私も行く」
「ん?」
すると、後ろから白のワンピーススカート水着の瑠愛が姿を表した。
ここでまた、改めて瑠愛を見る。
いつもかけるメガネは外し、おさげをといたその姿は……まるで天使のようだった。
EP140で述べたとおり清楚系美少女になった瑠愛は、ただただ可愛らしい。
胸元のフリルやスカートでセクシーさを欠けているが、顔と相まってそれが逆に可愛さを引き立てている。
……説明が下手ですまん。
どういう訳かは分からないが、あの幼馴染カップルのそばに居させるのは……
……無理だな!あの二人の甘さを目の前にしたら、俺は絶対に倒れる!
「いいぞ。じゃあついでに瑠愛も、泳ぎを上達させるか?」
「うん、お願い」
というわけで、瑠愛と薫に泳ぎを教えることになった。
その時、力の抜けた薫の顔が、少し戻ったような気がした。
……薫の性格、未だによく掴めないんだよなあ……




