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EP146.姫の実家

 俺こと江波戸蓮えばとれんは、「お邪魔します」と柄にもなく丁寧に断ってから靴を脱いだ。


 そして、白河小夜しらかわさよと妹の瑠愛るあ……

 小夜の親戚のかおり純怜すみれ姉妹と共に、リビングと思われる部屋へと入る。


「ひっろ……」

「うん……」


 予想通りリビングに入った瞬間、俺はこの家を見た時と同じ感想を零した。

 隣の瑠愛も、そんな俺に相槌を打つ。


 実は俺らのマンションと同じく、オープンキッチンのあるリビング。

 白樺しらかばを使われた木目の床と、白く塗られた壁でとても落ち着いた雰囲気を放つ。


 置かれる家具としては……

 70インチ程のでけえテレビ、でけえL字ソファに添えられたでけえローテーブルに、6人くらいは座れるでけえダイニングテーブル。


 もう4回も『でけえ』って言ったぞ?


 ……まあ、そんな感じだ。

 高そうな家具が並び居心地が悪くはあるが、豪華絢爛ごうかけんらんとしてないのが唯一の救いか?


 で、パッと見て新しい人物がまさかの7人いる。

 ……いや、今後話すにしても流石に覚えきれなくねえか……?


 ……とりあえず、キッチンで料理中の小夜の父親正悟(しょうご)さんにどこか似ているが長身のダンディなおっちゃん。


 白河って苗字なら正悟さんの兄弟だろう……この人が、EP144の時に言ってた小夜の叔父で間違い無さそうだ。

 つまりそこの姉妹の父親……で、離れてはいるがソファに座っている薫と純怜を大人にしたような女性はその配偶者だよな。


 ……思ったんだが、色素の薄い茶髪を姉貴とおなじミディアムヘアにしたこと以外マジで似てる

 そこの姉妹といい、一卵性双生児でもないのにそんな似るのはなんでなんだ?


 ……で、小夜の母親の小朝こともさんに似すぎた女性の方は小朝さんのなんだ!?


 ソファに座るそこのアメリカンなおっちゃんが隣にいるから、別のところにいる小朝さんとはまだ区別はつくものの……

 体格、顔立ちに……服装以外全てが似てやがる!?


 で、その周りに寛いでいる7歳くらいの金髪な''美''少年が一人に5歳くらいの''美''少女が二人……


 すまん、さすがに覚えられる自信がねえ。


「蓮くん。水着については、あの三人兄妹の子は夏になると必ず海に行きたがるのです」


 大人数に俺が困惑していると、小夜が唐突にその話題を切り出してきた。

 まあ、たしかにそこの''美''兄妹三人は気になっていたが……


「なるほど、海か……へえ、海か」

「なぜ2回も?」

「……なんでもねえよ」


 なぜってビーチで夏を優雅に楽しむ水着姿の小夜を想像しちゃったからだよ!?

 さすがに恥ずかしすぎて、そんな本音は言えるわけないがな!?


「ふぁ〜……」


 内心慌てつつ平静を装っていると、左からそんな欠伸が聞こえて本を閉じる音がする。

 視界に入っていなかった人物か!?と俺は咄嗟にそちらに振り向いた。


 そこに居たのは、壁に下ろしていた腰を重そうにあげる黒い髪が長い少年。

 猫背になるまで立ち上がりちらりと見える瞳を……薫に向けると、そいつは口を開く。


「薫ねえ。さっき騒がしかったと思うけど、なんかあったの……ふぁ〜……」


 人にものを訊いておいて欠伸をする少年。

 異質すぎるその存在に、俺は身構える。


「……小夜ちゃんが恋人を連れてきたのよ」


 何故か悔しそうにそう零す薫の言葉に、少年は「へえ?」と興味深そうに相槌を打つ。

 少年は本をパーカーの大きいポケットに仕舞うと、小夜に視線を向ける。


「そりゃあ薫ねえが騒がしくなるわけだ……で?小夜さん。その彼氏ってのは誰?」


 目の前にいるんだがねえ……


 やはり薫が異質だったのか、と思っていると……その薫がさりげなく俺に近づく。


 そして、後ろ向きで俺の耳に顔を近づけてきた。

 薫は小夜ほど身長が高くないため、背伸びをとても頑張っている。


芙陽ふようが見えてない……本当なのね、その絶望的に影が薄いってのは」


 まだ信じれなかったらしい……息が顔に直接当たらないよう気をつけて、俺は頷いた。

 てか、この少年は芙陽っていうのか……一体何者なんだ?


「えっと……蓮くん。また叫べますか?」

「あ、叫んだら見えるようになるのね……」

「……叫んで大丈夫なのか?さすがにここら住宅街だし近所迷惑だろ」


 そんな会話に……実際には小夜と薫の会話に、芙陽とやらは首を傾げた。


「何を話してるの?」

「えーっと……」


 近所迷惑になる事を恐れて、小夜はオロオロと言い淀む。

 「嘘なの?」と芙陽が痺れを切らしてきた。


「この家の壁は防音性が少しあるから、そんなに大きくなければ問題ないよ」


 するとダイニングテーブルとローテーブルに皿を並べていた正悟さんが口を挟んだ。

 それなら、と小夜に目配せをすると、小夜は「お願いします」と頭を下げる。


「お!れ!だ!」


 ちょっとだけ芙陽とやらから一歩後ずさり、リビング全体に響くようにそう叫ぶ。

 すると芙陽は愚か、残りの7人もその声に驚いて俺の方向へ向いた。


 ……それならもう、芙陽とやらだけじゃなくて皆に対して、高らかに自己紹介させてもらうとしよう。


「白河小夜さんとお付き合いをさせて頂いております。初めまして、江波戸蓮と申します。

 どうか、よろしくお願い致します!」

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