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異世界に転生したら戦姫になった件  作者: アルス
バブルアイランド編

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第13話 いざ、プロミネンス島へ

アクア様が復活して数日後、私は一人、エアリアルに戻ってきていた。

バブルアイランドにはまだ残党が残っており、私、唯ちゃん、シルフィ、真里奈さんの4人で話し合った結果、フルール王国に避難したバブルアイランドの人たちへの報告には1人が行き、あとの3人は残党狩りに専念した方が良いということになったのだ。

私はエールからフルール王国行きの馬車に乗った。

フルール王国へは電車で行く方が早いが、私たちエレメントプリンセスは、フルール王国の国王様の計らいで馬車に無料で乗ることができるので、ずっと金欠の私たちにとってはかなり嬉しい。

ただ、その代わり途中でトイレ休憩はあるとはいえ、ものすごく時間がかかる。

なんなら休憩場所まで間に合わず、その辺でしてしまう人もいるくらいだ。

実はこの前、シルフィもフルール王国からエールに向かう道中、休憩場所まで我慢できずに木陰でしてしまったこともある。

そのせいか、それ以来シルフィは馬車に乗るのが凄く気まずいらしい。

やがて馬車が出発し出した。

中には私しか乗っていなかった。


「お嬢さんも変わってるね。馬車なんかより電車の方が早く着くっていうのに」


御者さんは笑いながらそう言った。


「まあ…電車は高いですし、こっちでの旅もいいものですからね」

「なるほどな。まあ今日はあんたしか乗ってないし、おしっことかしたくなったらいつでも言いな。いつでも停めてやっから」

「もう…それ、セクハラですよ。それに出発前にトイレには行きましたからしばらくは大丈夫ですよ」

「はっはっは。余計なお節介だったな」


御者さんは大笑いしていた。

とはいえ、今日はちょっと暑いからいつもより少し多めにお水を飲んでいる。

だから実際問題、休憩所までに行きたくなる可能性もゼロとは言えない。

私は馬車に揺られながら横になってみた。

思ったよりも気持ち良かった。

そうしていると、徐々に眠たくなってきた。

私はそのまま眠ってしまった。

次に目を覚ますと、御者さんが横に座っていた。


「おう。よく寝られたか?」

「え?あ、ごめんなさい。私ったらついこんなこと…」

「気にすんな。あんたしかいないんだから。それより休憩所着いたから今のうちにトイレ行っときな。ここからフルール王国までかなりあるからな」

「分かりました」


私は馬車を降りた。

その直後、強い尿意が襲ってきた。

幸いトイレは誰も並んでいなかった。

まあ、エール行きの馬車もいないし、フルール王国行きの馬車には私しか乗ってなかったから当たり前だけど。

私は休憩所の女子トイレに入り、用を足してから飲み水を買い足し、馬車に戻った。


「お嬢さん、この先結構暑いから、水分しっかり摂らないと熱中症になるからな」

「はい。分かりました」


私は御者さんの言葉に返事して、馬車に乗り込んだ。

御者さんは馬車の扉を閉めると、馬車を走らせ始めた。

しばらくすると御者さんの言う通り、徐々に暑くなってきた。


「な、なんでこんなに暑いんですか?」

「最近ここいらで温泉が見つかったみたいなんだ。で、調査してたら溶岩が噴き出しちまったらしいんだ。まあ、街道は安全が確認できたから馬車はいつも通り走ってるけど、この辺通るたびに汗だくだよ」


御者さんはそう言うとお水を飲んだ。

私も持っているお水を飲んだ。

それから20分くらい走り続け、ようやく元の気温に戻ってきた。

ただ、飲み水も休憩所で買い足した分までなくなってしまっていた。


「ふー、暑かったな」

「はい…。早くお風呂に入りたいです」

「女の子だもんな。汗だくのままは気持ち悪いだろうな」

「男性は違うんですか?」

「男は汗かいてなんぼなんだよ。特にこのエアリアルでは、男は肉体労働が当たり前だからな」

「なるほど…」

「あ、ちょっと悪いな」


そう言うと御者さんは森の中に入って行った。

かなりお水を飲んでいたし、たぶんトイレだろう。

それから少しして、御者さんが戻ってきた。


「お嬢さんもしたかったらしてきていいぜ」

「いえ、私は大丈夫です」

「まあ女の子だし、外でするのは抵抗あるよな」

「いえ、本当に大丈夫なんです。私、トイレはそんなに近くないので」

「そうかい。じゃあ出発するぜ」


御者さんはそう言うと馬車を走らせ始めた。

さっきはああ言ったけど、実はちょっとだけ我慢している。

とはいえ、休憩所から走ってきた距離を考えれば、フルール王国までそんなにはかからないから大丈夫だろう。

それから30分後、馬車はフルール王国に到着した。


「あれ?前より早くなりました?」

「ああ。実は街道がより便利なルートに変わって移動距離が短くなったんだ。だからフルール王国と休憩所の間は今じゃ最速1時間で行けるんだ」

「そうだったんですね」

「ま、気が向いたらまた乗ってくれな」

「ありがとうございます」


私は馬車乗り場を離れ、近くの温泉に行った。

そしてトイレで用を足し、体を洗って温泉に入った。


「気持ちいい…」


私は温泉に浸かりながら思わずそう呟いた。

その時、一人の女の子が私のところにやって来た。


「そのブレスレット…あんた、エレメントプリンセス?」

「え?」

「早く答えなさい」

「は、はい。フラワープリンセスの…」

「やめときなさい」

「え?」

「佐倉唯。今ならまだ間に合います。エレメントプリンセスを辞め…」

「ちょちょちょちょっと待って。そもそもあなたは…」

「みはる…」

「え?」

「『風祭みはる』。ウィンドプリンセス」

「ええっ!?」


私は思わず大きな声を出してしまった。

そんなことはお構いなしに彼女は言葉を続ける。


「この世界の住人ですらないあなたなんかに頼ることなんてできない」

「ちょっと待ってよ。なんでそんな…」

「あなたの前のフラワープリンセスも別の世界の人だったの。でもあの子はフローラ様にブローチを返して逃げた。魔王軍が怖いって言って…!その子の前も、さらにその前の子も!」

「それは…」

「だから私は異世界の人は信じない。今すぐフラワーブローチを…」

「私は違うよ」

「え?」

「確かに魔王軍は怖い。でも決めたんだもん。絶対に魔王を倒すって」

「でも…」


その時、彼女のブレスレットが光った。

そして、真里奈さんの声が聞こえてきた。


「みはる、その子は前の子とは全然違うよ」

「なんでそんなことが言えるの?根拠なんてどこにもないのに」

「本当に逃げ出すような子なら、メイルを倒してアクア様を復活させるなんてこと、やり切れるとは思えないけどな」

「メイルを…倒した?嘘でしょ?だってメイルって言ったら魔王軍の幹部の一人じゃない。そんなあいつを倒しただなんて…」

「嘘じゃないよ。フラワープリンセスは最後まで諦めずにメイルと戦った。私はそれを目の前で見てたんだから」

「………」

「だからみはる、今回は一度信じてみてもいいんじゃないかな?」

「………。………好きにしたら?でも私は信じないけどね」

「みはる…」


みはるさんは無理矢理通話を終わらせ、温泉から出て行ってしまった。

それからすぐ、フラワーブレスが光り出し、真里奈さんの声が聞こえてきた。


「ごめんね、唯。あの子、エレメントプリンセスになった異世界人に裏切られ過ぎて、エレメントプリンセスの異世界人を信じられないのよ…」

「そうみたいですね。でもフローラ様に誓っておいて逃げ出すなんて、無責任もいいところですよね」

「でも中には魔法適性が無くて私がフラワープリンセスを辞めさせた子もいるんです。だから私もある意味同罪ですね」


真里奈さんと通話していると、その通話にシルフィが割り込んできてそう言った。


「魔法は適性が無い者が使うと最悪の場合、命を落とすことも十分考えられるんです。異世界へ転生させる場合、転生時にその人のステータスが変化することがよくあるんです。私が辞めさせた子は、フローラ様のもとでは魔法適性があったけれども転生したら魔法適性を失っていたという子たちなんです」

「そんなことがあるんだ…」

「唯さんも何か変化したことがあるんじゃないですか?」

「うーん…強いて言うなら体力と守備力が上がったかも?実は私、工事現場で降ってきた鉄骨からおばあさんを守って、鉄骨の下敷きになって死んじゃったんだよね。でも今はフラワープリンセスに変身してない時でも、馬車にはねられても電車に吹っ飛ばされても大した怪我しないんだよね」

「なんでそんな大事故に巻き込まれてるんですか…」

「私、全然悪くないからね!?後ろから誰かに突き飛ばされて事故に巻き込まれてるだけだから」

「早く相談して下さいよ、全く…。まあいいでしょう。唯さんはかなり上方修正されたみたいですけど、だいたいの人はこちらに来る際には魔法適性を失ったり体力が下がったりと、ステータスが下方修正されて送られてくるんです。特にフラワープリンセスの場合、魔法適性は非常に重要となるので、適性が失われた状態で転生してきてしまうとどうすることもできないんです」

「そうだったんだ…」

「というか唯さん、さっきからずっと気になってるんですけど、もしかしてお風呂に入っています?」

「え?」

「声がやたら響いていますし、さっきからずっとシャワーの音や水の音がするので」

「あはは、バレたか」

「全く、何してんですか…」

「実は…」


私はシルフィに馬車での出来事を話した。


「そうだったんですか…。でもあり得ない話ではないですね」

「というと?」

「エアリアルの中心あたりは火山が多いので温泉やマグマがよく出ることで有名なんです。ですがマグマはかなり深いところにあるのでそれによる気温変化っていうのは無いんです」

「なるほど。そろそろ出るから切るね」

「はーい」


私は通話を終え、温泉を出て着替え、そのままお城に向かった。

そしてバブルアイランドが解放され、数日以内に帰れるようになることを伝えると、国王様はすぐに通達を出してくれた。

私はそのままホテルに行き、一晩泊まると電車で再びエールに行った。

港に行くと、真里奈さんとシルフィが待っていた。


「おかえりなさい。残党の処理が終わって、今アクアプリンセスが魔除けの大結界を張っているのでもう帰ってきて大丈夫ですよ」

「もっと早く言ってよ…。そうすれば国王様に伝えられたのに…」


私は再び電車でフルール王国に戻り、国王様に伝えた。

すると国王様は、通達を出した上でたくさんの馬車を用意してくれた。

それから2時間くらいすると、馬車乗り場にはかなりの人が集まってきていた。

私はみんなと一緒に馬車に乗り、エールに戻った。

そして私と一緒に乗っていた人たちはどんどん船に乗り込んで行った。


「みんな、凄く嬉しそうですね」

「そうだね。そういえばシルフィ、私無しで眠れた?」

「なっ…!子供扱いしないで下さい!私だって、ちゃんと眠れましたよ」


シルフィは顔を真っ赤にしてそう言った。


「あ、あはは…。ごめんごめん」

「もう…」


私はそう言いつつ、シルフィを抱きしめてあげた。


「ねえシルフィ、久しぶりにエルフの里に帰ってみたら?」

「そうですね。長老にも挨拶したいですし、お言葉に甘えさせてもらいますね」


シルフィはそう言い、フルール王国行きの馬車に乗った。

ここからエルフの里に帰るには、フルール王国まで行き、馬車を乗り換えてフィオーレの町に行ってからアムルの森を歩いて進まないといけない。

距離的に考えると、エルフの里に着く頃には夜になってしまうだろう。

まあでも、たまには仲間たちと水入らずで過ごさせてあげるのもいいだろう。

私たちはシルフィを見送り、ホテルに行った。

部屋に入ると、真里奈さんが私に問いかけてきた。


「ところで唯、シルフィちゃん、いなくて大丈夫なの?」

「あはは…。実は昨日寝ようとしたらフローラ様に起こされてお説教されちゃったんですよね。シルフィには私がいない間、エアリアルを守る役目を与えていたのにバブルアイランドに連れて行くなんて何考えてるんだって…。だからシルフィが帰省している隙に次の大陸に行こうかなって思ってるんです。いる時に出発しようとすれば意地でもついて来ちゃうので」

「またずいぶん強引な手段に出るのね。まあでも、女神様の命令なら仕方ないわね。それで次はどこに?」

「明日、早朝には出てアクアプリンセスをバブルアイランドで拾ってそのままプロミネンス島に向かうつもりです。今夜、詩織さんにも伝えます」

「分かったわ。じゃあ明日の早朝に船に直接行くわね」

「はい。お願いします」


私は詩織さんの部屋に行き、予定を伝えた。

そして翌日の早朝、私たちは船に集まった。


「準備はいい?」


詩織さんの言葉に私たちが頷くと、詩織さんはバブルアイランドに向けて船を出した。


「ごめんね、シルフィ」


私は離れていく港を見ながらそう呟いた。

バブルアイランドに着くと、アクアプリンセスはすでに結界を張り終えていた。


「あれ?シルフィさんは?」


アクアプリンセスは首を傾げながらそう言った。

私は事情を話した。


「なるほど。でしたら仕方ありませんね。ではこのままプロミネンス島へ?」

「うん」

「分かりました」


アクアプリンセスは船に乗り、変身を解いた。


「その姿、久しぶりだね。のどかちゃん」

「うん」


私たちが船室に入ると、詩織さんは船を出した。


「真里奈さん、プロミネンス島ってどんなところなんですか?」

「端的に言えば火山島よ。気候自体は火山の近く以外はエアリアルに近いんだけど、火山の近くはかなり暑いわ。あちこちで熱い蒸気が噴き出してて、とてもじゃないけど暮らすなんて無理ね」

「へーえ。あ、そうだ真里奈さん、そろそろ朝ご飯にしません?」

「そうね。詩織さんも呼んでみんなで食べましょう」


私たちは詩織さんを呼んで朝ご飯を食べた。

そして少しゆっくりしていると、船が揺れだした。

私たちが船の外を見ると、魔物たちが外を飛び回っていた。

甲板に出て改めて周りを見ると、海の中まで魔物だらけだった。

私とのどかちゃんはエレメントプリンセスに変身した。


「アクアプリンセスは海の中をお願い!私は飛び回っているのを相手するから!」

「はい!」


アクアプリンセスは海に飛び込み、魔物たちを倒し始めた。

私は魔法で飛び回る敵を撃ち落としていった。

魔物たちはものの10分程度で殲滅でき、アクアプリンセスは海から上がってきた。


「意外とザコだったね」


「ええ、そうですね」


私たちは変身を解き、再び船の中に戻った。

そして、夜になると詩織さんが急に声を上げた。


「もうすぐ着きますよ」


私たちが外を見ると、明かりが見えてきた。

どうやらあれがプロミネンス島らしい。

まさかこんなに離れているのに近くまで来たことが分かるとは思いもしなかった。

そしてそれから30分後、船は島の船着き場に着いた。

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