力の限りを出し尽くして
滅亡寸前の国。平和に暮らしていた面影は、蜃気楼のようにどこかへ消えていってしまった。戦火に鳴り止まない銃撃の音。人の嗚咽する声。降ってもない雨と雷が、永遠に起きているようだ。
政府は数年前に腐りきり、反乱軍が立ち上がった。鎮圧しようと、政府軍と反乱軍は衝突した。互いの血が流れあい、地面に滴る血を流すのは血でしかなかった。
あるものは嘆き。あるものは神に祈り。あるものは政府を信じ。あるものは政府を恨む。
「……これが最後の総攻撃だ」
埃が舞う決して清潔とはいえない部屋の軋むベットの上で、生き残った反乱軍と最後の会議を開く。この数年で数万といた兵隊は数百まで減り、生き残った者たちの体も傷だらけ。酷い有様だ。
家族を失ったもの、手足を無くしたもの。恨みの矛先は、政府へ。
「行くぞ!」
兵隊を叱咤し、体に爆弾を巻きつける。泥沼を終わらせるには、これしかない。数百の爆弾が王城へ突撃する時、この戦いは終結する。
俺たちが死んでも、どうせこの国は腐りきっている。勝手に滅ぶさ。
それでも、最後まで力の限りを出し尽くして俺たちは戦った。
ではまた。