えっちなコスプレをするのが趣味の幼馴染が俺にだけ見せてくる。あまつさえ撮影まで頼んでくる。
「ど、どうかな……?」
コスプレ衣装――というよりは布切れとしか言えないようなものをつけた幼馴染から感想を求められる。
「えっ、あっ……う、うん。……似あってると思うぞ」
俺は幼馴染のキワドイ姿を直視することができずチラ見してから感想を述べた。
だが、それは許されない。
「ちゃ、ちゃんと見てっ……! せ、せっかく衣装作ったんだから……!」
いつもは引っ込み思案で地味なメガネキャラなのに、コスプレするときの幼馴染は積極性が上がるようだ。その勢いに負けて、俺は幼馴染――咲夜を直視する。
両胸の一番見てはいけない部分を隠すようにつけられた△の布切れ。
色々とアウトな下の部分は▽で隠されている。
ちなみに咲夜はスレンダーなのに巨乳という反則体型だ。
「ぐはっ!」
すごい目と心に毒だった。
「な、なに『ぐはっ!』って! そ、そんなにダメ? ひどい?」
「い、いや……」
ひどいというかエロい。
幼馴染という関係上、今まで咲夜を異性としてあまり意識してなかったが……。
こんなセクシーな姿を見せられたら、揺らいできてしまう。
それに、いつもつけているメガネの代わりに今日はコンタクトになっていて素顔を晒しているのだが――「こんなに咲夜ってかわいかったっけ?」と思うぐらいに可憐だった。正直ビビっている。
「そ、そんなに似あってない……?」
俺が返答に詰まっていると、ネガティブに解釈したのか咲夜は涙目になる。
なので、慌ててフォローする。
「ち、違う! すごい似あってる! 似あいすぎてる!」
今流行っているアニメの女性キャラに合わせて髪形もツインテールになっており再現度が高い。
巨乳キャラだったので、胸の大きい咲夜はなおさらシンクロ率がすごかった。
「そ、そう? ほんと?」
「ああ、似あってる!」
「じゃ、なんで『ぐはっ!』って言ったの?」
「そ、それは…………え、エロすぎるから」
そう指摘しながら、俺は咲夜を真っすぐ見た。
やっぱり、おっぱい、おっきい。
咲夜の胸が大きいことは日常生活でわかっていたが、こうして見ると存在感がすごい。
「……っ!? って、そんな見ちゃダメ!」
咲夜は両手をクロスさせるように胸を隠した。
さっきは見ろといって今度は見るなで忙しい。
「で、でもっ、写真はちゃんと撮って!」
咲夜は顔を真っ赤にしながらも、そんな指示を出してくる。
俺の傍らにはデジタル一眼レフカメラが置かれていた。
これは俺の私物だ。史跡巡りが好きな俺はカメラをお供に出かけることが多い。
ゆえに、今回、咲夜から写真を撮ってと依頼されたのだが――。
「い、いいのか?」
「う、うんっ……は、恥ずかしいけど、せっかくコスプレしたんだし……」
ほんと引っ込み思案なのに、よくこんなエロいコスプレをしたよな……。
それだけそのキャラが好きということなのだろうが。
「じゃ、じゃあ、撮るぞ」
「う、うんっ、それじゃ、ポーズとるから待って」
顔を赤くしながらも咲夜はポーズをとる。
拳を軽く握って敵と対峙するような構えだが、横から見るおっぱいもエロい。
「それじゃ、お願い」
「お、おう……」
――パシャ! パシャ!
シャッターを押して咲夜のエロいコスプレ姿を撮っていく。
ファインダー越しに見る咲夜は……実にエロかわいい。
いつもの地味っぷりからは考えられない。
「はぅぅ……」
――パシャ! パシャ! パシャ!
俺は角度を変えたり近づいたりして写真を撮っていく。
人体を撮る趣味はなかったのだが……なるほど、これは楽しい。
「ちょ、ちょっと、撮りすぎだよぅ……!」
「撮れって言ったのは咲夜だろ……せっかくだから違うポーズも撮ってみたらいいんじゃないか」
「うぅっ……! ……そ、そうだよねっ! せっかくだしっ……!」
羞恥に肌を汗ばませながらも、咲夜は様々なポーズをとる。
かわいいポーズだったりセクシーなポーズだったり。
「ほら、笑った顔とか怒った顔とかいろいろなバリエーションで」
「ちゅ、注文が多いよぅ……! で、でもっ……そうだよね、せっかくだから……!」
恥ずかしがりつつも満更ではなさそうだ。
咲夜は俺の指示に応えて様々な表情やポーズをとる。
――パシャ! パシャ! パシャ! パシャ!
「はうぅ……」
さらに涙目になる咲夜。
……って、さすがにやりすぎか。
そろそろやめよう。
「……こんなもんでいいんじゃないか?」
俺のほうから撮影を切り上げることを提案した。
咲夜はホッとしたような表情になる。
「あ、ありがとうっ……ご、ごめんね、こんなこと頼めるの修平くんしかいないし……」
「あ、ああ、まあ……俺たち幼馴染だからな……」
こんな役目俺以外にできない。
「というか咲夜ってコスプレが趣味だったんだな……」
「う、うん……最初は自分で撮ってたんだけど、上手く撮れなくて……」
アニメやラノベが好きで自分で絵を描いたり小説を書いたりしていることは知っていた。
しかし、コスプレまでやるようになっていたとは。
「……ま、また今度、お願いしてもいいかな? こんなこと頼めるの修平くんしかいないし……」
「お、おう……ま、まぁ、俺でよければ……」
しかし、こんな刺激的なコスプレを撮影し続けるなんて俺の理性は持つのだろうか。
幼馴染とはいえ、あまりにもエロすぎる。
ともあれ、俺は画像の入ったSDカードを渡した。
「あ、あとで撮ってもらった写真、修平くんに送るねっ……!」
「えっ、いいのか……?」
「う、うん……協力してもらったし……そ、その、使ってもいいよ?」
「はっ!?」
「う、ううん! やっぱりなんでもない!」
使ってもいいって、なにに……?
……い、いや、ま、まぁ……深く考えないようにしよう。
その間にも咲夜は着替え――というか、普通に今の状態から服を着るだけだが――を済ませた。
「それじゃ、帰るね。きょ、今日はありがとう……」
「お、お、おう……!」
幼馴染を異性として意識することがほとんどなくなっていたのだが――今日の撮影とさっきの発言によりテンパってしまっていた。
★ ★ ★
「……ふぅ、いきなりコスプレの撮影を頼まれるなんてな。って、お?」
翌日の夜。自室のパソコンでネットをやっていると、咲夜からメールが来た。
ファイルが添付されており、それを開いてみると――。
「うぉおっ……!」
昨日撮った写真の数々!
肌色成分多めというかほぼ肌色の幼馴染のキワドイ写真は破壊力抜群だった!
「……昨日は撮影で夢中だったけど……こうしてあらためて見てみると、すさまじくエロいな……」
ほんと、いつもの地味な咲夜からは考えられない。
昨日撮影してなかったら、絶対に同一人物とは思えないだろう。眼鏡外してるし。
「……これまで咲夜をあまり異性として意識としてなかったが……」
こんなエロいコスプレ写真を見せられたら……。
「って、いかんいかん。俺たちは健全な幼馴染だ!」
俺は邪念を振り払うと「よく撮れてるな。さすが俺の撮影技術!」と照れ隠しのメールを送る。
すぐに咲夜から「ありがとう。またよろしくね!」
「……こ、これからまたコスプレ撮影につきあわされるのか……」
それはちょっと楽しみでありつつ、いつまで理性が持つのか不安になる俺であった――。
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