アトル
悟は巨人の体内から出てきた
「コイツは…死んだのか?」
アトルは倒れたままピクリとも動かない巨人を見て呟く
(「はい、暴君ゴランヌプトは死んでいます」)
今まで頭の中で聞こえていた謎の声が答える
「!!?」
アトルは周囲を見渡すが、誰もいない
「幻聴か…?俺もいろいろあって疲れてんのかな…」
悟は幻聴だと思いこもうとするが、
(「幻聴ではないですよ、マスター
それと、霊体であるマスターには身体的な疲労はありませんよ」)
「霊体⁉それに、マスター?」
またもや、謎の声さんが答えた
(「現在マスターは肉体を失い霊体のみの存在となっています、そして現在私はマスターの霊体の中に居候させてもらっているような存在ですから、マスターは私にとっての主人ということになります」)
「つまり、俺は今幽霊になってて、謎の声さんは幽霊の俺にやどってるってこと?」
(「そうなります」)
「俺は死んだのか…、
それに幽霊に宿るものって何だ!?」
(「マスターは肉体を失いましたが死んだわけではありません、現に幽霊となって存在しているじゃないですか。通常死んだものの魂がバラバラに分解されて空中を漂います、もし、マスターが死んでいるとしたら意識なんて存在しませんよ
あと、謎の声さんとは私のことですか?」)
「…そうだよ、頭の中に響く謎の声だから謎の声さん!」
(「なんですか!その安直な名付けは!もっといい名前をください!」)
「ん?謎の声さんは名前がほしいのか?」
(「はい、名前とは魂に刻み込まれるものなのでとても重要なものです!是非、命名してください!」)
「そうなのか、、、ちょっと考えるから待って」
そう言って、アトルは考え込む
(「ちゃんとした名前をお願いしますね!」)
「ミステリスとかどうだ?」
閃いた名前をアトルが言う
(「ミステリス、ですか…
ちなみに、由来は?」)
「ミステリーボイスから文字を取った」
(「……響きとしてはいい名前だと思います!マスターありがとうございます」)
由来はいまいちだったらしい
(「それでは、私もマスターに名前をあげます!」)
「ふぁ!?」
(「嫌ですか?」)
「へ?いやいや、俺は別にいいよ、もう名前持ってるし」
(「でも、マスターの名前は異世界で付けられたものですよね?
」)
「地球がこことは違う世界にあるって言うなら、そうなるな
それがどうかしたのか?」
(「はい、異世界で付けられた名前ではこの世界からの恩恵が受けにくくなります」)
「ふ〜ん、具体的にはどんな影響があるんだ?」
(「今ですと、マスターはゴーストという魔物ですが、進化が出来ないなどの影響があります」)
「進化?」
(「マスターは先程、暴君ゴロンヌプトを討伐してこのエリアのエリアボスとなっているので、確実に進化しますが、現在、名前が付いていないために、進化の保留をしている状態です。現在私がマスターに名前を授けようとする世界の理を妨害しているのでマスターに名前は付いていませんが、私が世界の理を妨害していなかったらマスターは自動的に名前を付けられ、進化が開始されるでしょう」)
「えぇ!?」
衝撃の事実だった
どうやら、ミステリスが世界の理とかいうものを妨害してなかったら勝手に名前が付けられていたようだ
「ていうか、世界の理ってなんだ…?」
(「この世界を支配し、動かしている法則のようなものです」)
「そんなものを妨害するとか…、ミステリスって何者なんだ??」
(「ふふふ、乙女に秘密を聞くなんて、ナンセンスですよ、
それよりも、ちゃっちゃとマスターの名前付けちゃいましょう」)
「あ、ああ…変な名前はやめてくれよ?」
果たして、名前を付けるのをちゃっちゃと名前を付けられていいものなのだろうか…
(「もちろん!任せてください!私はマスターと違ってキチンと考えますから」)
「まて、それじゃあ俺がまるで何も考えずに付けたみたいじゃないか、そもそもお前と俺は今日初めて出会ったんだぞ?それで、名前を決めろと言われてもな…」
(「それもそうですね、、もうこの件はいいです
私もマスターの名前決めましたし!」)
「お!いいやつ頼むぞ!」
悟は拝むポーズをした
(「はい!マスターの新しい名前はアトルです!」)
「ほぉ、アトルか…ちなみにどんな意味が?」
(「遥か昔にこの世界にいた偉大な神様の名前から取りました、その神様の名前は少し長いので縮めてアトル、としました!」)
「神様って、、そんな凄い方から名前取って罰とか当たらないの?」
「大丈夫ですよ、もうこの世界にはいませんから」
「そんなことわかるのか?」
(「はい、私は世界の理へのアクセス権限を持っており、この世界の歴史を閲覧することが可能です、、とはいえ、下位の権限ですのでできることは意外と少ないのですけどね」)
「世界の理へのアクセス権限て、さっきの名付けの妨害とかのことか?」
(「そうですね、あれもアクセス権限の行使です、
ところでマスター、その名前はどうですか?」)
悟は改めてアトルという名前について考える
「そうだな、、アトルか、、、なんとなくサトルの響きにも似ているな」
(「そうなんです!マスターがなるべく馴染みやすい名前を選んだんですよ!」)
「そうなのか、ありがとな」
悟はこの名前でいいかな、と思った
直後、
「固有名称アトルを確認
アトルの進化が可能です
進化しますか?
はい/いいえ」
悟改め、アトルの頭の中にミステリスとは違う声が響き、選択肢が表示される
アトルはなんとなくなく、はいを選択した
「アトルの進化を開始します」
アトルの身体から光が放たれるのと同時に、膜のようなバリアが貼られた
実魔物が進化する際には魔物が安全に進化が行えるように、この世界によってバリアを貼られる、このバリアはあらゆる攻撃を防ぎ、あらゆる干渉を跳ね返すと言われている、実際に進化直前の魔物を捕獲し実験を行った国家もある程だ
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進化開始から数時間後、光が収まり、バリアが解除された
「ん…?」
アトルは目を開けた
「もう終わったのか…?」
(「はい、進化は終了しています、自分を鑑定してみるとわかると思いますよ」)
「自分を鑑定ってどうやって?」
(「鑑定、と唱えるだけで大丈夫ですよ、対象を指定すればその対象の情報が見れますし、対象を指定しなければ自分のステータスが見れます、慣れれば意識するだけで発動することも可能ですょ」)
「へ〜、なるほどね、
それじゃあ、鑑定!」
名前 アトル
種族 ゴーストリッチ
称号
誤転移者 魔素生命体 蝕むモノ 貪るモノ 巨人の心臓を喰らうモノ 暴君を倒せしモノ 大物喰らい 弱者の希望 巨人キラー エリアボス
スキル
暗視Lv10 透視Lv10 生命強奪Lv10 物資憑依Lv10 侵食Lv3 暴食Lv3 不屈Lv6 勇者Lv3 鑑定Lv6 生物憑依Lv3 高速演算Lv3 並列思考Lv3
種族固有スキル
吸生Lv10
特殊スキル
アイテムボックス 眷属作成 限界突破
特性
ナビゲート 物理無効 物資透過 頑丈 万物是食 状態異常無効 魔法吸収 覇者の威圧 魔法模写 霧化
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初めて見るステータスにアトルは
「いろいろあるな…上から見ていくか」
と、気長に見ていくことにした
「なぁミステリス、この称号とか、スキルってのはなんだ?」
(「称号はこの世界である一定の基準を満たすか、特定の行動をすることでまらえます。称号をもらうとスキルを取得できることがあります。そして、スキルとは自分の行える技能のことですね、例えるならLv1,2が初心者、Lv3,4が経験者Lv5,6は熟練者Lv7,8が一部の天才、Lv9,10は歴史上の英雄、ていう感じですね」)
「なんか結構Lv10になってるやつあるんだけど…」
(「スキルは格上の相手と戦うことで急速にレベルアップすることがありますし、進化でも成長することがあります」)
「ふむふむ、それじゃあ次はこの特殊スキルってのは何?」
(「それはある特殊な条件をクリアしないと取得出来ない特別なスキルです」)
「ほむほむ、それじゃあこのアイテムボックスにいろいろ入ってるのはなんで?」
(「それはエリアボスを倒して、マスターがこのエリアのボスになったから、ゴランヌプトのアイテムボックスを引き継いだのでしょう、エリアボスが魔物に敗れ場合、エリアボスはボスを倒した魔物に交代し、エリアボス権限とともにアイテムボックスが引き継がれます、
ただし、人間にエリアボス殺された場合はいくつかのアイテムを落として、そのエリアのボスはいなくなり、アイテムボックス内のアイテムはそのエリアの魔力として還元されます」)
「ほーほー、なるほど」
(「エリアボスのアイテムボックスにはエリア内にある価値のある物が自動的に収集されます、マスターのアイテムボックスにはゴランヌプトがこれまでに集めた莫大な量の価値ある物が入ってるんじゃないですか?」)
「そうだな、、
パッと見ただけでも聖剣、魔剣、マジックアイテム、宝石・貴金属と高価そうな物が結構あるな、このリストの中でも特にヤバそうなものは呪剣、神剣、神槍あたりだな」
(「マスターは実態を持たない限りそれらのアイテムに使うことはおろか、触れることも出来ませんけどね」)
「な!?」
内心これらのアイテムにわくわくしていたアトルには衝撃的なことだった
「憑依などして実態を持てば触れることも使うことも可能です」
「そうなのか!」
それを聞いたアトルは嬉しそうだった
(「ところでマスター、いつまでここにいるつもりですか?」)
今までアトルは荒野にポツンと立っていた、近くには巨人の死体がある、ここに居ると巨人の肉を求めた魔物などがいつ襲っできてもおかしくなかった
「そうだな、移動するか」