4章 老婆
白い城が目の前に見えて来た。
どこまでも高いその城は、まるで、僕達を見下ろしているかのようだった。
「実を言うとさ、俺、怖いんだ。彼女研究するの。」
眼鏡男が、震えだした。
「何故です? そう言えば、風の世界観を知りたいと言っていましたが、あれは、どういう意味なんですか? 少女と関係ありませんよね?」
すると、ケンは、目を瞬きさせた。
え、君、知らないのと言いたげな顔だ。
「何ですか、何が言いたんですか。」
「いや、彼女は、風なんだよ。でも、人間なんだ。いや、俺達には、人間に見えるって言った方がいいのかな? 俺の友人がさ転生する前に彼女の後を追ったんだ。白猫ナーバスって言うんだけど。」
ナーバス。
そうだ、ケンの昔の姿は黒猫だった。
「ナーバスは、風の少女の後をついていった。でも、それっきり帰ってこないんだ。」
「何故? 行方不明なんですか?」
「分からない。でも、帰らない。少女が捕まえたのか。あるいは、風の世界に迷い込んでしまったのか。」
僕は、思いついた。
彼が行った世界は、ここなのではないかと。
エナジーと呼ばれるこの世界なのではないかと。
「いや、君が思っていることは不正解なんだよ。」
釘を刺された。
「じゃあ、彼は。」
「うん、亡くなっているかあるいは、」
『彼女と共にいるかだね、ケン。』
振り向くとそこには、城の門前に小さな老婆が立ちすくんでいた。
『はあ、相変わらず汚いねお前は。絶対に通さないからね。出直してきな。』
気品溢れる老婆だった。




