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22章 人間トム
黒猫トムは、泣き虫だった。
彼は、孤独だったのだ。
人間に餌を貰うべく何度も鳴いた。
だが、餌は一つも貰えなかった。
痩せ細った体では、誰も見てくれない。
人間が抱いている猫は、気品がよくふっくらとしていた。
ケンは、泣いた。
人間の心で泣いた。
彼は、猫の体では孤独しかなかったのである。
だからこそ、エナジーで仲良くなった風の少女、ナターシャに、人間にさせて貰った。
孤独から開放して貰った。
でも、満たされはしなかった。
結局、人間ケンになっても黒猫の時代と同様、人は彼を見なかった。
だから、ナターシャの世界観で生きたいと思ったのだ。
幸福をそのまま幸福と感じられる彼女の世界観に。




