21章 黒猫
『分かった、彼を殺すよ。』
僕は、力を増幅させた。
追いかけてきた青年をこれで射抜く。
『サラス、本当にやるんじゃないだろうな? キュラ神は、私の友だ。殺すんじゃない!』
ナターシャは、鬼気迫る男のようだった。
『ナターシャ様! まだ、そんなことを言っておいでですか! ダークネスは、もう、闇に落ちたのです! 彼は、悪魔です!』
『何を言っているんだ! お前達が伝説にしたのは、サラスだ。私の友は、ダークネスだった! 何故、書き換えた! そんなに恐ろしいかあの男が! これは、差別なんじゃないのか!』
ケンは、普通の青年だった。
間違いなく。
研究者としての彼は、生き生きしてたから。
『殺して下さい! サラス様!』
『分かったよ。』
僕は、黒い男目掛けて祈った。
そして、無にしたのである。
『サラス!』
ナターシャは、ボクに掴みかかった。
怒っている。
綺麗な彼女は、友人のために怒っていた。
『ダークネスは、キュラ神なんかじゃない。ただの黒猫だ! 人が、やつを化物に変えたんだ!』
人間を憎んでいるのか。
そうでないと、
『エナジーを壊すなんて言えないな。ナターシャ。』
僕は、白い手を振りほどいた。
『ナターシャ様!』
ノエルが、慌てて彼女に駆け寄る。
僕は、ダークネスを見た。
『お前は、今、何を感じる?』
すると、彼は、首を傾げた。
『何も感じない。』
『そうだろう、それが無なんだ。僕やナターシャは、欲がない。無の世界で生きている。これは、神だからだ。人間みたいに感情という欲がないんだ。普通の神になら、あるのかもしれないがな。』
ケンは、理解し難いようだった。
『ナターシャは、そんなにいい世界観の中にいないということだよ。ケン、君は君だけの世界の中で生きるんだ。誰も邪魔はしない。』
僕は、彼を無に戻した。
『うわああああああ。』
黒猫の姿に戻したのだった。




