1章 謎の男
「ははははははははは、迷いし青年よ。」
なんだここ。
バックすら持っていない。
でも、僕は制服だ。
ただ、全て道具がなかった。
勿論部屋の中にいる母親もいなければ、ドアもない。
このままでは、家に帰れないのでは。
焦る気持ちが先立った。
「おーい、青年。」
誰かに話しかけられている気がする。
どこだ。
「うわあ! 何でそんなところにいるんですか!」
彼は、植物園に体が埋まっていた。眼鏡だけ地面に出ている。
目もだが。
「いやあ、俺以外の人間来るの久しぶりだな。君、高校生?凄く楽しい時間だよね。あぁ、もう、あっちの世界の幸せな時を忘れつつあるよ。」
「あの、あなた、一体誰なんですか?」
すると、いきなり、地面から長身の男が顔を出した。
痩せ細った体にしわしわの顔。でも、そこまで年齢はいってない瞳。
銀色?
髪は、手入れをしていないのかボサボサだった。
「いやあ、久しぶりに植物園から出たよ。君、名前は?」
「えっと、長谷涼。」
「涼君かあ。いい名前だね。俺は、ユウマ。ケンユウマ。宜しくね。ここで、彼女の世界観を研究しているしがない男だと覚えてくれ。」
僕は、不思議な研究者と出会ったのだ。