17章 表裏一体
何で特別なのだろう。
普通じゃないやつは、排除されるのだろう。
おかしくないか?
何故、普通以外は、認められない。
だから、僕は、ナターシャに問いたいんだ。
本当に地球を守ることに意義があるのか。
あんなやつらを生かす価値があるのか。
「おい! 涼!」
ケンが慌てて追いかけてきた。
なんなんだよ、一体。
「俺は、お前を利用しようとした。それは、謝る。」
別に何とも思っていない。
人を利用するのが人間だ。
遠い昔から知っている。
「でもな、俺は、お前が好きだ!」
『は?』
目を疑った。
何言ってんだ、こいつ。
頭イカれたのか。
「お前には、しっかり意志がある。ナターシャ様と同様、綺麗な景色がその場にある。人間によって、変わらうとしているのは、おしいが、俺よりもっと、色々なことが出来る! いや、お前が特別だって言いたいんじゃないぜ。それは、禁句だって分かった。お前は、優れてるんだ。空気だったお前は、全てを無に出来る。才能がある。それは、お前の個性だ。特別なんかじゃない。普通だ。個性が強いだけの普通の人間だ。俺だって元は、黒猫だった。普通じゃない。でも、今は人間だし、種族は関係ないし、だから、どんな形であっても、みんな、一緒! そうだろ? お前は、この気持ちを俺らに伝えたかったんだろ?」
研究者ケンは、必死に僕の気持ちを理解しようとしたらしい。
所々間違ってはいるが、正解だ。
そうだ、僕はそのことを伝えたかった。
「会いに行こうぜ、ナターシャに。自然界を止めるように言おう!」
『違う、そうじゃない。エナジーは、人間にとって必要なんだ。昔、僕は、エナジー自然を敵とみなし、いつも戦っていた。無くなればいいという気持ちと戦っていた。だから、今、人間に触れてその気持ちが変わろうとしてるんだ。守る意味がないと思った。でも、揺れてる。ケンのように、ストレートに想いをぶつけてくれると清々しい気持ちになる。人は、自分を変えてくれるんだ。これは、すごいことだと思わないか?』
ケンは、僕の言葉を理解しようと必死だった。
だが、僕はそれでは駄目なんだと思った。
僕の言葉がこの世界で、当たり前にならなければ意味がないのだから。
『もう、会いなさいよ、ナターシャ様に。』
カイルが、僕に秘密のカギをくれた。
なんだ、これ。
『あなた、空気神でしょ? 空気を自在に操れるはず。その人はね、空気を扉にしてエナジーに帰れるのよ。それは、そのドアを開けるカギ。』
カギ。
そんなものが使えるのか。
『狼共が邪魔するだろうが、はねのけろ。お前は、強い。自分の意志を尊重すれば絶対に誰かは認めてくれる。ナーバスに会えるといいな。』
ナーバス?
「あれ、ケン。ナーバスって、ライクのことなんじゃ。」
「あん? 違うよ。ナーバスは、白猫。こいつは、白猫だが、種類が違う。まあ、親友には変わりないけど?」
じゃあ、一体何者なんだ。
『涼、こっちを見て。』
「え?」
『世界は鏡で出来てるの。私達は、ノエル、ナーバスの虚像。仮の姿。私達は、二人で一つなのよ。あなたは、空気神サレスと表裏一体。だから、鏡で出来ているのよ。こんがらがってごめんなさいね、サレス、涼、頑張りなさい。』
表裏一体?
人には表と裏がある。
僕は、今、裏のノエルとナーバスに話したということなのか?
だから、双子だけど、姉と妹ではないと言ったんだ。
「ケン、君の姿は?」
「さてさて、行きましょうか。エナジーに。」
話をそらして彼は、外に出た。
空気の壁が出来上がる。
そして、僕が鍵を使うとヨレッとねじれドアになった。
エナジーへと帰る。
君は僕だ。
僕はあなただ。
風の少女にも裏があるのだろうか。
ケンは、一体。
知らぬ間に僕は、彼女の世界に入っていたのかもしれない。




