14章 自分とは
「どういうことだ、カイル。なら、俺達、今の考え方では、一生その姿を頭に焼き付けることは、不可能だと?」
『えぇ、そうよ。風の少女、ナターシャは、あなたには、会わない。勿論、涼、あなたにもね。』
別に言われなくても分かってる。
しかし、あの少女。
ナターシャと言うのか。
美しい名前だ。
『ナターシャは、神よ。風の神。あの子の世界は素晴らしいの。だから、神官達がその命を守ってる。聖なる命なの。あなた達凡人の命とは、核が違うのよ。』
「そうかな。」
僕は、その言葉に気づかながら反論していた。
いじめっ子がよく言っていた台詞と似ていたからだ。
お前は、凡人だ。
俺達とは、違うんだ。
下なんだ。
下なんだから言うことを聞け。
毎日のように言われ続けていた。
人は、誰かを見下さないと生きていけないのか。
そう思った。
でも、神さえそうなのであれば、僕は。
「人間が普通に見えてきた。」
「おい、どうしたんだよ、涼! イカれちまったのか?」
ケンが、心配そうに僕を見ているがそんなの構わない。
「僕は、人間に無関心だった。自分の思う通りにしか生きない人間は、人のためには絶対に生きない。だから僕は、人間に心を許さなかった。でも、それが普通なんだ。神でさえも上下関係を気にするのであれば、人間は、可哀相だ。僕らはあまりにも哀れだ。だって、そうだろう? お前ら神が僕達を見下しているのだから。僕をいじめていたやつらだって、凡人だと下に見てる。神には、感情がないと思っていたけどとんでもない。僕らは哀れだ。哀れな孤独な迷い子達だ。僕は、風の少女に言いたい。君は、人間をどう思うのか。欲を哀れに出す人間をどう見ているのか。彼女の世界観が知りたいんだ。哀れな人間達に、力を貸してくれないか? カイル。」
僕は、その時、恐らく人間ではなかったと思う。
体が軽かったんだ。
これは、家から出た時の感覚に似ていた。
僕は、一体何者なのだろう。
そう思った時、カイルが抱いていた白猫が床へと降りた。
そして、煙と共に人間の姿へと変わったのである。
『ケン、久しぶりだな。やっと、見つけたのか? 風の少女と会う手段を。』
「ライク! 無事だったのか!!」
それは、ケンの親友である、ライクだったのである。




