13章 カイル
「カ、カイルじゃねぇか!」
ペットショップの中は、外見同様ヨーロピアンな造りでとてもモダンだった。
そこに白い猫を抱いた女性がいたのだ。
ノエル?
彼女にそっくりだった。
『私は、ノエルじゃないわ。双子よ、私達。』
双子。
それにしても似ている。
はっきりとした顔立ちがとても美しかった。
だが、ノエルの場合、口から生み出るものの方が美しく彼女に目がいかなかった。
だが、カイルは、全てにおいて美しかった。
死を予感出来る。
予知者。
『あなた、キュラね? 涼、私を覚えてる?』
ペットショップは、幼少期の頃に行っていた。
でも、これほどまでに美しい女性がいるなら知ってるはず。
『記憶がなくて当然よ。あなたは、元々人間じゃないもの。それを知りたいんでしょ? 風の少女に教えて貰ったらいいわ。』
「いや、それがさ、涼は、あわせられないってあんたの妹に言われてるんだよ! 何とかしてくれよ。」
『ノエルは、分身よ。妹とか、姉とかはないわ。そうね、涼、あなた、何をそんなに怖がってるの? 幼い頃からそうだった。人が怖いの?』
カイルの瞳が赤く光った。
僕は、冷や汗が体から飛び出す。
怖い、そうだ、昔から人は怖いさ。
自分以外の人は、信用出来ない。
だって、僕を笑い物にしたから。
人としてちゃんと見なかったから。
「涼は、キュラなんかじゃない。 そうだろ?」
ケンに言われたが、僕は首を振らなかった。
あってるんだよ、僕はキュラなんだ。
風の少女に会ってはいけない人間なんだ。
『涼、あなたは、風の少女に恋をした。そして人間になった。元は何かを知らないけれど心に闇を持った少年に転生した。あなたは、元々死んでいる。一度目が死んでいる。そこが、ケンとは、違うところね。』
「死んでる? どういうことだ?」
『あなたは、キュラの黒猫で私があなたを救いエナジーに送った。でも、まだ、風の少女に会えないのと同じでこの青年も、転生してるけどそもそも生きるものではないし、あなたは、キュラになりかけの青年に転生したのもあって、せっかく転生したのに、風の少女には会えない。』
だから、なんだ?
僕は、壊れ物なのか?
いたらいけないのか?
「黒猫ケンは、俺だけだ。なら、涼も涼だけだろ。転生しても意識は同じなはずだ。」
『いえ、違うわ。転生してももし、最初の命がすでに尽きていて風の少女が吹き替えしたことにより、備わった命がキュラの青年だったのであれば、これは、試練よ。』
試練?
『私にあなたは、会いにこれるか。一度キュラになったら二度と会えない。でも、彼女は、かけたのよ。あなたが克服することに。私はあなたを救えない。ノエルから、お守りを貰ったみたいね。』
僕は、ポケットから鳥のお守りを出した。
綺麗な青だ。
『あなたにあげるわ。自分で過去を克服しなさい。トラウマから開放しなさい。私は、小さい頃から見守ってきた。それは、風の少女があなたを選んだからよ。私はあの方の右腕。エナジーには、いないけど影でいつもあの方を見守り悪を退治してる。』
ケンは、その言葉を聞いてカイルに詰め寄った。
「なあ、カイル。風の少女は、どうして、神聖なものや人以外には顔を表さない? 俺らは見ているにも関わらず見えてないんだ。表情を髪色を服を覚えていないんだ。何故だ?」
カイルは、キャットフードをケンに投げた。
ケンは、慌てて飛びつく。
人間になっても好みは一緒なのか。
『それはね、あんたが、本当の意味で彼女を必要としていないからさ。自分のためにしか彼女を見ていないからさ。』
カイルは、タバコを持ち出し吸い始めたのだった。




