表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

言葉を重ねるしかないんだ(一日一詩(あくまで目標)

なにかを操作したいとき

作者: ふにゃこ(水上える)

小さなコンパスと灯りだけ持って

暗闇の中を進むしかないんだ


コンパスはたまにぐるぐるまわって

あっちこっちを指したがるが

そういうコンパスしかこの世界にはないんだよ

だって世界の方こそがぐるぐるまわっているのだからさ


気を付けろ、

賢者でありたいなら賢者であろうとするな

愚者でありたいなら愚者であろうとするな


大事に抱えている地図は

ちゃんと見たい世界のものを記しているかい?


鳥が巣をつくるとき

木を植えるところからははじめない

野生の鳥は己に操作できるものと

できないものとを弁えている


木の実は空中からは生まれてこない

生まれたばかりの小鳥は空を飛べない

そんな大きな流れの中の理屈さ

遺伝子の中に宿した長い長い時間さ


真実は掴み取ったそばから

手の中に収まる小さな氷の塊のように溶けていく

大量の水のような嘘の中にまぎれて消えていく

おまえの手の平の温度がそんなふうに変えてゆく


なにが間違っていたんだと嘆いて終わりかい?

己が所有したと思ったことが間違いだった

無知の知なんてよく言ったもの

おまえの手にはいつだって余るのさ


おまえはたったひとり、たった数十年

相手はいつだって何千億年をも超えるなにかの集合体

まっすぐ立ち向かうから強いだなんて

この世界は思いの強さがすなわち力になる場所ではないよ


思いの強さが強いとすれば

いちばん強いのは根拠のない妄想になる

そんな世界に住みたかったのかい

与えたもの与えられたものすべて失くしてしまう世界が望みかい


気をつけろ、

賢者でありたいなら賢さを疑え

愚者でありたいなら愚かさを知るなよ


知恵の大樹はのぼるほど伸びてゆく

切り落とすほど征服できる

ごまかせば正しくなる世界が望みかい

立ち止まったなら扉を開けるとき


なにかを操作したいとき

いちばん変えたいのは自分の心だ

誰かを操作したいとき

まったく意味を成さないのは他人の心だ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ