一日目 〜チュートリアル①〜
気が付くと、僕は真っ暗な空間に居た。
辺りを見回して見るが、何も見当たらなかった。
自分の手を見てみると、しっかりと見えたので僕の目が見えなくなった訳ではないようだ。
困ったな……。
何をすればいいかわからないな……。
もし、【直感の才】や【思考の才】のような【才能】があればこの状況が変わるんだろう。
でも、僕には何もない。
結局、努力じゃどうにもならないんだ。
『ようこそ
【Skill Of World】へ』
「っ!?」
突然、無機質な声が聞こえ、思わず後ろに飛びのいてしまった。
辺りを見回すが先程と同じで黒い空間が見えるだけ。
「誰……?」
恐る恐る声をかけると、また声が聞こえてきた。
『私はチュートリアル担当のAI、リアと申します』
チュートリアル……。
そうか、ここは既にゲームの空間なのか。
『まず初めに、【メニューオープン】と言ってください』
「……【メニューオープン】」
指示されるままにそう呟くと、目の前に濃い青色のウィンドウ画面が現れた。
〜メニュー〜
【ステータス】
【才能】
【持ち物】
【???】
【???】
【???】
【ホーム】
ハテナで表示されてるものが複数あるのが気になるけど、メニューの内容は一般的なゲームと同じようなものだった。
あれ……。
本当に同じなのか。
一番下にある【ホーム】、これがゲームをやめるためのコマンドなのか。
『表示されましたか?
それでは次の説明に入ります』
「ちょっと待って!」
『なんですか?』
「……ゲームをやめる時はどうすればいいの?」
『やめることは出来ません』
「えっ………!?」
やめることが出来ない………?
それは……
「どういうことなの」
『……その質問に答えることは現段階のステージではできません』
現段階のステージ……。
つまり、このゲームは何ステージかに分かれているのか。
そう言えば、僕はこのゲームについて何も知らない。
いや、知らなさ過ぎる。
『続きを説明してもよろしいですか?』
………まずは、このリアって言うAIから説明を受けよ
う。
「うん、お願いします」
『では、メニューの選択の仕方です
表示されているウィンドウを指でタッチすることで、選択することが出来ます
まずは、【ステータス】をタッチしてみてください』
目の前にあるメニュー画面の【ステータス】の文字を指でタッチする。
そうすると、更に先程より薄い青色のウィンドウ画面が出てきた。
〜ステータス〜
名前:神原勇気
才能数:0
装備:なし
……まぁ、わかってたことだけど。
こう……文字で表わされると、ヘコむな、やっぱり。
『それがあなたのステータスとなります
ステージクリアの達成度も表示されますので、適時確認することをオススメします
今表示されているウィンドウを消したい時は、指で横にスライドして下さい』
今の僕の気持ちなんかお構いなく、説明が続けられていくので、見たくないウィンドウを指で横にスライドする。
そうすると、スッとステータス画面が消え、メニュー画面となった。
『次に【才能】を選択して下さい』
………えー。
更にえぐってくるの、このAI。
無視しようかな。
『0なのはわかっていますので、早く選択して下さい』
………え、何こいつ。
容赦ないよ。
しかも、感情も何もない声だから、余計に容赦ない。
更に何か言われても嫌なので、気が乗らなさ過ぎるけど、【才能】をタッチする。
そうすると、今度はメニュー画面と同じ色をした小さなウィンドウ画面が出てきた。
〜才能〜
【一覧】
【???】
【???】
【???】
メニュー画面と同じでハテナで表示されているものがあった。
ステージ?が進むと、表示されるようになるんだろうか。
『次に【一覧】を選択して下さい』
はいはい。
どうせ何も表示されないんでしょ。
そう思いながら、指示された通りに【一覧】の文字を触る。
すると、2つのウィンドウ画面が表示された。
【所持才能】と【取得可能な才能】の一覧。
『【所持才能】は今、あなたが所持している【才能】です
【取得可能な才能】はあなたが取得することができる【才能】です』
「っ……!!」
リアが言ったことに、僕は言葉を発することが出来なかった。
だって……【取得可能な才能】の一覧にはいくつもの【才能】が書いてあったから。
『今のあなたは確かに【才能】がありません
ですが、あなたには無限の可能性があります
それを……忘れないでください』
先程と違い、何故か感情的な声に聞こえた。
まるで……誰か人と話しているような感じだ。
『それでは、次の説明になります』
リアはまた無感情な声で説明を続けた。