プロローグ
世界には天才と呼ばれる人がたくさんいる。
ノーベル賞を受賞した天才、その分野で活躍する天才、世の中に認められた天才、独裁者として恐れられた天才、歴史で語られる天才、良い悪い様々だ。
天才と呼ばれる人達は、皆才能があった。
もちろん努力もしていたはずだ。
かの有名な天才が残した言葉がある。
『Genius is one percentinspiration, 99 percentperspiration』
この頃の訳は『天才とは1%のひらめきと99%の努力』。
どんなに良いアイディアでも、それを活かす努力をしなければ、無駄なこと。
そう解釈されていた。
『才能だけが全てじゃない』
『努力をすれば報われる』
そう勇気付けられる言葉だったのであろう。
昔はその才能に皆気付くことがなかったから、努力をすることが許されていた。
実際に、大器晩成型で成功を納めた偉人も居る。
けど、文明が進化した今となっては違う。
科学が進歩し過ぎた今の世界では、才能が視覚化されるようになった。
この人はどんな【才能】を持っていて、どの程度の【レベル】なのか。
今の世界は才能が全てだ。
人々は皆、己にあった才能の職につく。
【野球の才】を持つ人はプロ野球選手に、【科学の才】を持つ人は研究者に。
何故かって?
才能を持たない者は、才能を持つ者には勝てない。
それが、今のこの世界の常識。
『才能が全てじゃない』
『努力をすれば報われる』
そんな言葉、今の時代には通じない。
『才能が全て』
『才能がなければ努力をしても無駄』
それが今の言葉だ。
『Genius is one percentinspiration, 99 percentperspiration』
今の時代の訳はこうだ。
『1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄である』
どんなに努力をしても、1%のひらめき……ひらめく才能がなければ無駄。
つまり、結局のとこは才能が全てってこと。
だから、僕は思う。
こんな世の中、クソくらえ、と。