旅の途中はロボット談義に華が咲く
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しばらく馬に乗り、疲れたので適当な場所で休憩をする一行
「あと半分くらいか?もう1週間経つからなぁ」
「もう少しで中間地点の村があるはずだ」
「てゆーかその馬、実際1.3倍くらいじゃね?予定通りに進んでるし」
「そんな事は無い!俺達が休み過ぎただけだ!!」
「いやいや3倍だったらもう着いているって」
「やはりヒゲにすれば良かったか.....」
「おい、マニアックなネタするんじゃねぇ!ついていけねえだろ!あと、馬がワープして堪るか!!」
「黎弥は、どんだけ好きなんだよガン〇ダム」
「この気持ち...まさしく愛!!」
「愛!?.....って、ちげーよ間違えて反応してしまったわ!世界一有名なハムの話は置いといてだな。」
「お前は、どう思う?」
「何がだ?」
「賢狼だよ」
少し、ほんの少し話題からそれてしまったので話を戻す。
.....始末書モノだな....
「恐らくいるだろう途中の村でも『居るらしい』と言う噂は聞いただろ?」
「妹さんの容態に変わりなければ良いんだけどな」
「ナルは基本俺以外に優しいんだな。」
「何だ?嫉妬か?俺は女の子じゃ無いと。あ、いや、男の娘ならワンチャンあるかも」
これは決して冗談じゃ無い俺は意味の無い嘘は吐かない。大事なのは、可愛いという事だ。
「見掛け倒しでなければいいのだがな、」
「この世界来てからナルが若干気持ち悪いのだが?いや、前からそんな感じだけど磨きがかかったような....」
「うるせぇそろそろ行くぞ!」
都合の悪い話は切り上げる、大人だ、
θ
とりあえず中間地点の村へ着いたので村の人に聞き込みをする。
向かいの家に人影が見えたので聞き込みをする。
ーコンコンー
「すいませーん」
ガチャっと音がして眠そうな顔をした男が隙間から顔を覗かせる。
「なんだあ?」
「あ、賢狼の情報を探していまして....」
「賢狼だあ?そんなんしらねぇ!...と言いたいところだが最近うちの村で話題でよ、なんでも大量のエリクサーを持ってるとか、だから山脈に向かうやつが後を絶たねぇんだよな。そんでもって騒ぎになってるのが兄が怪我したって小さな弟が、山脈に向かおうとしたりだ。母親がどうとかそういう子供を長老様が引き止めてる状態だな。」
「あ、詳しい情報ありがとうございます。」
こんなおっさんでもやはり子供の命をほっては置けないのだろう。関心だ関心だ
「因みに長老様の家は、この通りをずっと行った所だすぐに分かるだろうよ、無理すんじゃねぇぞ!」
「わかりました気をつけます、では!」
村の中を少し早めに歩く
何故かというと少し不気味だからだ
人が少ないなんて物じゃないみんな屋内でひっそりしているのだろう。
「何はともあれ、着いたな」
「ここが長老家か、」
「お主らワシに用があるのかのう?」
呼ぶ前に家から出てきた長老は俺らが何を聞きたいのか分かっている様な、全て理解している様な目をしている
心を見られてる様だ
「賢狼」
その後すぐに長老は呟く
「はいそうです。賢狼を倒しに行きたいのですが住処を知りません。」
「お主ら、なんか勘違いしとりゃあせんか?え?」
急に声のトーンが下がり空気の温度が下がった様な感覚になる
「賢狼は人に仇なさん、なのに何故か殺す?仇なすならば依頼が出てるだろうに」
「ですが!人が死んでると!」
「そこじゃよ本当に危険なのは山脈じゃ、賢狼は誰も殺しておらん」
「交渉しかないと?賢狼は喋る事が出来るんですか?」
「わしゃあ何も知らんがその程度の知性はあると聞く」
「あ、あの!私も連れて行って下さい!」
会話に割り込んで来たのは14~16歳くらいの女の子だ
「駄目だ、」
意外にも断ったのは、黎弥
「なぜですか!私は賢狼の巣まで行った事があります!道案内もあと私はマジックボックスを持っています!荷物持ちでもいいですから!お願いします!」
必死にアピールする少女に流石にいたたまれなくなり。もういいじゃないか、と言おうとすると察したのだろう。手で俺を制止する。
「大人しく待っていればいいだろう。俺達はお前の命まで責任は持てん!」
「母が....」
やはりこの世界には不健康な人が多すぎる
あの姫様と同じ状況なのだ薬は大量にあるに見たいだ
「では、1人で行きます...」
これは苦渋の決断だ恐らく1人では帰って来れないだろう
何せ前回仲間を全員失い帰って来たのだ。
「ふざっけんな、」
「お前以外にも同じ境遇のやつは腐るほどいるんだ!そしてこの旅でお前が死んでお袋が治ってもッ!こう言うだろう『私以外の人が救えたのに』ってなあ!」
こいつが感情的になるのは理由がある。
こいつ、伊玖磨 黎弥の家周辺が昔集団で食中毒の様な状態になった。しかしそれは、食中毒では無く水道水に毒が混じっていたのだその影響は数千世帯に及び、薬が足りなかった。そして黎弥の母親は完全に弱り切って尚、薬を持って来た黎弥を叱り付ける。優しい説教であったが 当時5歳の黎弥には、その言葉一つ一つが胸に刺さるものだった「私は、もうダメ、救える人を救いなさい」その言葉を受けたから
受けたからこそその叱責だ。
自分の命を軽んじる発言が琴線に触れた
「本当に大切な人を守るんじゃねぇ、本当に大切な人の大切な物を守ってやるんだよ、」
「でも!」
「お前は無駄にしようとしたんだ自分の命を」
それでも、真っ直ぐ見つめ続ける瞳に黎弥は、ハア、と息をつく
「つい、熱くなってしまった、柄じゃ無いな」
そう言って俺に目を流す。
「いや、最高にかっこいいぞお前ハハッ」
そう言って話を、少し和ませる最終的な決断は俺に任されたんだ。しっかり答えよう
「俺の器では全人類は背負えない、だがまあ、」
そこまで言うと黎弥は全て納得したようだ
「俺は全人類背負うことができなくても目の前で泣いてる女の子と、その女の子が大切なにしてる人くらいは守りたいと思う。それくらいやってのける、そう思えるくらいの力を俺は神から貰ったんだ。あの頃はその力が無かった、だから、何も守れ無かっただけだろ?」
「そうだな、」
もう感情的になっていた頃の表情は無いいつもの穏やかな表情だ
「でも今お前には守る力がある」
「こいつは昔の俺だ」
と、守れなかった人を浮かべる
「まあ、死んだ母親を自分のせいにするのはいいけど救ったやつも忘れんじゃねぇ」
そう、こうして救われた命が成宮 弥生
黎弥は命の恩人と言う訳だ
「んーつまり、俺が全部守ってやるからついて来いってこと」
「本当に救って頂けるんですか?」
「まあ、但し条件がある、」
「条、件」
ゴクリと生唾を飲む
「これからもこういった境遇の人は絶えないだろう。だけど頼られた時救ってやって欲しい、そして頼られた時救ってあげれる強さを持って欲しい。」
「わ、わかりました!!その、優しいんですね、」
頬を染めて俯く少女
え、これってそういうフラグ?
「ゲフンゲフン、では気をつけるのじゃぞ!」
話の流れで置いていかれた長老がここぞとばかりに存在をアピールする。