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ギルティ・テンポ

今日はあれだ、嵐だ。

なのに何故俺は傘も持たず川の堤防にいるのか、1つずつ説明して行こう。

答えは簡単だ。まず傘は家を出た瞬間スクラップだ、

では何故、家を出なければいけなかったのか。


朝、目が覚める時には既に風が吹き荒れていた。こんな日に外に出る馬鹿はきっといない、と見事にフラグを建ててしまった。ずぶ濡れで来やがったのは、諸悪の根源

俺の保育園からの腐れ縁である、伊玖磨いくま 黎弥れいや

中二病を患っている。玄関先でハァハァと息を切らしながら俺の肩を強く掴んだ。走って来たのだろうこの風の中を走るのは相当体力を使うはずだ。


「こんな日にどうした馬鹿なのか?」


答えは帰ってこない

あまりに真剣な眼差しなので真面目な話かも知れないと聞き耳を立てる。

そして


「風が、風が呼んでいるんだ!行かなければならない!」


真面目に聞いた俺が馬鹿だった。頭痛てぇよ

俺の手を有無を言わさず引く黎弥に流石に腹が立ち、繋がれた手を引き離す。そして一喝


「俺は呼ばれてねぇ!!!」


θ



俺は成宮なりみや 弥生やよい

黎弥からはナルと呼ばれている


「おいナル、付いてくるなら最初から付いてこいよ」

出発して十分くらい経つ

結局俺が折れることは分かっていたのだろう、十年以上の付き合いだ

だからこそ無視をする。疲れるしな


「それで?風の声はどこに呼んでるんだ?」


「川、答えは着けばわかるらしい」


「はぁ、」


もう最近腹が立つ事が少なくなってきた。昔なら喧嘩になっていただろう。

もう面倒だから反発しないでついて行こう。

それがきっと最善だ、


そうこうしているうちに川が見えて来た。もう坂を下るだけだ。

風の声の導きはあるのかと目配せすると。


「風は、この堤防にて魔法陣を展開し異なる世界に俺を飛ばすと言っている。あと数分もすればこの世界に戻れなくなる...。」


......流石に末期なんじゃないか。


「黎弥は、行くのか?」


真面目に答えるが、信じている訳じゃない。どうせいつもの妄言だ。


「俺は行く、闇の雷を司りし血族だ運命には抗えん。お前も覚悟が無いのなら来るべきでは無い」


「いくいく俺も行くから異世界行ってみたい」


適当な対応は適当だ。つまらないギャグだがこの場合理にかなっている。

そして、そんなふざけた解答をした自分に次の瞬間後悔することになる。


θ


「我は風の声、汝力を求めるか?ならば我が世界に来るが良い力を渇望し続けた汝の願い聞き届けよう。」



うん...あれだ、ガチなやつだ 川めっちゃ光ってるし

まあ、気持ち落ち着かせて

とりあえず質問をしよう

うん、そうしよう。


「あの、」


「なんだ質問か?良かろう答えてやろう」


「えっと、これってガチなやつですか?」


「如何にも、其方の言うガチなやつだ」


「そんで俺は、巻き込まれただけでもう帰れるんですよね?」


「そんなわけ無かろうが其方が、行くと言った瞬間契約は交された破棄など出来んわ」


そして横にいる黎弥にポンッと肩を叩かれた。殴りてぇ


「まあ、ナルお前は俺の友だ、抗えない運命に巻き込まれるのは必然だ、」


「では、召喚を開始する。」


「ちょっと待っ!?」


「待たない」


風の声に慈悲は無いのか。うちは早いうちに父親が他界母子家庭で妹との3人暮しだ。心配かけるだろうから、せめて最後に挨拶しておきたい。


「その役目、私が果そう」


「心読むな!!」


あぁダメだ、あの黎弥に呆れ顔されている。

もう黙ろう。


「では、行こうか」


その声がやけに頭に響いた。

その後、間も無く視界がブラックアウトした。


θ


何も無い空間だ


そう思った、


隣には黎弥が走り回っていた かなりウザイ


「とりあえず来てもらったのは私が創造した空間だ」


おい、やめろ異能っぽいことすんな。黎弥の目がキラキラするだろ


「す、すげぇ」


「それで?何故ここに連れてきたんだ?」


「まあ、まず自己紹介からだ、私は声だけでしか存在出来ないが神だ。」


「へー、んで?」


「私は神龍よりも力があるものと考えてくれ」


「まじかよ!!」


黎弥会話入って来んなテンションのお陰でキャラが崩れてるがな。

そして目を輝かせた黎弥が神を見て考えて込む


「もしかしてだけど....望んだ力を与えられるのか?」


「如何にも、しかも2つだ。時間は無い早く決めろ」


(そうだな魔法がやっぱいいかな?いや剣術も捨て難いでも異世界で生き抜くには死なない事が大事だから...)


「後、十秒だ」


すると黎弥は、何かを決心した様な顔をする


「闇と雷だ、」


「だろうよ!!ついさっき言ってたしな!!」


つい突っ込んでしまう、駄目だ自分のを考え無ければ


「タイムアップだ答えを聞こう...」


「け、剣術と切られてもすぐ回復するような回復力だ」


「汝の願い聞き届けよう、これから新しい世界だ好きな人生を歩むと良いハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ.....」


徐々に小さくなる声が完全に聞こえなくなると同時に目の前が広大な草原に変わった。


「ここが異世界....俺の闇と雷が轟く世界か、」


「まず敵がいるかわかんねぇだろ?」


「いる!!直感が告げている!」


「はいはい」



θ



こんな草原にいつまでもいたら干からびてしまうので街を目指そうと思うが方角どころかここがどこかも分からない

だから結局近場をうろうろするだけだ。


暫く散策すると轍を発見したかなり使われている道見たいなのでそのうち馬車か何かが通るだろう。


幸い服装は召喚時、この世界のもので俺は新米冒険者のような服装で黎弥は、黒ローブだ。あと何故か黎弥の髪が赤い、俺はそのまんまなのに、まあ、どうでもいいことだ


日も沈みかけて、馬車を諦めた頃


ガラガラガラガラガラガラ


「起きろ黎弥!馬車が来たぞ!!」


五十メートルくらい先で立派な馬車が見える。少なくともそんじょそこらの商人のものでは無いだろう。


だんだん近づいてくる馬車に内心ビビリながら

馬車の前に立つ


「すいません!」


声が届いたのか中から騎士風の男が降りて来る


「なんだ!この馬車がギュティ王国 第一王女の馬車と知っての狼藉か!」


「す、すいません 旅のものでして途中山賊に襲われ持ち物を失いここがどこかも解らず立ち往生しておりました。どちらが街かだけでも教えて頂ければ」


騎士風の男は不審な格好の黎弥に目を流す。


「そこのローブ!頭を取れ」


黎弥は、かまわないと言って頭にかかったローブを取る


「賞金首では無いみたいだ、良かろう教えてやる街は我々が向かっている方角だ、先は長いが道なりに進めばいずれ着く」


結構親切な方みたいだ

流石に姫様の馬車に乗るわけにも行かないからな

方向が分かっただけでも良しとしよう。


「ありがとうございます。」


その場から去ろうとする。


「乗せればよいのです」


馬車の中から聞こえるのは若い女性の声だ

騎士風の男は聞き間違えかと思い戸惑いの声を上げる


「なんと?」


「乗せればよいのです。そう言いました。」


「しっ、しかし!あっ姫様!!」


その様な会話が聞こえ最後には、姫様らしき人物が下車して

それを抑えようとした騎士風の男を一瞥し、すぐに俺に視線を流してきたので膝を折り頭を下げる 黎弥にもそうするように促す。


「私めは、旅人の身習わぬ無礼はお許し下さい」


「畏まらなくてもよいのです。 名をなんと?」


すると黎弥が立ち上がり偉そうに握手を要求する

(お前は馬鹿だよ!)


「俺は闇と迅雷のウィザード、黎弥だ」


すると姫様は差し出された手を握り返す


「へぇ、レーヤは魔法使いですか?珍しい、しかも二属性を?

フフッ面白いひとです。」


会話が途切れたので俺も自己紹介をする。


「私は、」

「そいつはナルだ、俺の親友で剣術は世界一だ、」


間に入った挙句ハードル上げまくるとか鬼かよ


「ナルさんですか一度剣術を見たいものだけど、王都についてからにしましょう。剣も盗られたみたいですから。」


「はい、わかりました。」


「それにしてもそんなに強くて何故山賊に盗られるのですか?」


痛いところを突かれ冷汗がでる

そんな時、黎弥が思いついたような顔をした


「実は、草原で寝ていると服以外全部盗られてしまった。服以外となると、意外に良識のある盗っ人なのかもな、」


(良識のある盗っ人って何だよ)


「そうか、では王都までの間だが宜しくな。」


そして姫様は何かを目で俺に訴える。まだわからない俺に無言で手を差し出しす。


「ナルさんはしてくれないのですね。」


めっちゃ不服そうだ

なので握り返す


「王都まで宜しくお願いいたします。」


ペコリと頭を下げた。

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