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職場見学①

職場見学。


***

文体を修正しました。

「うわー、俺自分の家紹介するみたいだ…はっずかし~」


「アークを家だと呼べる人なんて羨ましい」

と、先日の件で怒っているであろうレギオと、少しすまなさそうな顔をした二人が歩いてきた。


「俺は、大事な友の名誉を傷つけた事を許さない」


「別にレギオに許してもらう事じゃないし、呪いの手紙だって『死の呪い』なんて一般人にかけていいと思ってるの?」

「それはお前の問題だろう、ギン」


「それは呪いをかけられた側に責任を求める行為だ。『狂戦士』がそんなことを許すはずがない」

「バーサーカー様が不当な扱いを受けた二人を見捨てるはずがない」


見捨てますけど。がっつり。

と、アナスタシアとシンシアはレギオを止める。


「もういいんです。そういえば九班の人が指導をしてくれる体験があるそうですわ」

「あたしぃ、レギオの活躍みたいなぁ。ほうっておこうよぉ」


二人の声に頷き、俺たちの前から三人は去って行った。


「では転移門をくぐり、中のホールの端にすぐに寄ること。転移には料金がかかるから、心しておけ!」


「そういえば、魔力制御装置つけてるよね、俺ら」

「ああ。あれは一体何なんだ?」

「あそこから転移に必要な魔力を分けてるんだ。でも足りない分は自家発電になるんだけど…最近俺の椅子に仕込まれた魔力吸収回路で格段に安くなった」


「もはやプラント扱いか…可哀想に」

「うぅ、アズが心のオアシスだお…」


ぎゅうっと抱きつこうとすると、流水の如く受け流される。


「おお!アズ上達早いね!さすが俺のマブダチ!」

そう言って次々と吸い込まれるように消えて行く門へ体を滑り込ませる。


「えー…テンション下がるお…」

「あ!ギンさ~ん!」

「一応仕事中だよね?」

「…すいません」


新人の九班班員、リュークである。まぁ俺の指導する五十人のうちの一人なのだが、そのうち◯班に誘おうと思ってはいる。


「はい、じゃあ全員揃ったようですね。まずはギルドの成り立ちについて…」


ギルドは現在三つ。ペティ、ゼネラル、アークで、受ける依頼の難易度の高さはアークが最難である。

ランクは下からF、E、D、C、BB、B、AA、A、S、U。Uは俺とレオナルドだけである。


「ではそこの銀色の髪の人!班長の名前分かる?」

「はい!」


レギオが自信満々に立ち上がる。

「九班、エステラ・シトルリオ班長。

八班、ハンナ・クロッツォ班長。

七班、アイル・アドラー班長。

六班、クリス・トレイル班長。

五班、キリカゼ・ソウギ班長。

四班、クローリー・シュトルツフォン班長。

三班、ラン・イェンリン班長。

二班、トマッティ・マルク班長。

一班、クーリ・リトル班長。

◯班…Unknown、『狂戦士』」


「凄いね!マニアのようだ。一般職員もバーサーカー様は知ってるけど、話すなんて稀だね!あの人を怒らせるなんて本当にもう……神をも恐れぬ所行だよ」


「俺結構怒らせたような…」

「図星だった。気にすんな」

アズサの囁きにそう返す。


「とにかく秘匿状態。顔を見たかい?ここでは歩いてたりするけど今日は用事があるかな。立ち入り禁止区域以外はOKだから、好きに歩いて見てね!」


「それでは各自行動開始。一人では移動しない様に!」

俺はアズサの手を引くと、階段を登り始めた。


「ギンの執務室か。片付けは?」

「あ、大丈夫。アリサにも話通しておいたしね」

と、灰色のコートに止められる。槍でバッテンなんて隙だらけにも程があるが。


「立ち入り禁止区域だ。入るな」

「はぁー…ギンだ。アズサ」

「あ、アズサ・ヤヨイです」


「しっ…!?失礼しました、ではお二人をお通しします!…あの、居住区域にいかれます?」


「後でな」

「本当ですか!他の班員たちにも見せてやってくださいね!」

「マジか…まあいいや。アズサ、これフーチ・ヤオ。俺の部下…のはずだ」


「直属の上司ひどい!」

「いやぁ、フーチはほんっとに俺に気づかないもんなあ、面白いよなぁ。結構印象って変わるもんなんだなぁフーチ……?」


「ぎゃあああすいません!?」

「とおりまーす」

「ハッ!!」


次々と通って行くと、俺の執務室、最上階西が見えて来た。

「君!何をしている!?」


取り囲まれた。こいつらアホだ。


「ラン。聞いてねぇのか?客人だ」

「あ、れれ?あぁそういえば…寝てた」


「仕事の指示だけはきっちり聞いとけっつってんだろ!!」

「にゃ!?うぃい、だってこれ職権濫用だにゃ~」


「アズサは世話んなったしな。というか、お前俺のとっておいたよもぎ団子食ったろ?」

「へ?いつの話?昨日食べた奴?六時間前にお腹空いて食べた奴?ご飯の前に食べたの?」


「後で同じとこの買ってこいクソッタレ!!」

「あひぃいい!」


俺はランを吹っ飛ばした。壁にめり込まない様努力はした。


「ぐふっ…………ランに300のダメージ」

「ちょうどいいボケをかますなよラン…」


俺はため息をついて、俺の執務室を開けた。


「来る頃だと思いまして、紅茶を」

「ありがとう、アリサ」


「感謝の言葉ではなくもっと口汚く雌豚が!と罵ってください」

「しねぇ!つか一応客の前だぞ!?」

「ええ。そうですね」

「自重しろよ…」


「ギンは、アリサさんと仲がいいんだな。兄妹の様だ」

「俺は弄ばれてる気分だよ」

俺はキョロキョロしているアズサに目をやる。


「何か物凄く綺麗な部屋だな」

「班長は毎日掃除しています。潔癖性でしょうか?」


「お前らが入り浸って茶ァ飲んで菓子の食べカスを零しまくるせいだ。アズは気にすんなよ」

「あ、さっきの仲がいいってのは、命を預ける相手だからだな。互いをわかってなきゃ死んじまうからだ。まぁお前みたいに俺とぶつかり合ってわかり合おうとする奴はなかなかいないからなぁ。いい経験になったぜ」


「そうか…。実は友達から親友に発展したことは今までなかったんだ。今日は本当に無茶な頼みを聞いてくれてありがとう」

「いいよ。見つかると面倒だから、適当に立ち入り可能区域に飛ぶぞ」


「あ、ああ。紅茶、ごちそうさまでした」

ぺこりと礼をするのを笑顔でアリサが送り出す。

「あー、じゃあ立ち入り可能区域の九班の班長執務室、机の下で。ハイレッツゴー」

俺は躊躇なく転移した。


「ぎ、ギンは…何時の間に!?」

「いえーい、アズも一緒だよ~」

「…アシュレイ殿は常識人ですが、たまにこう突飛な行動を取りますな…」


転移したの見てて言ったろお前。俺が常識人?だったら◯班にいる訳ないじゃん。


「他の生徒は?」

「レギオという生徒以外は、どなたもいらっしゃっていない。二人女性を連れていたが、大して印象には残らなかった。そう言えば、別の学院も今日でしたな、そろそろここに来る頃ですが?」


「失礼します!」

アーカディア魔法学院。最近になって伸び始めたいい学校だ。うち、レフォンでもちゃんとやればいいのに、と思う。


「おや、レフォンの生徒ではないか。一体何の用かな?」

「すいません。今すぐ出ます」


「あ!アズサ!俺だよ俺、新しい住所教えてって連絡したろ!?」


「……サク…悪いが今は友人と行動中だ」

「はん?俺以外にアズサの友人なんてできる訳ないだろ。お前根暗でずうっと俺が話しかけるまで黙ってたんだから」


銀色の平均ちょい上の少年は、顔をしかめた。何かに似ている。何だっけ。


「その友人とやらも話しかけられたんだろ?ほら、住所住所。遊びに行くって言ってんだろ?」

「行こうかアズ。回るべきところはもっとあるよ。急がないと自由行動時間なくなっちゃう」


「ああ!早く案内してくれ」

「分かった。じゃあ行こうか」

「アズ!?お前一体アズサの何なんだ?」


それを先生が制止した隙にダッシュ逃走。

「…前の学校の友達?」

「一方的に話しかけられてた。俺は無視して、それを根暗だと思ったらしい」


「たしか、訓練の時に『他校と合同で』訓練を体験するから喧嘩すんなって言ってたな」

「ああ…最悪だ。気が重い…」

「気にするなよ。居住区域、行ってみるぞ」


「!他の班長もいたりするのか!」

「今日はアイルとクーリが非番だな。どっちも俺の元部下だけど、元師匠でもある」

「それはぜひ会ってみたいものだな」


俺たちは歩き出した。

まだ続きます。

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