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初戦、勝者は誰だ?

戦います。

この大会に参加するのは、レフォン・アーカディア・レイヴン・ロイスの四校である。団体戦緒戦は、レイヴンvsロイス。

『さあ始まりました、全魔権予選、ものすごい盛り上がりです!今回の見所は何と言っても、レギオ・ブラッドレイが参加していることでしょう!ですが初戦はーーレイヴンvsロイス!これまた目を離せない展開となっております!』

ステージの上に少年たちが並ぶ。女は一人だけーー後方の魔法射出だろうか。

『さあ両者見合ってーー開始!』

と、レイヴンの生徒の一人が特攻じみた攻撃をする。体術まかせに突っ込んでいくと、後ろの魔法を放とうとしていた少年に殴りかかる。

少年もよけ切ったものの、未完成の術式が崩壊し、魔力空白地帯ができる。

術式を破壊すると生じる魔力空白地帯。一時的に魔法が使えなくなるのだ。数秒で拡散するとはいえ、数秒が命取りになるのだ。他の二人の前衛はその隙に自動追尾を撃ち込まれる。大した威力ではないものの、数秒間の自由を奪う『スタンバレット』。

少女はガッツポーズを決め、もうひとりの前衛が後衛、そして前衛を叩き落しーー終了。

「ずいぶんあっけないな…作戦がお粗末すぎる」

後衛が体術を使える者なら話は違っていただろう。

「さて、じゃあレイヴンと戦うか」


レイヴンの生徒、マイケル・フレデリック、スミス・ジョンズ、ラベンダー・テイル。それぞれ体術はできる。レギオと互角かそれ以上といったところか。

「どう?アズ」

「楽勝だ。追尾も魔力砲で迎撃すれば問題ない」

魔力砲。これ俺が開発した、魔力の多い人しか出来ない特殊技。アズサも結構増えたので、できるようになったのだ。

魔力を詠唱無しでそのまま放出する。属性を持たないために人に被害を及ぼせない(衝撃は起こる)が、それは魔法の誘爆を引き起こせる。魔力体自体には効果があるのだ。

「んじゃいきますかね。あれ、レギオ?」

「……フゥ。さ、行くぞ!」

こいつも緊張とかするんだな、そう思ってしまった。


「「「「「ぎゃあああああああああレギオ様あああああああ!!!!!」」」」」

うるさい。予想はしてたけど。

俺はアズに指でサインを送る。予め決めていたものだ。

『最初に魔力砲』『狙いは?』

『後衛』

レギオは恐らく突っ込んでいくつもりなんだろうが、と思いつつ。

『展開は両翼』

『前衛の攻撃は?』

『俺が合図するまでうごくな』

『了解』

「勝あああああつ!」

「有名人になんて負けるかよ!」

『それでは両者見合ってーー開始!!』

前衛の男がひとり突っ込んでくる。俺はもうひとりの動きを確認する。アズに合図を出した。そして俺は正面へ一歩踏み出しーー。


そのままの勢いで横へ飛んでぎりぎりで避ける。そして両翼へ展開を開始。

レギオは突っ込んで行ってひとりを気絶させる。少女は顔に冷笑を浮かべ、レギオに落ち着いてスタンバレットをむける。だがレギオの背後から飛んできた魔力砲が、それを放つ直前で誘爆させる。

俺はよけた瞬間にそれだけ確認して、レギオが女性も殴れると信じながら相手の少年を抑える。

「貴様相当の手練れだな。勝てる気がしねぇ」

「そ?俺は相当に本気だしてないけどね。うちのレギオ君は、味方の実力把握も出来ないから困ってるんだ~」

「ふ、本当らしい。名は?」

「ギン・アシュレイ。知っちゃいるけどあんたは?」

「スミス・ジョンズ」

膠着状態から一拍の間に、二人の拳が三度ぶつかった。

距離を取る。

「…やるね、なかなか」

「化け物め、拳がしびれたぞ」

「ハッ…俺もつくづく戦闘狂だなァオイ!」

「……ッ!」

重い、重い蹴りを一発。腕の骨が折れる感触。結界から出る時には何事もなくなるとわかっていながら、スミスは生存本能に目をギラつかせ立ち上がる。

「一手、御指南を」

「いいぜ。まずは体をもっとーー柔軟にしとけ!」

正面から拳を突き出す。ぎりぎり反応できる速度で。

それをのけぞってよけると、バランスを崩す。スミスが苦虫を噛み潰したような顔でそのまま蹴りを出そうとするが、いかんせんバランスを崩したままなので避けられる。

「まずは体勢を整えろ。無理に攻撃を出してもよけられるのがオチだ。逃げるための一手なら、もう少し小規模にしろ!」

体勢を立て直したスミスが俺に向かいーー奥歯を噛み締める。

「そして、一番大切なことーー勝てぬ相手に無理はするなよ?ガキ」

「…ぁ、」

顔を絶望に歪ませる。

彼は今殺気を味わっている。

何度も

何度も

何度も

勝てないイメージを植えつけられて。

「……り、リザイン」

「賢明な判断恐縮だよスミス」

俺は笑顔でそう言って、彼の後ろへ目を留める。

レギオ・ブラッドレイは、


「甘いのよ!!」


駄目だった。


「く、」

「女だから手加減したの!?信じられない、こんな使えない奴もてはやして!」

脇腹からは血がだくだくと漏れている。俺はどっこらせ、と床に座る。

「あー…お茶が欲しいなあ」

「というか見てて良いのか?」

「あんま目立ちたくないし、やる気ないし。今手を出してもレギオのプライド(笑)が傷ついちゃうからねぇ」

と、レギオが苦しみながらも笑った。

「これは、俺の……信念だ。女性は殴らない、そう決めた…ぶはっ」

血を吐きながらそう言うレギオを睨み、ラベンダーは叫ぶ。

「女だからあたしを殴れないの!?女は戦闘しちゃいけないの!?戦うのが男なんて誰が決めたの!?あたしは勝つの!……あいつを、見返してやるんだから!!!」

「それでも!…プライドが、げほっ…許さなくても、それは俺自身が決めた自身への制約なんだ」

「何よ…それ!」

「他人に分かってもらえなくて良い。ただ俺の言うことは一つーー俺は君を、殴れない」

少女は艶然と微笑み、そしてレギオをざくり…と刺して、呟いた。

「リザイン」

歓声が上がり、俺たちの初戦は幕を閉じた。

「やー、くっさい芝居だね。戦場で男だの女だの言ってる奴なんて早々に死ねばいいのに」

「笑顔で手を叩きつつ言うな、ギン」


そして、俺たちの次の相手であるアーカディアとなる。

その前に、ロイスが戦ったのだがーー明らかに一方的で虐殺ちっくな感じだったと聞いて、愕然とした。生死がどうにでもなるからとはいえ、躊躇いなく拷問まで行えてしまうのはおかしいと言うことしか出来ないだろう。

若干の不安を抱え、俺たちはステージに上がった。

ギ「ちょっと休んでたけど、ちゃんと無双すっからな」

作「いや、作者展開ではアーカディアの面々はちょろっと君を陥れるつもりなんだ…」

ギ「は、はぁ!?」

作「しばらく出番はなくなりますよ~」

ギ「おい待てっ!……チィッ!」

次回はギンが陥れられます。

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