前哨戦、怪しい雲行き
大会前哨戦です。
「で、やって来たよ、全魔権!アズ出店だよ」
「全魔権は国民的イベントだ、予選のこれでも人は多い」
「そうなんだ」
全魔権、予選。
グループ内で総当たり戦を行い、学年毎にポイントによりチームを選出して行く。個人はトーナメント戦になる。
ルールは簡単。
五十メートル四方の舞台から落ちるか、気絶あるいは死亡および重傷であれば勝利する。特殊な結界が張られており、死亡しても結界から出れば生き返ることができる。魔法、体術あらゆる攻撃を許可、また武器も一種類のみ携行を許可されている。
「お、アーカディアの奴らだ…」
「アズサ!聞こえてるんだろ、こっち来て話そうぜ!」
見覚えのある銀色の頭。何だかとってもやな予感。
「………サク」
「今日は俺たちが勝たせてもらう!そこの自称アズサの友達、お前が俺に勝ったら、会話を許可してやる!ははははは、ふはははは!」
「アズー、みんな行っちゃうよ?早くしないと」
「あ、ああ!」
背を向けて走り出したアズサの襟をつかもうとした手を払い落とした。刹那の間だったため、何が起こったかなんて分からなかっただろう。
だというのに、俺ははっきりと見てしまった。
見られていることを。
「ギン、お前どうしたんだ?顔色が悪いぞ」
「いいや。悪い予感がする」
「悪い予感?何か問題でも?」
ああ、と頷いた。
サクの手を払い落とした瞬間に感じた視線。見られていたことはおくびにも出さないでいられたとは言え、何か得体のしれない視線をーー。
「緊張か?柄でもないな」
「レギオか。いや、な…ちょっと」
「作戦は、俺が前衛、二人が後衛だ」
「ん?いやいや違うでしょ。俺ら二人が前衛の方がいいよ。コントロールとスピードは詠唱破棄できない俺たちより断然上なんだから」
レギオが苦笑いして、「だったら詠唱した方が早い」と言った。
「お前らが体術の訓練で力をつけているのは知っている。だが、突然の詠唱破棄なんかして、お前らはよけられなかっただろう?」
俺は黙った。
正当性を認めたからではなく、純粋に呆れたからだ。
「じゃあ、よろしくな」
俺はアズサにいい笑顔で振り返る。
「敵が突っ込んで来たら、一気にぶったたこうね!」
「委細承知済みだ」
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「パトリシア、サクは眠った?」
「ええ。私のフェンリルが、そりゃあもうぐっすりと…一生目覚めないように」
「あらそう。なら、さっそく予選を始めましょうか。ーー命懸けの、予選を」
ギ「作者、何か疲れてる?」
作「ああ、明日からちょっとハードワークだよ」
ギ「お前それにかまけてエタるなよ?」
作「わーってますって。次回は予選回ですよ~」




