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訓練の合間、見える黒雲

黒い影がちらつき始めます。

「アズサさん、こっちでやらないか?僕らが詠唱破棄教えるよ?」

二年のローニャ先輩がニヤニヤとこっち見てる。二人の先輩が声をかけて来たのは、俺への嫌がらせを指示したのだろう。

あんなに怒らなくてもいいだろうに。

「アズの好きにしていいよ、俺は大したこと教えられないしね?」

「いや、ギンと先約だ。途中で師匠を変えると思われているなら、それは俺という人間を見誤っていると言うものだ」

「だがそのガキが教えた所で、なんの技術もつかないだろう?」

「あはは、言ってろ」

爪先で小石を蹴り上げてそれを相手の足元へ蹴り飛ばす。ビキキ、とヒビの入った床に、彼は顔には出さないが、額に汗をかき、目のうちには困惑の色が浮かんでいる。

「俺さ、昨日から思ってたんだけど、先輩方のお名前知らないんだよねぇ。よかったら教えてくれません?」

青年は困惑顔だ。それもそうだろう、こんな小石で脅しをかけようだなんて相手はいないのだ。

「レイトン・ラバルディ。こっちがーー」

「スカル・マクガス。俺はあのローニャ嬢のお守りってとこかね…お前は詠唱破棄すら使えない。俺たちがどうこうするまでもなく、叩き潰されると思うがな?」

背後に魔法の反応がある。魔力の乗せ方が甘すぎて話にならない。

「へぇ、興味深い話だなぁ、俺が嫌われる為に詠唱破棄ダシにしてアズサを連れ去ろうって魂胆?言っとくけどうちのアズサはお嫁になんて出しません!」

「おいちょっとなに言ってるんだ!?」

細かいことを気にしたら負けだぞ。

「で、俺としては、後ろの人達が襲ってくるのが分かってるから~」

「!?」

すう。まあ肺活量的にはこれぐらいの声か。

「今日の夕食、ローニャ先輩汚名返上のチャンスですよおおおおおお!!!」

「「「なにいいいいいい!?」」」

「よっしゃ逃げるぞアズ」「わかった」

今日の夕食は外に食べに行くんだっ…!


「こらガキ…昨日俺たちは地獄を見たんだが」

「え?地獄?ローニャ先輩俺はけなしましたけど、女の子の作る料理にケチつけるなって言ったのレギオと先輩方じゃないですかぁ?スー先輩一体誰に夢見せてもらったんですか?」

「誰がスー先輩じゃボケェ!!」

猛り狂ったスカル。うんこれはアレだ、

「先輩、怒ると禿げますよ?」

「誰が怒らせてっと思ってんだクズ!」

「魚の小骨は見逃さないスー先輩カッコいい!」

「お前俺のなに見てんだよ!?」

「てれれてってっててーん、スー先輩のレベルが上がった。スキル『ツッコミ』のレベルが上がった」

「最後まで聞いて損したわ!?」

あ、この先輩おちょくると面白い。

「スー先輩けっこう緻密な魔力制御は得意なのに持ち味を生かしきれてないって感じですね?」

「なっ…」

「なら、鎖とかに魔力を流して制御しちゃえばいいんじゃないですか?何なら俺が制作してプレゼントしちゃう」

あまりにいきなりの提案に驚いていた彼は俺をジロリと睨みつける。

「一介の学生がんな高度な技術扱えるわけねぇだろうが。そんな話乗れるかよ」

噂に違う実力を持ちながらも、冷静さを兼ね備えその戦略性を押し殺して不良っぽい外見を見せ、油断を誘う…。

「明日」

「は?」

「俺スー先輩気に入りましたから、明日までに面白い武器考えて来ます!」

「ちょ、え、話が見えないんだけど」

キャラがボロい。俺も人のこと言えないけどな。

「先輩、俺に滅多なこと言わないように脅しかけてるって名目で後から尋ねますから!」

走り去る俺を呆然とした面持ちで見送るスー先輩は、どこかどころじゃなく困ってるように見えた。


さて、まずは俺の手持ちにある、魔力を流しやすい金属、銀。ここに軽みを出すためウイング鋼。そして強度を出すためのミスリル。

そして、俺は鎖一つ一つに刻印、魔力石を仕込みそれを4mほどに仕上げる。

「さて、最後は…使ってみようかな」

「その前に仕事を、班長」

「子供を不法就労させてる~ううう~♫」

「歌ってないでこれを…驚きましたね、これは」

千切れておいてあったかに見えた鎖の一部が新しいより細かい鎖となってアリサを締め付ける。

「…これは随分と剣呑ですね。緻密な魔力操作ができなければ扱いきれないでしょう?」

「それができそうな奴がいるから、今の内に仕込んでおこうかと思って!」

満面の笑みで言ったら、拳骨を落とされた。シールドって偉大。

「とにかく明日渡して扱いきれなきゃ俺が今度使ってみるよ」


「はいこれ」

「ぐふっ……てかなんでこんなもの!」

「パトロンって偉大だよねえ」

脅しとも、自慢とも取れるその言葉にスー先輩が目つきを鋭くさせる。

「お前は何者だ?」

「え、愛を求める迷い羊(ストレイシープ)ですよう、やだな先輩」

「そんなふざけた解答ーー」

「それ使いこなせたら教えられるかもしれませんよ?ふふふ、俺ってばブキミな奴~」

「自分で言うな!」

そう言えば、と俺は切り出す。

「あの話しかけてきた時に、後ろから俺を狙ってましたけど、あのままボコして終わりにするつもりだったんですか?」

「俺たちは狙ってないぞ?」

うん?

「ローニャが急にお前を見つけて指示してきただけだ。他意はなかったし、そもそもあの時は一年から三年まで全員お前らを除いてリバ先生とリリーさん達に教わってる最中…」

「あ、やっぱなんでもないです。お邪魔しました」

あの時狙っていたのは五人。上級生のサポーターとしてついて来た子供は二人のみ、アナスタシアたちを含めても四人。

「嫌な予感しかしないなあ…」

俺は足早にその場を立ち去った。

ギ「そう言えば作者、従姉が結婚式なんだって?」

作「まね?あの人綺麗だから彼氏も出来まくりだったんだけど、結婚までいかなかったんだよねえ、ようやくだよ!」

ギ「お前の恋人はいるのか?」

作「2Dにたくさん(キリッ)」

ギ「そうか…(真顔)」

作「告白されたことはあるよ、元ストーカーに」

ギ「おっふ…何それ怖い」

次回は海水浴編、そしてアズサの秘密に迫る!

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