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俺たちの合宿はこれからだ!

ギンが切れます。内心ではありませんでした。

朝。

俺とアズサはランニングをしていた。俺は既にそれより前に20セットを終わらせ、仕事もいくつかしているのだがーーまあそれはそれとして。

「っはぁ、っはぁ…」

アズサの息が上がる。全力で13セット。なかなかの出来だ。

「うし、腕立て伏せに移行するぞー」

「あぁ…っう、はぁ…」

息を整えるまで待つ。学生のうちに大怪我なんてされたら困るからな。アズサは大事に育てるつもりだ。厳しいことは厳しいけど。

「そう言えばさ、もう朝の七時だってのに皆何やってんだ?」

「昨日の晩、カトリーナとリリーが来たということで、質問攻めにあっていたらしい。それでガールズトークで盛り上がり、男子は遅くまでレギオと狂戦士談議をしていたと、レムが教えてくれたな」

「結構喋れるナ、楽しい!」

「おいおいレム、俺がいない間に進化するとかどんだけよ…あ、そういえばちょっと『暴食(グラトニィ)』に機能つけたから試してみたいことがあったんだよ。ちょっと付き合えやレム」

「何でだヨ!」

「レムじゃなきゃ…出来ないんだ」

耐久性ないから。

「お前今すごく失礼なこと考えてたナ…?」

「あ、うん。活水拳を、魔力量10に抑えて撃ってみようかなと」

レムがものすっごい勢いで逃げようとする。あはは、遅い遅い。俺は黒い尻尾をむぎゅっと捕まえる。

「うきゅうっ!?」

「逃げんなよ?」

「お、俺はァ!死にたくなイ!」

殺さないように10に抑えるんじゃないか。回復魔法もかけてあげるし。一度回復魔法のありがたみを知れって骨折状態で放置された時よりだいぶマシだと思う。

「まぁ、レムでなくてもいっか。流水拳はレオナルドが俺の活水拳やらドラゴンの物理的攻撃をも受け流せるように開発された技だから」

「なっ…それは出来るのか!?」

「アズなら今のままでもキンググリズリーの攻撃でも受け流せると思う。ただ、打撃力は弱いから完全なる対抗手段はないんだよね」

そう、活水拳は究極の剛拳、対する流水拳は究極の柔拳。

「なるほど、だからそれを魔法で補わねばならないのか」

「そう!アズすっごい分かってんね!」

と、俺の感知範囲10mにレギオが入ってきた。

「早いな、二人とも。俺も混ざっていいか?」

「いや、もう終わり。朝ごはんは当番制で、今日は…二年のローニャとアナスタシア、シンシアなんだっけ」

「あの人の料理は……逃げよう二人とも」

あ、もしかして殺人兵器とか言うんじゃないだろうなあ、そんなの作れるのなんてアリサ

「……まずい料理ってさ、滅ぼすべき…だよねぇ」

「待てギン!目が本気だぞ!?」

「俺、ご飯がまずいのだけはどんだけ我慢しても耐えられないんだ」

「みんなー!ご飯できたよぉ」

悪魔の声が、響き渡った。


「…いただきます」

生徒会長声に殺気がこもってるお…でもこの状態正直俺もムリだ。

素材の美味しさ?缶詰缶のまま入れんなよ。せめて無機物は取り除いてくれ。

というかアズサ、スプーンを持つ手が震えてるよ?

「アズ、一緒にいこうか…」

「一口で気絶できるほどならいいがな」

「お前ら一応作ってもらったモノだぞ!ちゃんと向き合って食べろよ」

レギオ。

君はあんなに遠い目をしていたじゃないか。イケメン主人公だけどそれはねぇだろ。

「「「いただきます」」」

ぱくっ。


「…あ、あのぅ、今日は工夫してみたんだぁ。レギオおいしぃ?」

「こ…個性的な…味付けだよね」

引き攣った笑顔。

俺はと言えば、結構本気で怒っている。その殺気をアズサが感じて止めようとするが、体がしびれるほどまずかったのだろう。目だけしか動かせていない。

「ローニャ先輩、あとご令嬢お二方」

「な、何よ」「何です?」「なにぃ?」

「皆さん舌が舌として機能してないんですか?美味しくしようとして色々いれるとか愚の骨頂ですよ、しかも結構な高級食材を適当に突っ込んで下処理もせずまずさだけを引き出すなんて俺には到底出来ませんよ」

「何ですって!?言わせておけばどこがいけないのか言ってみなさいよ!」

「言っていいなら言うけど」

「良いわ。下級生の分際で、料理の天才にケチつけられるならしてごらんなさい」

俺はにこーっと笑った。

「全部」

「…えっ」

「何?天才って言われて勘違いしてた?それ多分天才的にまずい料理しか作れないって意味ですよ?ローニャ先輩自分の料理味見したことあります?」

「するわけないじゃない!美味しいに決まってるでしょっ」

「だからぁ、まずいっつってんだろちったあ理解しろ」

ビクッとローニャが怯える。

「そっちの二人もさ、関係ないみたいな顔をしてるけどこの惨状に加担したんだよ。俺さぁ、アズの料理はたしかに不味いと思ったよ?」

焦げてたし、味付けもイマイチ締まらなかったりした。

「でも食べられなくはなかった。そいでこれーー俺には食べ物とは思えないよ?」

「ちょっと言い過ぎじゃないのか!?彼女らは一生懸命なんだ!」

レギオが反駁してくる。

「出来ないことを出来ないままにして余計な被害を振りまくよりはマシ。将来結婚したらどっかで手料理とか作るかもしんないじゃん、その時に旦那にコレ出せると思う?レギオ甘いけど、レギオはこの子達の旦那さんになるつもり?」

「そんな話は、どうでもいいだろ!?」

「「「どうでも良くない」」」

三人の目がびこーん、と光った。よっしゃ悪役タイム終わり。台所に侵入、大鍋の中身は無視する。

急いでるからな、何か良いモノ…お、枝豆がある。ミキサーと牛乳、少しの生クリーム。枝豆のスープ確保。あ、しかもお誂え向きにレッドコッドフィッシュもある。香草を混ぜたパン粉で焼いて、ラタトウィユを添えればいいだろ。

デザートは時間かかりそうだから、ヨーグルトでいっか。

「よいせ」


「う、うまいっ…何これ」

「そこ三人はナシ。自分たちの料理食べて反省」

「「「まずっ!!!」」」

泣いてる。可哀想でもない。食材をバカにした罪は重いのだザマミロ。

そういえば担当教員は外で食べてくるって逃げ出したんだっけな。

誰なんだ?昨日は結局会ってない。

「…んまぁい!」「意外とあいつ使えるな」「料理教えてもらおうかしら」

「…そういえば前に弁当の卵焼きを貰って驚愕したな」

「アズは小食だから気になっちゃって」

「太ると体重が増えて動きが鈍る」

「タンパク質はちゃんと取ってよね、心配になる」

「……ギンは母のようだな」

「あー、アズだけアズだけ。他の人は無理やりとっ捕まえて口にぶち込むよ?冗談だけど」

リリーとカトリーナが震えている。うん、拒食とかになっても適性体重維持させてやるからね。


で、色々衝撃をうけた。

訓練、もとい練習のための戦闘可能な訓練場にいたのは、

「よう、あれ以来だな坊主」

例の魔眼ーー保健医のリバだったからだ。

リバさんが出ます!

次回 リバ、覚醒す

リ「お前らがこの魔王に勝てるものかああああ」

ギ「先生ッ目を覚ましてくださいッ!!!」

リ「ふ、目を覚ます?これが俺の真実!エアギターマスターなのだ!」

ギ「こうなったら奥の手…カスタネット!」

リ「ペースが乱される…だとっ!?」

ギ「ふっ…俺の華麗なカスタネットさばき…」

作「嘘予告はやめろ」

リ・ギ「「俺らで遊ぶのもどうかと思うけどな」」

作「ぐふっ…」

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