アークの試験&乗合馬車にて
正体ばらします。
「三日間ご苦労様。これで試験は終わりだ。採点に30分はいるだろうから、容赦してくれ」
俺はそれぞれの得点を見て、点数をざっとつけていく。
「ほう、カトリーナは良い点数だ。ヴィル、ササキも中々良い点数だな。リリーは英才教育、かな。そしてユーリとステラ。お前らは知識を基礎から叩き込まなければいけないな」
それぞれをフランクに呼ぶと、「?」という顔をされた。それもそうだろう。
「あの、つかぬ事をお伺いするのだけど、狂戦士様?」
「ん?」
「なぜ我々のことをそのように、愛称のように呼ぶのです?私たちはあなたに名前は知られていますが、そう名乗った覚えはありませんよ?」
「ふう、終わったか。それでは合格者を発表する」
「人の話を聞く気はありませんのね!?」
中々鋭いツッコミ嬢である。できればこの気概を訓練が終わった後も持ち続けてほしいものなのだが、そうもいかないらしい。
「全員合格」
しらけた空気があたりを包んで、ユーリの「へくちゅ」という可愛らしいくしゃみがそれを吹き飛ばした。
「あのなあ、ぶっちゃけ二日目の訓練を耐え切った時点でお前ら何かしらの戦闘に役立つんだよ。普段はもっと残るらしいが、レムとの戦闘も危なげなく逃げ切れる範囲にはいた。だから、俺はお前らの入会を認めよう。――ようこそ、ギルドアークへ」
俺のニヤニヤ笑いをショックを受けたようにカトリーナが「テストは一体……」と呟いた。それは慣例のようなものだ、諦めろ。
「で、俺が何でお前らの愛称を知ってるか、だったな。リリー」
「なぁっ!?というかなんで親しげなんです!?アズサさんは違うでしょうし、それにあの軽薄そうなギンという男とも違うでしょう!?」
軽薄。
軽薄、かぁ……酷い評価。
「フー……やれやれ、全く。俺の渾身の演技力はすさまじいものがあるな」
前髪をかき上げつつ、金色に染め上げ、眼鏡をかける。
「改めまして、第〇班班長ギン・アシュレイだ。お前ら次狂戦士なんて呼んだらぶっ殺すからな」
「「「「「「え」」」」」」
全員の心がそりゃあねぇよ!と一致したかのように見える。うれしいぜ、チームワークは抜群そうだな。
「え、ってそれ酷いだろ。明日から上司なんだよ、魔眼もどき持ってるやつに魔力操作して見せるのは至難の業だったんだぞ?気を使って素性まで搔き出してやろうと思ったらお前ら」
「……あ、思い出した!ギン、裏切り者!レフォンの厄介者って、先生が呟いて……」
おいコラ誰だそれ言った奴。あたりはついてるぞ、多分エミリエ先生だな!?
「カトリーナは今まで気づかなかったのか、意外と馬鹿(ドジッ子)だな!こういう属性は案外燃える展開だ、うん!」
「るっせーぞステラ」
俺は一構築魔法『空砲』をぴっとステラのおでこにぶつける。
「あぐぅ!?」
「俺はしばらくいないから、その間アイルに指導をお願いする。学生は学校の全課程を修了した時点で引き抜き、ほかは即時引き抜きとする。ああ、アイルはあれで案外優しい」
全員がツッコミを抑えて続きを聞く。
「まあ、俺は魔法も使いながら男女関係無く治癒魔法をかけながらぶっ飛ばしてやる気を出させるんだが、何で皆訓練後は光の抜けた目で俺のことを恨めしそうに見てくるんだろうな?」
「それほぼ拷問っすよ!?」
「おや、新人教育だ。俺のときよりだいぶマシだろう?」
「……何をされたのか気になるでありますな」
「うん?大したことはない」
そう、魔物の巣窟に短剣一本で放置されたり、無詠唱を習得するのにサイレンスを行使されつつ踏みにじられたり、回復魔法を自分でかけながら二百キロの行軍を強行させられたり、
気がつけば机にペン先が刺さっていた。
「ああ、本当に大したことじゃない」
「大したこと感バリバリっすよ!?」
俺は椅子にもたれかかり、頭を支えるようにして頬杖をつく。
「俺が帰るまで、死ぬなよ」
「は、はい!!」
そして翌日。先輩達、そしてレギオは早々に合宿へ向かったらしい。俺はアズサの訓練を早めに切り上げると、この世界で転移を除けば一番速度のある乗り物、馬車に乗った。これが乗合馬車で、俺は多少なりとも知らない人たちと乗り合いになる予想をしていたのだが、
「あ、ギン――さん」
「あら、あなた達も渚の町『アクアラグーン』に行くのね?」
カトリーナとリリアンナがそこにいた。
「何でここに?」
「ほいほいあなたを外に出すわけにはいかないから、ギルドマスターに他の子の指導がてら見張っておきなさいと」
あの腹芸狸ジジイ。今度会ったらただじゃおかねぇ。
「あ、そうです!ギン――さん、あの、よければ魔法の使い方を教えていただけませんか?それと、精霊魔法を使っていたときに、アルデバルビエさんがギン――さんを気にしていたので、お友達かな、と思いまして!」
なんか不自然な間が空くのは突っ込んで良いのかな?
「すみません、あの、班長って呼びそうで」
こそっと囁かれた言葉に納得する。確かに、そんなことを街中で言われれば困った事態になるだろうから。というより、この耳打ちの姿勢をしていると、若干アズサの視線が怖い。
「ギン、そう言えばお前の幼少期の話が聞きたいんだが?」
「え?あんな拷問話して何が面白いって言うのさ」
「お前のめったに無い弱みが握れないかと思ってな」
『ふぁ、あぁ~、その話、面白そうだナ』
こらレムお前まで参戦してんじゃねぇぞボケ。一応体裁的には俺がテイムしたって形なんだからな。というか、実際喋れるのがいくつかの単語しかないからって頭の中に語りかけるのやめろ。
「仕方ねぇな。俺も人に話したことはないんだ、上手く語れるかは正直期待するなよ」
ギ「そう言えば俺って最強じゃないんだな」
作「そうだね。キャラも結構ぶれやすいよ?詰め込みすぎて溢れかえってる状態かな」
ギ「一応、その詰め込みすぎた内容を聞きたいんだが」
作「不器用でドSで意外と仲間思いで友人には甘くてチート持ってて過去にちょっと黒いものがあって顔は可愛いけど態度で嫌われて銀髪で(中略)ボケツッコミ両方いける主人公」
ギ「…………そこへなおれクソ作者」
作「………あい」




