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アークの試験⑶

アークの試験も終盤。最初で女の子の心が壊れます。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「どうした?まだ足りないのか?オシオキだけじゃ足りないか、あぁ?」

こんなセリフのやりとり、普段の私ならば悶え死んでいただろうに、濡れさえしないほど疲れてる。というか、身体中が痛い。

「アイル、全員一時停止。回復」

「全員止まれッ!」

ピタッと動きを止めると、回復魔法で一瞬楽になる。だがそれはこれからの苦痛の始まりを意味する。

「さぁ、立って走れ。貴様ら即座に走らされ遅かったら問答無用でぶん殴られる鬼ごっこよりはマシだろう?」

全員の背が硬直し、一人の人物へ視線が向く。あの細い体にどんな威力の拳が?

というかアイルさん震えてる。一見銀髪の少年なのに、前髪で顔が全く見えないが笑っているのだけは確かです。

私よりずいぶん年下の少年(恐らくは)なのに怖い。畏怖というより場を支配するドラゴンすら一声で止めた。あの子怖い。

私を見る目も銀色で綺麗なのにそこには情欲も何もかも映らない目。

怖い、アイルさんへいぜんとわたしをけとばしてこわい


******


いやだいやだ何この訓練痛い死にたい本当に家族はクソみたいな貴族だったのに帰りたいとか思うのってどうしてなのよというかアイル班長これ死ぬわよ

回復魔法。

さっきまでの私のアヤシイ言語体系がまるごと修復される。

これはヤバイわ。

だって痛いもん。ただ走るだけなのに全力で走るだけなのに。

あの少年は一体何を考えて、


いたいごめんなさい生意気な事考えてました本当にゆるしてください


******


思わず笑みが漏れてくる。痛い苦しいそれ以上に笑えてくる。何だこの仕打ち。死んでも良いんじゃないでしょうか。

「くふふふふふ」

全くみんなこっちを見ない。笑うのは気が紛れるから。

考えを放棄するためわらおう

いきが でき ない


******


「お疲れ!ほらねー、言ったとおりでしょ?これで今日はもう何もないよ。あ、狂戦士が食事を一緒に食べないかって言ってたけどどうする?」

「「「行きます」」」

全員が恨みのこもった目でこちらを見てる。うっひゃーこえー、でも本番はこれからになるお!

極限状況において、こいつらがどういう反応をするのか。それは戦場において現実逃避を始めるやつが大勢いるが、どう対処するかそれが問題なのだ。

「はーい、じゃあみんな…立てないみたいだね。さてアズ、どうする?俺が女の子の体をまさぐるのはいやなのでぇ」

「ギン、お前は紳士的だと信じている」

にっこりと殺意を放ちながらの笑み。こいつなんだかんだ言ってけっこうアリサくらいの殺気だしてるのに気づいてくれるかな。

「よっしじゃあ行こっか」

俺たちは腰のベルトを掴んで二人、肩に一人を担いでなんとか食堂の椅子まで運び、そして座らせた。

「ちょっと待っててね。あ、これメニュー、狂戦士の様子見てくるからね!」

俺がいなくなったあと、アズサはため息をついていた。


「あのう、アズ…さん?」

「アズサだ。どうした?」

「あなた確か狂戦士様に食らいついて行っていましたよね。友人か何かでしょうか?」

「どうでもいいが、狂戦士のことをそう呼ぶと結構怒るからな。奴の二つ名はクローリー班長がつけたそうだ」

「あら、あなた彼の名前をご存知なのかしら。教えていただけない?」

「名は名乗られてこそ、だ。俺は奴の親友ではあるが、今は悲しいかな、遠く及ばない。デタラメな魔力とあの怪力、そしてチートじみた頭の回転。もはや化け物だな。だが彼も一応……にんっ……げんだ」

「いや言いよどみすぎっすよ」

「おも…しろい」

「じゃあ襲ってもいいのか?」

「それはそんな実力を兼ね備えているという認識で訓練していいのだな?」

「ヒッ!?」

後ろにギン登場。


「吐き気がして食べられない?」

「はっ…自分はかなり甘やかされていましたゆえ」

唯一狂わなかったヴィル。なかなかの曲者になろう人物だ。

「僕…あんなにしゃべったの、久しぶり…」

ユーリがポツポツと喋る。

「俺も初めて壊れる感覚を知ったっすね、あれがランナーズハイっすか」

「そうね、ハイと言えるならハイかしら。恨み言を述べるためにあたしたちはあなたの食事にイエスと答えたのよ」

「そうだな」「そうっすね」「いえさからうきもおきません」

反応は三者三様のようだ。

「言っておくがあの10倍訓練をやることにもなるが?」

「やれますよ!」「幾度か死にかけたけど、生きてるしな」「ええそうですやれますよ10倍」

「そうか」

というか、一日目で合格者見極め、今日はもう駄目押しだったんだけど。建前上は明日はペーパーテストだ。

こいつら全員、合格。

次はオマケ程度にギンの正体バラしと夏休み合宿編に入ります。

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