『狂戦士』、学生になる。
一話です。完全に好きなもの書いてるだけです。主人公最強が苦手な方は戻る推奨。
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文体を修正しました。
「失礼します」
あくびをかみ殺しつつ、俺、ギン・アシュレイはこのギルド、アークのギルドマスター、レオナルド・リンドレンのいる部屋の扉を開ける。
「おう、よく来たのう。今回の依頼、というよりギルドからの辞令じゃの」
「じ、辞令?それでどこへ行けと?」
「学校」
学校。今更学ぶべきことなど何もない。幼い頃から知識、体術、魔法、マナー、隠蔽工作、あらゆる技術を学んできた。もちろん学校に行ったことはないが、それでも俺は自分が目の前にいる男を倒すには足らないが、強いとは思っている。そして世間もそれを認めている。
「ランクUで生徒になれとは言いませんよね。俺は教員でしょうか?」
ランクU。Unknown、と言われてはいるが、本当のことはなった人にしか告げられない。ランクでは最大で、レオナルドと俺のみが持つ称号だ。
「いや?生徒じゃろ、その歳で何を言うとる」
一瞬、いやそれよりは長く時が止まる。反論しようとすると、言葉がさらりと返ってきた。
「ちなみに断ったら正体不明の『狂戦士』はあらゆる性癖をマスターした人間だと世間に公表しよう」
「やめてくださいやりますやらせてください」
クソジジイめ、いつか殺す。
俺が所属しているギルドの班は〇から九まであるうちの、第〇班である。この班は変人の集まりで、ものすごく強い代わりにものすごく常識はずれだ。俺だけ考えは規格外で突飛だが、常識人ではあるためすごく苦労する。ゆっくりと溜息をつくと、白いあごひげをひねるレオナルドを見据えた。
「で、試験は?」
「え?書類に混ぜておいといたけど」
「あれかああああああああああ!?あんな簡単な問題を!?」
「首席だけど挨拶は次席に回したからのう」
「それはありがたいけど…ってそんな問題じゃねえ!学園というかそもそも学校に通ったことないんだけど」
と、ドアが勢い良く開いて、五班の班長、キリカゼが入ってきた。ギルド一のお調子者のキリカゼは、今回ギンが通う学園に通っていたらしい。
「うっす、GM。俺が先輩になるなー、ギン班長の。あ、しまったまた…」
キリカゼは元部下であるため、自然に言ってしまうらしい。俺としてはギンでいいのだが、俺という存在は神と呼ばれるレオナルドに対して、魔王だの悪魔だの鬼だの言われている。とんでもないスパルタではあるが、部下が無事にもどったら美味い食事に連れてもいく。
部下のためを思っての行動だが、理解は薄いようだ。
「えーと、じゃあまずは、入寮ね。これは大体ここと同じ規則。あーでも女子寮と男子寮、別れてるから忍び込むのは禁止」
「ああ。それくらいは心得ている」
「次が入学式。それは寝てても問題ないけど、魔力量測定が厄介だな。当日はこれつけて」
手のひらに乗せられたのは魔力制御装置。それを腕にくるっと巻くと、かなりの魔力が吸い取られていく。
「で、その魔力はアークで発電に使うから」
「俺が開発した魔道力装置か…運営は?」
「実はギンは…の椅子につけてあったんだけど、」
「初耳!?」
「回路オーバーしてぶっ壊れた」
「おい待て。あれがオーバーしただと?俺が開発した去年では全力込めて壊れたよな?」
「いやー、人間って成長目覚ましいよね」
「そんなオーバーするような魔力だったのか…」
「測定するね~。わおピッタリ今の子供よりちょい高め。オッケーこれでいけるね」
でている数字は、
「2590!?百万オーバーだったのに!?」
「魔力転移装置のための充電完了出来る量だよね~」
「何か学生ってすごく弱いんだ…手加減はできるけど殺したりしたらどうしよう」
「自信のない班長なんて超レア!!これで誰かとの絡みがあればかんっぺきだお!!個人的にはクローリーどう?」
「腐ってんじゃねえええええ!!」
「俺が教えられるのはこんくらい。学生ってのは超集中した状態で一構築魔法が使えたらいい方だから。頑張って演技の幅磨いて」
さて、ここで状況の整理だ。
三年間何があっても通い続けること、友達を作ること、ギルドの仕事は続け、迷惑がかかった場合は減給。
俺の設定としては、アークでバイトしてるEランクの学生。真面目にギルドに通えば十分だし、妥当なところだろう。
「はぁ、明日から入寮ね…」
俺は一人執務室で、ため息をついた。