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妹が異世界で覇者になるらしい  作者: 翠架
始まりの地:聖都アルヴェトラ/魔国ヴェドマニアの辺境の森
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第16話 妹

感想、誤字脱字等ありましたらお願いします。

ざわめく草むらを見据えて晶嘉は再び銅の剣を抜いた。

何なのかはわから無いが人の子よりも小さい気配が全部で十二ある。もともと晶嘉は人の気配が分かるという現代には珍しいタイプの人間だったが、ここまではっきりと人数や大きさが分かるほどではなかった。

少し疑問を持たなくも無いが、いきなり使えた魔法同様に異世界特典というやつかと納得する。


剣を構え、じっと草むらを睨む。アニマは何が起きているのか分から無いなりに周囲を警戒しているようだ。



急にピタッとざわめきが止まった。

異様なまでの静けさが周囲に広がる。


その急な静けさに、背後にいるアニマがその身を引き締めたのを感じた。

五秒、十秒…と時間だけが流れていく。十五秒を超えたところで晶嘉はイラつき始め、静寂が二十五秒を経過した頃……晶嘉は何か・・が隠れているであろう草むらを真横に薙いだ。晶嘉は他に比べて少々短気なところがあるのだ。



「イギャアァッ!」

「なっ、なにっ!?」



綺麗に刈り取られた草と、それと同じ位置から上が綺麗になくなった三体のモノ。その隣には仲間が切られたため叫ぶ赤褐色の肌の子鬼のようなモノがいた。どれも赤い体液を周囲に撒き散らし、血の池地獄を作り出している。

その悲鳴を聞いて、草むらに隠れていたそれと同じ生物がわらわらと出てくる。



「…こいつらゴブリンね!群れで行動するとは文献にあったけど、こんな数で行動するなんて聞いて無いわ!それに城の近くで魔物が出るなんてどうなっているの…!」



なるほど、ゴブリンと言えばファンタジー系RPGによくいる雑魚キャラだ。解析スキルを使うと確かに『レッドゴブリン Lv.12 属性:火』といった情報が頭に流れ込む。

三匹殺したから残りは九匹。仲間が殺されたことに動揺しきっているのか三匹の死骸と晶嘉に目を行ったり来たりさせては小さく唸り声をあげ、武器を構えて身を震わせている。



(火の属性に強いといえばやはり水の属性だろう。たしかアクアソーダとかいう魔法があったはずだ)



晶嘉はレッドゴブリンたちから目を逸らさないまま心の中でステータス、と唱えた。





ショウカ・スズナ

 Lv.19

経験値 2814

次のレベルまで 461


 職業:捕食者イーター

 属性:火、水、風、土、光

 HP:2437  MP:2723/2843

 攻撃力:635  防御力:437

 魔法攻撃:579  魔法防御:387

 素早さ:501

 スキル:ファイアーボール(火) Lv.1

    :アクアソード(水) Lv.1

    :ウィンドカッター(風) Lv.1

    :ウッドウォール(土) Lv.1

    :ヒール(光) Lv.1

    :光剣ライトセーバー(光属) Lv.3

    :暴走バーサーク(無属、覚醒スキル)

    :必殺の第一撃(無属、自動スキル)

    :必中の初手(無属、自動スキル)

    :捕食 (ユニークスキル)

    :解析 Lv.2





(アクアソーダじゃなかった、アクアソードだった。惜しい)



それはさておき銅の剣に魔力を込める。あの大きな蚤を退治した時の感覚が残っていたため、なんとなくで出来た。



(しかし、この先をどうしようか。光剣ライトセーバーの時はなんか勝手に出てきたからよかったが、今回のアクアソードはそういったことが起きそうにない。アクアソードなんて言って思いつくとしたら刀身に水で出来た刃がくっついてるようなものしか思いつかないんだが…)



…なんて思っていたら、晶嘉の持っていた銅の剣がイメージ通りの水の刃を重ねたような剣へと変貌していた。



「……そうか、魔法とやらは私がイメージした通りの形になるのか」



ポツリと零した呟きとともに、レッドゴブリンへ向かって剣を振る。

昔兄と一緒にハンバーグを作った時に少し切ったタマネギみたいな軽い手応えだ。



(何かの命を奪うとは、こんなに軽いものだったのか)



手にかかった生温かいレッドゴブリンの血を感じながら晶嘉は思った。


いきなり仲間に斬りかかってきた晶嘉を異常・・と判断したのか逃げようとする残りのモノたちも背中から切りつける。一匹、また一匹と短い断末魔を上げてそれらは地に伏した。

そして最後の一匹にその刃を振り下ろしたその時。



「おい!あんたら大丈…ぶ……か……」

「援護に、ッ!」

「ひっ、な、なにこれぇ…!!」



冒険者です、といった風貌の男女三人組がいきなり現れ、晶嘉と散乱したレッドゴブリンの残骸を見て固まった。




『経験値を954獲得しました

レベルが上がりました』



静まり返った中、晶嘉の頭の中でレベルアップ報告音だけが響いた気がした。

ありがとうございました。

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