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妹が異世界で覇者になるらしい  作者: 翠架
始まりの地:聖都アルヴェトラ/魔国ヴェドマニアの辺境の森
15/17

第15話 兄

1、2話目が短かかったため3、4話と合わせました。


木々が鬱蒼と茂る森を、緑華はスープの入っていた鍋を片手にまた歩いていた。先ほどと違う事と言えば周囲に何体もの緑の妖精がいることだろう。


バングルをもらった緑華はそのまま帰る方法を探しに行こうと思っていたのだが、いかせんここは右も左もわからない異世界だ。

結局こちらの世界の常識を教えてもらってから旅に出ることとなった。


先生役を快く引き受けたエメラドがまず最初に出した指示は、この森の中にある食べれる物を正しく把握する、ということだった。

一応一人旅をして食に困ったときのため、とは言っているものの、その表情からは「早く把握して美味しいもの作れ」と言う言葉がありありと伝わってきた。




『あのねりょっか、これおいしいんだよ!』

『このきのみもおいしいの!!』

『これいいにおいなのにすっごくすっぱいの!くちがきゅーってなるの!』



妖精たちから差し出された果実は、見た目はラズベリーやブルーベリー、レモンそのものだった。

それを受け取り、鍋の中に入れていく。既に5種類ほどの果実の入った鍋からは果実特有の甘酸っぱい匂いがする。



「これ、匂いもレモンそっくりだな…」

『れもん?ちがうよ、それは“むむのみ”っていうんだよ!』

「うーん…見た目が同じで名前だけ違うってのはややこしいな。まぁ、詳しいことはエメラドさんに聞けばいいか」

『“りーごのみ”とってきたよ!このまえまでなかったのにきょうはいっぱいなってたんだ!』



小さな妖精が手にいっぱいいっぱいの苺のような果実を持って嬉しそうに飛んできた。

大量の果物を鍋の中に入れて、その妖精は一つだけその手に残し、緑華の方へと差し出した。



『あのね、いっぱいとってきたからね、ひとつたべてみて?』

「ありがとうな、じゃあちょっと味見させてもらうよ」



妖精は嬉しそうな笑顔で緑華が食べるのを見ている。

苺のような果実は近くで見れば見るほどそっくりだが…



「………」

『どう?おいしい?』

「……あぁ、美味しいよ」



味も食感も林檎だった。









その後芋のようなものや大根、人参、玉ねぎのようなものも妖精たちに案内されながら見ていった。見た目はキュウリで味はナス、というようなびっくり素材にも幾つか遭遇した。

この森の中には、緑華が最初想像していたよりも断然食材が豊富だった。自生している場所間が少々空いているものの普段行っていたスーパーの野菜コーナー並みに種類は豊富だ。


これだけ種類があれば作れるものは多い。肉や魚といったメインとなる素材がないのは残念だが、栄養価の高い野菜を食べていれば少なくとも死ぬことは無いだろう。

もうひとつ言うなら塩や砂糖などの調味料があれば…



そこまで考えて緑華は思い出した。さっきは異世界に来てしまったということで焦ってちゃんと見ていなかったが、確か調味料なんたらとかいうスキルがあったはずだ。

そう考えながら緑華はステータス、と言った。すると先ほどと同様、自身のステータスが可視化される。




リョッカ・スズナ

 Lv.1

経験値 0

次のレベルまで 15


 職業:料理人コック

属性:無

 HP:65  MP:85

 攻撃力:26  防御力:32

 魔法攻撃:18  魔法防御:28

 素早さ:32

 スキル:料理 Lv.99

    :餌付け Lv.99

    :調味料錬成 (ユニークスキル) Lv.1

    :解析 Lv.1

    :多言語理解 (ユニークスキル)

 称号:異世界からの来訪者、予定調和に無き者、世界規模の超迷子

 




あった、と緑華は心の中で呟いた。よく見ればスキルの横に『詳しく見る』という文字もある。

しかし詳しく見る、とステータス画面を開くとき同様に念じてみても、言葉にしてみてもピクリともしない。



「…まさか最近はやりのタッチパネル式…とか?」



恐る恐る『詳しく見る』という文字に手を重ねる。触れた。画面も切り替わる。

まさかの正解、タッチパネル式だった。


異世界にもタッチパネルがあったことに衝撃を受けながらも、出てきた文字に目をやった。





調味料錬成 (ユニークスキル)Lv.1


魔力に応じ、調味料を錬成する。錬成出来るのはスキル使用者が食べたことのある調味料に限る。また、スキルレベルに応じて調味料の純度、質が変わる。既存の調味料の純度を上げることも可能。





ユニークスキルやらスキルレベルなどがよくわからないが、とりあえず緑華がわかったことは一つ。




「料理の幅が、広がった!」

『…?りょっかどうしたのー?』



調味料の入手が可能ということだった。

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