訪問者
携帯が切られた後すぐの事だった‥。
「ピンポーン」
心臓が凍りつくようだった。恐る恐るドア穴から外を見ると、
そこには黒い帽子にスーツのとても小柄な男性が立っていた。
「先程、ご連絡させて頂いたET商会のタケイと申す者です。お子さんの件で
至急マダムにお話ししなくてならない事がありますので、ドアを開けて頂けませんか?」
さっきの電話の主と同じかん高い声だった。
「本当に息子達について何か知っているのですか!?」
「もちろんですとも、この瞬間にもマダムのお子さん達は危険にさらされているのですよ」
私には迷ってる時間はなかった。
冷や汗が出る手でゆっくりとドアを開けた。
玄関の明かりで男の顔がはっきり見えた瞬間、私は声にもならない声を手でおさえた。男の顔は包帯で巻かれ、包帯の隙間からのぞく目は瞳孔のみで、なんとも不気味だったからだ。
「本当にあなたは息子達の事をご存知なんですよね?!」
恐怖心を振り払い私はその男に問いかけた。
「単刀直入に言いますが、マダムのお子さんはこちらでいう神隠しにあわれ、今うちの社員の者が現場に向かっているところです」
理解不能だった。
「神隠しってだれにですか!!」
「もちろん、こちらでいう宇宙人にですよ。警察に相談されても、解決出来ないと思いますよ。こちらでいう失踪や神隠しといったたぐいは大体彼らが関わっているのですよ」
目の前にいるこの男は息子達が宇宙人によって攫われたと言い出したのだった‥。