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第76話 お化け屋敷になった理由

 直後に足が何かにぶつかり、斜め下へと私の体が滑り落ちそうになった。けれど落ちると思った瞬間に床に突きたてた包丁のおかげで落下はどうにか免れる。打ち付けた足腰が酷く痛んだ。

 大丈夫か、と皆が目を丸くして寄ってくる。突然開いた穴に相当驚いていた。大丈夫と軽く頷いて、私は足元へ懐中電灯を向けた。照らされて最初に見えたのは段差、それが下へ下へと続いている。床下収納だと思い込んでいた場所は地下へと続く階段だった。

 肝試しに来た他の人達も、ここは床下収納だと思い込んでよく調べていなかったのだろう。私達が今この場所を見つけたのも床板が腐っていたという偶然によるものなのだから。

 地下室への階段。新たに現れた未知の空間に、横から階段を覗き込んでいたあーちゃんと太陽くんの目が光る。


「お宝はこの先ってことね!」

「いざ行かんラストダンジョンへ!」


 子供のようにはしゃぎながら二人が階段を下りていく。続いて私達も後を追うも、二人は階段を下り切った先で立ち止まっていた。

 目の前には木製の扉があった。階段とその先を繋ぐ、そして不法侵入者を防ぐためのものだろう。鍵がかかっているようで太陽くんが押してみても僅かに軋むだけで開かない。あーちゃんが冴園さんに振り向いて言う。


「これ蹴破ってよ」

「鍵がかかってるだろ?」

「木製だし頑張ればいけるんじゃない?」

「そんな無茶な……」


 あーちゃんの無理難題に肩を竦めながらも、冴園さんは私達に離れているように言う。素直に私達が下がったのを確認し、冴園さんは扉から数歩距離を取って手足を軽く回す。それから彼は助走を取って、長い足を振り回すように扉を蹴り付けた。豪快な音がして、冴園さんの足がぶつけられた所を支点に扉がべキッと割れた。


「別に壊さなくても良かったんだけど」

「注文の多い子だな!」


 苦笑しながら冴園さんが足を引き抜く。あーちゃんが壊れた扉を押すと、今の衝撃で鍵は完全に壊れたらしく簡単に開いた。

 扉の先には一本の廊下が続いていた。左右に一つずつの部屋があり、奥にも一つ部屋があるらしい、計三つの部屋がある。左側の部屋に入ってみたが、どうやらそこは倉庫のような場所だった。缶詰や酒などの食料から、小麦粉や砂糖などの調味料、冬の暖房用に取ってあったのかライターや灯油なども隅にしまわれていた。

 せっかくだしいくつか拝借しましょう、と言って棚に手を伸ばすあーちゃん。冷蔵庫や冷凍庫もあるみたいだが、こちらは電気が通っていないせいでキッチンの冷蔵庫と同じ状態だった。保存されていたのであろう肉や氷が液状になっている。

 しばらく探索してから廊下に戻ったとき、あざみちゃんがふとしゃがみ込んで床から何かを拾い上げる。細い指先に摘ままれていたのは、黄ばんだ骨だった。


「何の動物の骨?」


 肉や魚の骨にしては大きめの骨だ。よく見れば所々に肉がこそげ落ちたような跡や、歯で齧った形跡がある。ネズミが齧ったのだろうか。それにしてもあまり見たことのない大きさの骨だ。

 右の部屋はこれまた書庫のような場所だった。ずらりと並ぶ本棚と隙間なく埋められた本。二階の書庫と違うのは、こちらの方が更に古めかしく貴重そうな本が多いということだろうか。古書の何とも言えぬ独特の香りが部屋を満たしている。棚から一冊の本を取り出そうとしたあざみちゃんが怪訝そうな声を出した。


「どうして鎖なんか付いてるのよ、この本」


 棚から出そうとした本の隅に鎖が付けられている。鎖は本棚とくっ付いているようで、一定の距離以上伸ばせない。私も近くの本を数冊取ってみるが、全部同じように鎖が伸びていた。


「昔、本が貴重だった頃、盗難防止として鎖で繋いでいたっていうのは聞いたことがあるよ。今もやっているところはやってるんだな」

「貴重な本……ってことは、ここにある本がお宝ってこと!?」


あーちゃんが手近な本を取っていく。高級な本だとしても鎖をどうするのだろうと思って眺めていると、なんと彼女は本の表紙を力任せに剥がそうとしていた。

 ぎょっとする私の視線に気が付いた彼女だが、平然とした顔のままで手を止めることはない。


「こうでもしなきゃ取れないでしょ? おっと」


 本のノリが剥がれたのか、表紙が取れて中のページがバサバサと床に散らばっていく。あーあ、とあーちゃんは肩を竦めて次の本にも同じように取りかかった。一目見ただけだが、価値のあるような本ではないと判断したのだろう。

 何冊か同じことをあーちゃんが繰り返していると、一冊の本から何かが床に転がった。鈍い銀色の鍵だ。あーちゃんは特に鍵を気にした様子もなく本を解体する作業に取りかかっている。

 拾った鍵をポケットにしまっていると、バキンと硬いものが割れるような音がした。目を丸くして一冊の本を掴んでいる太陽くんに、あざみちゃんが非難がましい目を向けた。


「何やってんのよ」

「いや、この本の鎖が錆びてたから力をこめれば壊れるかなって。まさか本当に取れるとは思ってなかったんだよ」


 彼の持つ本。そこから伸びていた鎖は根元から折れて、本棚から長い鎖が床に垂れている。

黄色がかった動物か何かの皮が張られた本だった。何の動物の皮を使っているのだろう。戻しなさいよ、というあざみちゃんに太陽くんは曖昧な笑みを返す。


「まあまあ。お宝探しもいいけど、とりあえず残りの部屋も見てみない?」


 出口に繋がる方法があるかもしれない。お宝を探すのはその後でもいいだろう。

私の提案にあーちゃんと太陽くんも頷き、皆で最後の部屋を探索することにした。廊下の奥にある部屋だ。建物中を歩いてきたが、更に地下への道でもない限り、この部屋が最後だ。

鍵でもかかっているかと思ったがその部屋には鍵はかかっていなかった。すんなりと開いた扉の向こうに一歩足を踏み入れる。

その瞬間、脳から体中に警笛が鳴り響いた。嫌な予感が一気に膨らむ。

真っ暗な部屋は何も見えない。だが部屋の中に充満していたのは噎せ返るような腐臭と鉄の臭い。湿度のこもった血と肉の臭いが私達の鼻孔に届き脳を突き刺す。

太陽くんが揺れる懐中電灯の先に映ったものを見て、わっと声を上げた。明りに照らされて白い何かが光っている。


「骸骨……?」


 白い骨。人の頭部の骨。そこに転がっていたのは骸骨だった。

 冴園さんが神妙な顔付きでゆっくりと懐中電灯を照らす。辺りに転がるいくつもの骸骨や骨が光の中に露わになる。

 転がっているのは骨だけじゃない。肉が。まだ人の体を保った死体も転がっていた。それが死体だと瞬時に悟ったのは、顔であるべきはずの部位が原型を留めていなかったから。四肢があらぬ方向にねじ曲がり、裂けた腹から内臓が飛び出しているから。

 凄惨な光景を前に私達は茫然と立ち尽くしていた。生きている人間などここには私達以外に誰もいない。あるのは動かぬ死体の山だけで……。

 ――――ぐちゅりと、異質な音が聞こえた。

 弾かれたように冴園さんが明りを音の方向へ向ける。暗い部屋の中、眩しい明りの中央に、それはいた。


 骨の浮いた痩せこけた体。身に付けている病衣らしき服は乾いた血でバリバリに固まっている。薄い頭髪は無造作に伸び、落ち武者を連想させた。全体的に骨ばった体なのに、その腹部はたらふくご飯を食べたときのように膨らみ、まるで餓鬼のような姿。

 一心不乱に何かを口に運んでいたその人は、明かりを向けられたことに気付き素早くこちらに振り返る。青白く生気のない顔、落ちくぼんだ爛々と輝く両目が私達を凝視する。ニタリと引き上がった口角、隙間の多い歯。涎と血混じりの食べかすがその人の口から零れる。

 肘辺りから切り落とされた腕だった。腐敗しかけの肉は、今まさに目の前のこの人が食べていたものだ。断面から生えた骨は、あざみちゃんが廊下で拾った骨とよく似ていた。


 誰が真っ先に叫んだのかは分からない。絶叫し、示し合わせたように踵を返して走り出した私達を、化け物が肉を放り捨てて追ってくる様子が視界の端に映る。

 廊下を真っ直ぐに駆け、階段を上る。だがもうすぐ一階に上がれるというところで最後尾を走っていたあざみちゃんの悲鳴を聞き、私は振り返った。階段の中段であざみちゃんが倒れていた、足を引っかけてしまったのだろう。


「あっ、あ。あぁ……!」


 必死に階段を上がろうとするも、恐怖に足が竦んでしまったのか起き上がれないようだ。化け物に投げようとしていたのか彼女の武器である糸が袖から覗いていたものの、糸の先端は力なくぷらぷらと垂れているだけだった。

 あざみちゃんの糸は集中しなければ上手く使いこなせない。私達でさえ心臓が激しく脈打つほどの恐怖を感じているのに、怖い物が苦手な彼女は一層集中なんてできるわけがないだろう。

 考える間にも化け物は私達に迫ってきていた。階段を四足で駆け上がってくる。後ろから冴園さんが私達を呼んでいるものの、返事をすることもできず、あざみちゃんを助けなければと階段を戻ろうとした私の横を、誰かが跳んでいく。


「――ライダーキーック!」


 太陽くんの足が化け物の顔面にめり込む。階段を飛び降りた彼の蹴りは、あざみちゃんの眼前まで迫っていた化け物に容赦なく見舞われた。もつれあうように階段を転がり落ちていった太陽くんだったが、すぐに上体を起こしたかと思うと茫然としている私達に叫ぶ。


「早く行け!」


 我に返ってあざみちゃんの腕を掴む。引っ張るように彼女の体を支え、私は一階へと階段を駆け上がった。冴園さんが私とあざみちゃんを引っ張り上げ、いつの間にか逆さにしたテーブルを引きずってきたあーちゃんが階段下の太陽くんに早くと怒鳴る。

 化け物と乱闘していた太陽くんは、あーちゃんの言葉に顔を上げてパッとバケモノから飛び退いた。即座に階段を三段飛ばしに駆け上がってきてキッチンへと躍り出る。素早くあーちゃんがテーブルで穴に蓋をし、その上に椅子や冷蔵庫などの重しになるようなものを乗っけていく。

 蓋をしたかしないかのうちに、下から激しくテーブルを叩く音がした。慌てて私も重しを探して乗せていく。激しく鳴り続いていた音も、しばらくすると突如に止んだ。だが重しをどかすことはできず、私達は張り詰めた顔で穴のある場所を凝視していた。


「何だったのさっきの。もしかしてあれが幽霊? ……あざみちゃん、大丈夫?」


 床に蹲るあざみちゃんの背を擦る。暗闇の中でもハッキリと彼女の顔から血の気が失せているのは分かった。大丈夫だ、と言いたげに小さく頷く彼女だが、口を押える手は震えているしどう見ても平気には見えない。

 ここにいては落ち着くものも落ち着かないだろう。あざみちゃんを休ませるために、私達は一旦部屋を出て一番近くの部屋に避難することにした。応接間に来るのも二回目だ。鹿のつぶらな目に出迎えられながら、ソファーにあざみちゃんを座らせる。


「大丈夫か?」

「……少し休めば平気よ」


 心配そうに顔を覗く太陽くんにあざみちゃんが答える。段々と声色にも明るさが戻ってきている、少し休めば回復するだろう。

 良かった、と安堵して私は部屋を見渡した。だが何度観察したところで目ぼしいものは何もない。冴園さんもあーちゃんも壁にもたれかかって休んでいる。私は壁にかかっている鹿の首の前に行き、その毛を撫でて話しかけた。


「ここから出る方法、何か知らない?」


 答えてくれるわけないか、と苦笑した。鹿は何も答えてくれない。だが、固い角に指先が触れたとき、鹿の首がぐらりと揺れた。ギョッとする私の前で、鹿の首は重い音を立てて床に落ちる。壁にぽっかりと大きな穴が開いていた。そこから飛び出した手が私の手首を引っ張る。上半身が穴の中に落ちそうになるのを、咄嗟に穴の縁を掴むことで堪える。鼻孔を強烈な血の臭いが突いた。

 何が起こったのか分からず目を見開く。途端ギョロリとした丸い両目と目が合い、声にならない悲鳴が零れた。さっき見た化け物の顔がすぐ目の前にある。化け物はぐいぐいと私の手を引っ張ると、反対の手に握ったナイフを大きく振り上げた。振り解けない、と危機感が全身を走る。


「ぐあっ!」


 私の首に向けられていたナイフは、横から突き出された腕に突き立てられた。ハッとして顔を上げた私の目に、端正な顔を苦痛に歪める冴園さんが映る。彼は歯を食いしばりながらもナイフを刺された腕で化け物の喉を掴む。甲に血管が浮き出るほど強く。呼吸ができなくなった化け物は手足をバタつかせて暴れ出し、拘束が外れた私はよろめきながら後ろに下がった。

 化け物は冴園さんの腕に刺さったままのナイフを握り、肉を抉るように動かしながら引きずり出す。呻き声を上げ、堪え切れずに冴園さんは化け物の喉から手を離した。その隙に化け物は穴の奥へと消えていった。


「冴園さん!」


 床に崩れ落ちる冴園さんの元に駆け寄る。無理矢理抉られた傷口からは、だらだらと鮮血が流れ続けていた。止血しなきゃ、と持っていたハンカチで彼の腕を縛るものの、当てた傍からハンカチは真っ赤に染まってしまう。唇を噛む私を見て、冴園さんは優しく頭を撫でてくれる。


「大丈夫だよ、こういうの慣れてるから。だから、そんなに泣きそうな顔しないで」


 青ざめた顔で笑う彼を見て余計泣きそうになった。嘘に決まっている。殺し屋でもない冴園さんが、こんなことに慣れているだなんて、そんなわけがない。私を励まそうとしてくれているんだ。

 一刻も早く脱出方法を見つけなくてはいけない。潤んだ目を擦って顔を上げると、あーちゃんがさっきの穴の中に上半身を突っ込んでじっと目を凝らしている様子が目に映った。すぐに彼女は体を戻し、私達に振り向く。


「この穴、色んな所に繋がってるみたい」

「色んな所?」

「そう。穴っていうより、狭い通路みたいになってる」


 彼女が言うには穴の先には狭い道が広がっていて、横だけでなく上下にも穴が開き、ロープのようなものがぶら下がっているらしい。落ち着きを取り戻してきたらしいあざみちゃんが、あーちゃんの横から同じく穴を覗き込む。


「隠し通路って感じ。きっとこの道、家中に張り巡らされてるのよ。あの化け物もきっと、ここを通って地下から出てきたのね」


 家中に張り巡らされた隠し通路。じゃあもしかして、この部屋に最初に入ったとき、鹿の目が私達を見つめているような気がしていたのは気のせいじゃなかったのか。きっとあの化け物はこの穴から私達を観察していたのだ。ここだけじゃない、多分色んな部屋でも。

 観察されていた。恐らく、この家に入ったときから。


「何だよもう。幽霊っていうより、まるで人間みたいじゃないか」

「……幽霊ではないかもしれないね」


 冴園さんがぽつりと呟く。幽霊じゃない、という言葉が気になって私達は彼の顔を見つめた。


「さっきも今も、あいつには普通に触れたし、向こうも俺達に物理的に攻撃してきただろう? 幽霊っていうのが触れない存在だと決まってるわけじゃないと思うが、あれはどう考えても……」

「携帯」


 突然あざみちゃんが呟いた。キョトンとする私達に顔を向けて彼女は続ける。


「二階の窓のところに落ちていた携帯。それと、教授の日記が見たいの。二階に行きましょう」

「え……う、うん。いいけど。あざみちゃん、もう平気なの?」


 休んだから平気、とあざみちゃんは静かに答える。不安に緩んでいた瞳も今はいつも通りの釣り目に戻っていた。元気になったのなら良いのだけれど、またあの化け物が出てきても平気だろうか。

 私の心を覗いたかのように彼女はチラリとこちらを見やって答える。


「私が幽霊を嫌いなのは、物理的に触れられないからよ。こっちから触れないなら襲われても抵抗できないじゃない」

「そんな理由だけにしちゃ怯えすぎじゃなかったか?」

「うるさいわよ太陽! とにかく触れられるんだったら勝機はある。一方的にやられたままでいられない。……それに、確かめたいこともあるし」


 確かめたいこと。あざみちゃんの言葉に首を傾げながらも、私達は二階へ上がった。しきりに辺りに視線を彷徨わせながら。家中に隠し通路があると分かった今、いつどこからあの化け物が襲いかかってくるか分からない。

 教授の寝室で日記を取ったとき、そういえば、とあーちゃんが思い出したようにポケットから鍵を取り出した。地下で拾った鍵だ。


「この鍵、どこの鍵?」

「鍵がかかった所なんてあったか?」

「あ、ほら。この先の二部屋。確か鍵がかかってて開いてなかったはずだよ」


 二階の空いていない二部屋。この鍵はもしかしたらそこの鍵だろうかと早速あーちゃんは部屋の前に行き試してみる。予想通り、鍵を差し込むと扉は開くようになった。一部屋は何もない。だがもう一部屋は、それまでの部屋と少し雰囲気が違った。

 洋風の外開き扉を開けた先は、畳の敷かれた和室だった。洋室だった場所を和室に改造したのだろう、設計の段階でこの部屋だけを和造りにしてほしいと頼んだのか、他の部屋ではクローゼットがあった場所に押入れが設置されていた。部屋の中には小さな箪笥やテレビなんかが置いてあるものの、あまり使われた形跡はない。部屋の中で特に目を引いたのは中央に敷かれた敷布団。その布団は、まるで誰かが眠っているかのように膨らんでいた。

 私達は無言で顔を見合わせる。太陽くんが静かに布団に歩み寄り、そっと布団を捲った。眼前に露わになる中身に、予想していたとはいえ背筋が凍る。

 布団に広がる茶色いシミ。腐臭に包まれながら、眠るように白骨死体が横たわっていた。身に纏っている血だらけの女物の服からして、恐らくこの人が奥さんなのだろう。随分と長い間放置されていたらしい白骨死体。布団を捲った瞬間、この部屋に嫌な空気が漂った気がした。


「…………確認しなきゃ」


 あざみちゃんがぼそりと呟いて部屋を出て行ってしまう。白骨死体から目が離せなかった私も、彼女の声に意識を戻してその後について行く。何を確認しなきゃいけないのか。部屋を出たとき、あざみちゃんはあの赤い窓の下にしゃがみ、携帯を拾って画面を眺めているところだった。

 やっぱり、とその口が動く。何がやっぱりなの? と後ろからあーちゃんが訊ねた。あざみちゃんは立ち上がり、携帯の画面を私達に突き付けた。画面に表示されているのは先ほど見たメッセージ画面だ。


「これおかしいと思わない?」

「おかしい? 何が? 文章か?」

「文章もだけど、何よりこの携帯自体よ。これ電源が入るのよ。画面が付いてるの」


 あっと冴園さんが気が付いたように声を上げる。首を傾げる太陽くんを見て、あざみちゃんは更に言葉を噛み砕いて説明をした。


「充電が切れてないの。携帯なんて、一切触ってなくても自然と充電は減るものでしょう? 数日もすれば電源すら入らなくなる。でもこの携帯は充電がまだ十五パーセントも残ってるの。この携帯の持ち主がこれを落としてから、そう時間はたってないってこと!」


 あざみちゃんは言いながら画面をスクロールさせていく。ピタリとその指が止まり、再度私達に画面を突き付けた。携帯の持ち主が友人に送った肝試しに向かうというメッセージ。送られた日付が載っている。それは、今からたった二十時間ほど前。昨夜の日付だった。

 じわりと不安が胸の奥底から込み上げてくる。脳が段々とあざみちゃんの伝えたい趣旨を理解し始める。彼女は次に教授の日記を開き、差し出してきた。


「重要なのはこの日付。教授が日付を付けるのが癖になってたなら、頭がおかしくなっても習慣付いたことは止めていなかったんじゃないかしら。……ほら、最後に書かれた日付。八月一日」

「……昨日の日付だな。でも、これが何年に書かれたものかは分からないだろ?」

「でも多分これは、昨日に書かれたものなのよ。教授が入院したのは去年の春だって太陽あんた言ってたわよね? この五月十八日に書かれたやつが、入院した頃の日記なんじゃない?」


 終盤に書かれた五月十八日の日記。白い天国、天使と書かれた意味不明な文章。これは多分病院のことなのよ、とあざみちゃんが言う。


「白い病院が天国に、看護師達を天使だと思い込んでいたんじゃ? だからこれは第六区の精神病院について書かれたもの」

「病院にもこの日記を持って行ってたってことか? でも、精神病院なんて私物の持ち込みは厳禁なんじゃ……」

「違う。この日記はずっとこの家で書かれてる。教授は多分、病院を何度も抜け出してるんじゃないかしら。あの精神病院、あんまりいい噂聞かないし。患者を虐待してるとか聞いたことがあるわよ。それに、管理も杜撰だって。患者が一人二人抜け出して失踪しててもなかったことにするって」


 第六区の精神病院は確かにあまりいい噂は聞かない。あざみちゃんの言うように患者を虐待していたり、果ては家族の意向で患者を殺したりしている、などとも言われている。実際に患者が脱走して街を徘徊しているところを捕まったこともあるらしいが、病院側の職員は探しにいくこともましてや失踪していることを騒ぎにもしていなかったらしい。


「じゃあこのお客様っていうのは?」

「あたし達と同じよ。ここに肝試しに来た人達のことを、お客様って言い換えてるだけにすぎない。夏になるとやって来て、夏が終わるとパッタリ足が途絶えてるのが証拠でしょう。何がお客様なんだか。おもてなしっていうのも、多分」


 あざみちゃんが黙り込む。言わなくても、言葉の意味は理解できた。おもてなし。地下室で見たあの死体の山を思い出す。お客様、おもてなし。ああ確かに、なんて素敵なおもてなしなのだろうか。

 じっとりと蒸し暑い空気が肌に纏わりつく。ぬらりとした不安が心臓を撫でる。彼女の言いたいことを理解したのだろう。太陽くんが信じがたいと言わんばかりに目を見開き、あざみちゃんに訊ねた。


「待てよ。じゃあ、じゃああの化け物は……」


 ええ、とあざみちゃんは頷く。真剣な声が私達に向けて告げる。


「あれは化け物なんかじゃない、幽霊なんかでもない。病院から抜け出した教授の末路。れっきとした、生きた人間なのよ」



 あざみちゃんの頭のすぐ横、窓ガラスが盛大に割れた。ガラスの破片が床に飛び散る。ギョッとした顔のあざみちゃんが振り返った先、窓にできた割れ目から骨ばった腕が突き出していた。

 無理矢理ガラスを叩き割ったのだろう。無数のガラス片が突き刺さった拳から大量の血が流れている。しかし痛みを気にする様子もなく、その手はガチャガチャと窓の鍵を外そうとしていた。割れ目から見えた化け物の、いや、教授の目が私達に向けられている。


「ああああ――――!!」


 恐怖心を煽る絶叫が教授の口から迸る。肝が潰れ、足が竦んだ。だが怯える間にも教授は無我夢中で窓ガラスを叩き割っていく。鍵が外れないとしても、そのうち広がった割れ目から中に入ってきてしまうだろう。

 広がっていく割れ目から待望の外が見えた。新鮮な外の空気が吹き込んでくる。だが教授を突き飛ばしてここから外に逃げることは叶わない。何故なら教授の後ろに見える外の景色、窓の下に見える地面に掘があったから。ただの堀じゃない。深く広い穴の中、何本もの竹が埋められ、その先端は斜めに切り落とされている。もしも飛び降りたところであの竹によって串刺しになってしまうだろう。

 教授が上がってくる前に私達は近くの部屋に飛び込んだ。さっき出て来たばかりの奥さんが眠っている部屋だ。扉に鍵をかけ、バリケードを作っている最中に外から扉をまた激しく叩かれる。扉まで部屋に合わせて襖などにしていなくて助かった。もし襖や障子だったら、バリケードを作る間もなく教授が飛び込んできていただろう。


「あの人今、外から来た?」


 扉を押さえながらあざみちゃんが言った。頬から汗を流し、怪訝そうな表情を扉の外に向けて眉根を寄せる。扉を叩いていた音はまた止んだものの、教授はまだすぐ外にいるかもしれない。


「どうやって外に出たの? どこからも出られないのに」

「それは……玄関の鍵くらい、あの人なら持ってるんじゃないかな。一応家主なんだし」

「そうかもしれない。でももしかしたら、隠し通路が外に繋がってるって考えられない? 家中に通路が繋がってるなら、外に繋がる抜け道もあるのかも」


 外に繋がる抜け道。パッと私達の顔に希望が差す。だがそもそも隠し通路への入り口はどこにあるのだろう。応接間まで戻れば鹿の首があった穴まで辿り着けるだろうが、教授が廊下に潜んでいるかもしれない今、この部屋から外に出られそうもない。

 突然あーちゃんが思い立ったように押入れへと向かう。身軽に押入れの中へ飛び乗った彼女は、何やら天井部分を手で探っているようだった。


「押入れって確か天井裏に続く道があるんじゃなかったっけ? ……あ、ほら、あった!」


 天井部分から外した板を床に捨て、どうだ、と言いたげな笑みをあーちゃんは浮かべる。押入れの中にできた天井裏に続く道。私達はその道を一人ずつ上って行った。

 天井裏は狭く薄汚い。木材が四方に張り巡らされた中、あちこちに下へ繋がるような穴が開いていた。そこからロープや梯子が下に下げられ、穴の周囲には無数の足跡が残っている。

 やはり教授はここを通り抜けていたに違いない。私達もゆっくりと慎重に天井裏を歩く。どこが出口だか分からない。だが途中、頬にひやりとした風が当たった。ハッとして近くに視線を彷徨わせると、頭上の板が一枚僅かにズレている。そっと板を押し上げてみるとそこから夜空が覗く。そうっと身を乗り出してみれば、そこは屋根の上だった。

 あざみちゃんの予想は的中していたようだ。教授がいないことを確認し、一人ずつ屋根の上に上がる。建物の中にこもっていた熱気が夜風に吹き飛ばされて行く。外だぁ、と太陽くんが歓喜の声を上げる。落ち着きがないとあざみちゃんは窘めるものの、待ち望んでいた外の景色に表情が緩んでいた。


「出られたはいいけど、どうやって下りるの?」


 屋根の端から地面を見下ろしていたあーちゃんが言う。私も隣から覗いてみれば、地面にはさっき見た通り、鋭利な竹が埋められた堀があった。落ちないように気を付けて屋根を上を歩いて見てみれば、家を囲む四方のうち、三方は同じように堀が掘られていた。唯一堀がないのは玄関のある所だけ。だがそこは窓枠や排気口などのとっかかりや足場は一切なく、他の所と比べてかなり下りにくそうだった。

 できるだけ障害物があるところを足場にして下りれば、失敗したときに竹に串刺し。竹がない所を選んでも落ちる確率は高くその上二階分の高さを落ちることになる。どこを伝って下りるにしろ落ちたら一たまりもないだろう。

 ロープでもあれば……。屋根裏から垂れていたロープの一本でも拝借しようかと考えたとき、背後からガタリと物音が聞こえた。


「っ!」


 振り向いた視線の先に、隠し通路を使って屋根を上ってきた教授の姿が飛び込んでくる。薄雲の切れ間から見える朧月が彼の顔を照らした。何日も洗っていないだろう、脂でぬめる顔。黄ばんでボロボロになった歯。落ち窪んだ眼球は、大きく見開かれて血走っている。

 彼が生きた人間だと理解していても、やはり化け物にしか見えない。大学で教鞭を振るっていたことがあるなどと想像もできない。精神を病んでから豹変してしまったのか、劣悪な環境の精神病院に入れられて完全に気が違ってしまったのか。以前の教授の姿を見ていた太陽くんが気付かなかったのも無理はないだろう。

 教授は私達の姿を認めると、大声で喚きながら走ってきた。手に持ったナイフを振り回す狂乱的な姿に私達はたじろぎ、足を引く。


「あっ」


 太陽くんが小さく声を出す。屋根の縁に立っていた彼は、一歩後ろに足場がないということを失念していたのかもしれない。重心を崩した彼の体がガクリと下がる。しまった、とその表情が語っていた。


「太陽!」


 近くにいたあざみちゃんが彼の手を掴む。だが彼女一人の力で男子の体重一つを、ましてやこんな不安定な足場で支え切れるはずがない。駆け出した私とあーちゃんも、左右から同時にあざみちゃんの服を掴む。しかし思っていた以上に足場が悪い。腕にかかる力に足がつんのめる、私達まで耐えられそうにない。

 冴園さんがあーちゃんの手首を握り、もう片方の手で屋根の縁を掴む。だが私達の全体重を支えなければならないその腕は、さっき切り付けられいまだ血を流す腕だった。ビンと張った腕の傷口から、血が一層じわりと滲む。数人分を支えるだけでも厳しいのに、怪我をしていればそれはなおさらだった。苦痛に声を上げ、冴園さんの手は耐え切れなかった様子で屋根から外れた。


 全員で空中に投げ出される。ふわりとした浮遊感。内臓が上へ上へとせり上がっていくような感覚。視界の端、今しがた私達が立っていた場所から教授がこちらを見下ろしているのが見える。血走った狂乱的な目は爛々と輝き、私達が串刺しにされるのを心待ちにしているかのようだった。

 鋭利な竹の先端が迫る。ああ、もう駄目だ。そんな諦めの気持ちで顔を歪めた瞬間、体に何かが巻き付くような不思議な感覚に見舞われた。しゅるりと衣服に何かが擦れる音がする。視界の中の景色は急速に回り、竹、地面、木、へと変わっていく。不可思議な動きで私達の落下地点は大きくずれ、そのまま一本の木の幹に叩き付けられる。ふっと全身を縛られているような圧迫感が消える。

 咳き込みながら瞬きを繰り返す。堀は私達が倒れている場所から僅か一メートルほど先にあった。本当ならここに落ちるはずだったのに、何故だか誰も落ちていない。ハッとして横に顔を向けると、あざみちゃんが真っ赤な顔で地面に四肢を突き、激しく咳き込んでいた。


「あ、あざみちゃんっ。大丈夫!?」

「……一人でも大変なのに、三人なんて、無茶したわ」


 涙目になりながら、あざみちゃんは静かに笑った。地面に落ちた懐中電灯が照らすあざみちゃんの手元。そこに絡みついていた糸がしゅるしゅると袖の中に巻き取られていくのが、僅かな光の反射に見えた。

 どうやら全員無事なようだ。良かった、と胸を撫で下ろしていると、痛む頭を擦りながら立ち上がった太陽くんのシャツの下から何かが落ちた。黄ばんだ皮の表紙でできた本。さっき、地下室の書庫で彼が見つけたものだった。


「それ持ってきてたの?」

「へへ、せっかくだし何もないよりいいだろう?」


 商魂たくましい。呆れるあざみちゃんと苦笑する私の視線を受けながら、太陽くんはえへんと本を掲げて胸を張った。

 いきなり教授が金切り声を上げた。ビクリと体を強張らせ、全員で屋根の上へ意識を向ける。教授は私達に憤怒の込められた凄まじい形相を向けていた。直後にその身をぐっと屈めた教授を見て、私達は目を見開く。


「え……嘘、まさか。……まっ」


 待ってと叫んだところできっと教授は待ってくれなかった。彼はギラついた目でこちらを睨みながら、激しく手を振り回して屋根から飛び降りた。どこまでも私達を追い詰めようとする執念が全身から溢れている。

 だが彼には糸などない。

 あっという間に落ちていった彼の足元。そこにあるのは、鋭利な先端を並べた竹の罠。水っぽい肉が突き刺さる音と絶叫が響いたのは、ほとんど同時だった。


「うっ…………」


 凄惨な光景に思わず目を逸らす。教授の突然の奇行に頭が付いていかない。串刺しにされど、教授はまだ生きているらしい。ナイフを手にうごうごまるで虫のように蠢いている。こちらに手を伸ばし、這い上がってこようとしている。

 あーちゃんが舌打ちをし、苛立った様子で大股に堀へと近付く。縁から教授を見下ろす彼女。何をしようというのか、と思っていると彼女はポケットから取り出したお酒の蓋を開け、教授に降り注いだ。倉庫から彼女が拝借していた小さな瓶に入ったお酒。中身が空になると彼女は空き瓶を教授に投げつけ、ライターを取り出した。何をしようとしているのかようやく理解した私は大急ぎで背後から彼女を羽交い絞めにする。


「な、何してるの! どうしてライターなんか……」

「決まってるじゃない、燃やすのよ」

「教授を殺すの!? 駄目だよ、そんなの! 犯罪だよ!」

「やられた分だけやり返すのは正当防衛! やり返さないで逃げるだけなんて、こっちが損するだけでしょうが!」


 あーちゃんは私に振り向いて怒鳴る。こいつは私達を殺そうとしたのよ、と苛立ちを言葉に吐き出す。

 人を殺すことなど私達のような殺し屋ならともかくあーちゃんのような一般人が耐えられることじゃない。そんな彼女が躊躇なく教授を燃やそうとしているのは、それほどまでにこの建物で与えられた恐怖と怒りが膨大だったからだろう。


「それにこんな怪我して助かるわけないじゃない。だったらいっそ早く殺しちゃった方がこの人のためにもなるわよ」

「だからって…………きゃっ」


 教授の伸ばした手が私の足を掴む。だがあーちゃんが即座に教授の手を踏み付けた。厚い踵を抉るように回すと、教授はギャッと悲鳴を上げて手を離す。

 その拍子にあーちゃんの手からライターが落ちた。地面に転がったライターはそのまま堀へと転がり、教授の目の前に落ちる。靴の痕が付いた手がライターを拾い上げて蓋を開けた。

 反射的にあーちゃんの服を引っ張って地面に倒れるように堀から離れた。カチッと小さな点火音。だが次の瞬間、小さな火は教授の体を舐めるように広がり、あっという間に服や眉毛を燃やし出す。動くことのできない教授は火を払って消すこともできず、数十秒もしないうちに火が教授の全身を包み、周囲の竹にも広がった。ポンポンと火種が弾けるような爆発音が燃えた竹から聞こえてくる。火に包まれて激しく暴れようとする教授を茫然と眺めていた私とあーちゃんを、背後から冴園さんが強制的に立ち上がらせた。


「逃げるよ!」


 その声に我に返り、火が届かない場所まで私達は走る。背後から一層大きな風の音が聞こえて暗い森が明るく照らされた。アルコール度数の高い酒だったのか燃やしやすい素材が周辺にあったのか、火の勢いは激しく、建物の一部にまで火が広がっていた。辺りの空気は乾燥し、熱い。教授の断末魔はもう聞こえてこない。

 木々が開けた場所だから林に引火する可能性はないことを願いたい。しかしどうにせよ、大きくなっていく火事に林周辺の住民が気付くのもすぐだろう。いつまでもここにいては怪しまれる。急いで逃げなくては。


「あ…………」


 建物の二階の窓に人影が見えた。長い髪の女性のような人影は、教授が燃えている位置をじっと鉄格子の隙間から見下ろしている。

 まだ生存者が残っていたのだろうか。私が皆に人影のことを伝えようとしたとき、不意にその女性が顔をこちらに向けようとした。しかし顔が見える寸前に、一瞬大きく燃え上がった炎が窓を覆い隠す。炎のカーテンが晴れたときには、既に窓に人影は見えなくなっていた。

 唖然と目を瞬く。炎による蜃気楼か、単に私が見間違えただけなのか。熱気のまとわりつく空気の中で、鳥肌の立つ腕を擦る。


「お化けと人間と、どっちが怖いんだろうね」


 冴園さんが薄い笑みを浮かべて言った。それにあざみちゃんが静かに答える。


「どっちもよ。死んでるものも生きてるものも、怖いものは怖いの」

「そうかぁ」

「そうね」


 そう言って二人は燃え盛る家に顔を向ける。私も家を見て、明るく揺れる炎に目を細めた。消防が来て警察が来て、これまでの行方不明者も発見されることだろう。この建物で何が起きていたのか、第六区の精神病院が何を行っていたのか、公になるのかもしれない。

 勢い良く燃える炎はまだ消えそうにない。

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