第54話 別行動
一際激しく扉が揺れ、ついに嫌な音を立てて壊れた。開いた隙間をこじ開けて教室へと男が一人乗り込んでくる。赤らんだ顔。怒りか興奮か大きく唇を歪め、その手に握る拳銃を見せつけるように教室内へと突き付ける。
「死にたくなかったら大人しく……」
「今!」
男の台詞を最後まで聞く前に私は叫んだ。それを合図に、扉の両脇にしゃがんでいた杉山くんと新田くんが思いっ切り腕を引く。彼らが持っていた縄跳びの両端が引っ張られ、ピンと張った縄に男の足が躓いた。勇んでやって来た男は突然の出来事に対応できず、困惑の悲鳴を上げて前のめりに倒れた。
このために扉から少し距離を離したバリケード。机の角や椅子の足が剥き出しになったそこへ男は顔面から突っ込んでいき、痛みに呻き声を上げた。
「おらあっ!」
男が体勢を立て直す前に横から大西くんが飛びかかる。団子のように絡まってゴロゴロと転がり、教室の壁に体を打つ音がした。その際に男の手から弾き飛ばされた銃が床を滑り、早海さんが素早く拾い上げて男の手から遠ざける。
がむしゃらに身動ぎをし抵抗する男だったが、大人の体格とそれほど変わりない、まして柔道部員である大西くんの組み付きからは中々逃れられそうになかった。その隙に杉山くんと新田くんが縄跳びで男の手足を縛り上げる。暴れる男の肘が新田くんの頬に当たり、彼はぐっとよろめいた。目付きが鋭くなり、怒りに犬歯を剥く。
「大人しくっ……しろよクソッ!」
男の顔面へと新田君が拳をぶち込む。痛々しい音に早海さんが顔を逸らし、恋路さんが悲鳴を上げた。
白目を剥いて動かなくなった男の手足をキツク縛り、念の為にとガムテープで口を塞ぐ。ようやく一安心したのか、男子達は一斉にその場に座り込んで息を吐いた。
「あー、何なんだよこいつ!」
「やっべえ、手震えてんだけど……。はー、待って、何これめっちゃドキドキしてる……」
「ちょっと、座ってる場合じゃないでしょ。早く逃げるわよ」
一条さんが男子達にそう言うのを聞きながら、私はこっそり教室を出ようとした。だけどやっぱりそれはすぐにバレてしまい、怪訝そうな顔の一条さんが私を呼び止める。
「一人で先行こうとしないで。それとも秋月が先頭に立ってくれるの? 怪しい人がいないか、見てくれるってわけ?」
はっと馬鹿にしたように鼻で笑う一条さんに、私は困ったように頬を掻く。そういうわけじゃなくて、と前置きして伝えた。
「他に生徒が残ってないか見てくるよ」
「は?」
ポカンと口を半開きにした彼女に、床に倒れている男の人を指差しながら説明する。
「学校に不審者が来ただなんて皆知らないでしょう。だから、校舎に生徒が残ってたら伝えなきゃ」
「いや……いや、いや、待てよ!? それってつまり、秋月が一人で回るってことか? 危ないだろう!」
「ありがとう、でも大丈夫だよ。皆は早く避難して。多分、体育館側の階段を使えばすぐ外に出れるから。もし誰かに鉢合わせそうになったら落ち着いて近くの教室に……」
「大丈夫じゃないっての!」
新田くんが険しい顔で私の肩を掴む。その剣幕に押されそうになりながらも、どうすれば彼を説得できるだろうと考えた。
今日私達が学校にいるのも補習のためだった。数は少ないと言え、きっと他のクラスにも似たような理由で登校してきている生徒はいるはずだ。今週の水曜から、グラウンドや体育館の点検といった理由で明日まで部活動は禁止されているはずだけれど、中にはこっそり部活をしている子がいるかもしれない。文化部の生徒なんかは特にそうだ。早く学校で起こってることを伝えに行かなければいけなかった。
「私も」
早海さんが静かに声を上げた。皆の視線を注がれながら、彼女は冷ややかにも見える目で私達を見つめ返す。
「私も一緒に行く」
「瑠唯まで!?」
恋路さんが裏返った声で問う。早海さんは頷いて続けた。
「職員室の先生達を助けられないか、見てくる」
「先生達? 待って早海さん。あそこに変な人達がいっぱいいるんだよ? 危ないよ」
「それは和子もでしょう?」
チラリと早海さんが私の目を見て言う。うっ、と私もそれ以上は何も言えなくなった。
二人も出ていこうとしたからか皆は不安気にお互いの顔を見合わせて沈黙する。けれどそれはすぐに途切れた。真っ先に手を上げたのは、新田くんだ。
「俺も! 女子だけで行かせるなんて、そんな格好悪いことさせられるかよ」
「お、おれも行く。荒木のこと、本当なら早く病院に連れてかなきゃやばいだろ」
「……分かったよ、不審者に会ったらこっちに任せとけ。また締め上げてやる」
杉山くんと大西くんも次々に手を上げた。一条さんは唖然とした顔でその流れを見つめ、頭痛を堪えるかのように頭を押さえる。
「馬鹿じゃないの……あんた達、頭おかしいわよ。どうしてこの状況で逃げようとしないの? ……いいわよもう。綾、行くわよ」
そう言って恋路さんに手を差し伸べた一条さんは、しばらく待っても反応が返ってこないことに眉根を顰めて綾? と顔を向けた。
恋路さんはそわそわと落ち着かない様子で一条さんと私達を交互に見比べる。そして思い切ったように一条さんの元から走り出し、早海さんへと抱き付いた。
「あ、あやも、皆と一緒に行く!」
「はぁ!?」
驚いたのは私達も同じだった。目を丸くして恋路さんを見下ろすも、彼女はキツク早海さんに抱き付いたまま離れない。背中に背負ったうさぎのバッグが揺れる。
一条さんが耐え切れずに頭をガシガシと掻き乱した。勝手にして、と叫んで廊下に出ていってしまった彼女を、慌てて引き留めようと杉山くんが追おうとする。だが足早に行ってしまった一条さんを追いかけることを諦めたようで、すぐに教室へ戻ってきた。
「えりななら多分大丈夫。何かあっても結構冷静でいれるだろうから……」早海さんはそこまで言ってから、恋路さんを自分の体から引き剥がす。「それより綾。どうしてえりなと一緒に行かなかったの。こっちは危ないって、分かってただろ?」
首根っこを掴まれている恋路さんは肩を竦ませて、小動物のように怯えた目で私達を見上げた。いつまでもこうしている時間はない。私達は慎重に教室を出て、足音を立てないように廊下を進んだ。
階段へやってくると、踊り場に倒れている荒木くんを見て杉山くんが息を呑んだ。新田くんが口を大きく開けて叫びかけたのを早海さんが慌てて塞ぐ。大西くんが急いで駆け下りてその体をそっと抱き起すが、荒木くんは瞼をピクリとも動かさなかった。そのまま大西くんが彼を背負い、忍び足で保健室へと向かう。事前に言ってはいたけれどやっぱり実際に見るとショックだったのだろう。それまでどこかやる気に満ち溢れていた男子達の顔はすっかりと青ざめ、恋路さんは今にも倒れそうなほどぶるぶると震えていた。
保健室のベッドに荒木くんを寝かせ、もう一度彼の傷に目を通す。傷はこの際血が流れていないから良しとしていいのかもしれないが、問題は左足だ。素人目から見ても折れているだろう彼の足。このまま放置するのが良くないとは分かっていても、ここは病院でもなければ私達は医者でもない、どうすることもできないのは明らかだった。
男子達は荒木くんの様子を不安気に窺いながら携帯を取り出して警察へと連絡を取っている。緊張で何度もつっかえてしまっていたが、何とか連絡は取れたらしい。これですぐ警察もやって来てくれるだろう。
「……………………」
男子達の青い顔が目に映る。私はしばし考えてから、やっぱりと小さく言った。
「一人で行くよ」
皆が私を見つめた。
「皆はここにいて。ここまで来たら、避難するよりは警察の助けを待った方が早いかもしれない。いざとなっても一階だから窓から逃げられると思う」
「……だ、だからさぁ、女子だけで行かせるわけには」
「さっきみたいに見回りに来てる人がいても一人ならむしろやり過ごせるかもしれない。大勢で騒がしくたら、バレちゃうよ」
「そうかも、だけど」
しつこく渋る新田くんに、私は静かに目を伏せた。酷なことを言うかもしれないけれどと前置きしてから、顔を上げて彼の目を真っ直ぐに見つめる。
「三人とも、もうこの部屋の外に出たくないでしょ?」
三人はハッとしたように目を見開いて、気まずそうに視線を落とした。
新田くん、杉山くん、大西くん。彼らは確かに私達女子と違って力があるし、いざというときには頼りになる。教室へやって来た見回りの男を楽に動けなくできたのも彼らのおかげだ。
だけど、彼らがこの状況を精神的に耐えられるとは思えなかった。学校に侵入してきた武装集団、怪我をして意識のない友人の姿。突如として巻き起こった現状は彼らには荷が重すぎる。普通ならパニックになってしまうはずなのにそうならなかったのは、恐らくあの男を縛り上げたときに変な高揚感を覚えてしまったからだろう。
学校へ忍び込んだ不審者、それを自分達がやっつけた。妄想か少年漫画の中でしかできなかった出来事が今現実に起こっている。それはきっととても興奮することに違いない。俺がヒーローだ。自分が学校にやって来た敵を倒して、女子を守って、皆を助ける。どうだ、格好良いだろう。
その気持ちは私も分かる。誰だってそういうヒーロー願望は少なからず持っている。ちょっと出来事が上手く運んだだけで、その願望が強くなってしまうのも仕方がない。
だけど三人のそんな気持ちは、荒木くんの姿を見たときに一気に現実へと引き戻されたんだ。
身近な友人のあまりにも痛々しい姿。近しいからこそ、荒木くんの痛みを自分のことのように感じたし、私達以上に恐怖も感じただろう。そんなものを見てしまえばヒーローだの何だのとは言っていられない。舞台は現実だし、自分は主人公じゃない。一歩間違えば死んでしまうし、気合で事は上手く進まない。
怖気づいた彼らをむざむざ危険に引っ張り出すわけにはいかなかった。
「嫌なこと言ってごめんね」
静まり返った保健室に私の声が転がる。きっと彼らには嫌な思いをさせてしまっただろう。勝手に彼らの気持ちを決めつけて、弱虫だってなじるようなマネをして。
でも私は元からクラスの一員だなんて思われていないだろうから。これでいいんだ。こうしてどんどん嫌われて、遠ざけられても、皆を危険に晒すよりはマシなんだ。
嫌われ者の私一人が危ない目に遭えばいい。普段から危険な状況に慣れている私だからこそ、こういうときに率先して動かなきゃいけない。
皆を守る責任は、きっと私にあるはずだ。
保健室を出て廊下を歩く。シンと静かな廊下は何だか凄く怖いけれど、物音が何もないということはこの近くを見回っている人もいないのだろう。一階から見回ると誰かと鉢合わせてしまうかもしれない。二階から行こうか、それとも三階から行こうか……。
そう考えながら歩いていると、背後から潜めた足音が聞こえた。靴底が床の上をキュッと擦る音に反射的に振り返る。
「っ…………え!?」
私の睨み付けるような視線を受け廊下の真ん中に立ち竦む人。それは今しがた別れたばかりの早海さんの姿だった。
早海さんは少し驚いたように目を丸くしていたが、すぐに私の横へとやってくる。何事もなかったのように「階段に行くの?」と話しかけてきた彼女に、声を潜めながらも焦った声で非難を投げる。
「な、何でこっちに来たの!? 危ないって言ったでしょ、聞いてた!?」
「和子、落ち着け」
「落ち着いていられるわけ……」
「そっちこそ話を聞いてた?」
早海さんが私を睨む。鋭い声がその唇から放たれた。
「私は職員室の先生達を助けたい。和子は他の生徒が残っていないか見回りに行く。私達は一緒に行動するわけじゃない、誤解しないで。保健室で待ってなんかいられないんだ」
「……何でそこまで先生達を助けたいの」
「先生達は見捨ててもいいのか?」
「そういうわけじゃないけど……」
ただどうにも納得ができなかった。自分の危険を顧みず、先生達を助けたいなんて思えるだろうか。いくら仲のいい先生がいようがそこまで私はできるだろうか。
私と早海さんが互いの顔を怪訝そうに見つめ合っているとき、また同じ方向から足音が聞こえてきた。だが今度は潜めているような音ではない、露骨に床を靴底が叩くパタパタと慌ただしい音だった。合わせたように素早く二人で振り返り、どちらも同じく目を剥いた。
「待って、待ってよぉ、置いていかないでってばぁ!」
「恋路さっ……!?」
涙目で駆け寄って来た恋路さんの腕を引き、急いで近くの角へと身を隠した。恋路さんの口を手で塞ぎむーむーと暴れる彼女を無視して周囲へ聞き耳を立てたが、どうやら足音を聞きつけてやってくる人はいないようでほっと胸を撫で下ろす。
「ぷはっ……やめてよ秋月。苦しいじゃん!」
「だから何でこっちに来るの!」
思わず声を荒げると、恋路さんはビクッと肩を跳ね上げた。じわりと目尻に涙を溜めながら声を震わせて言う。
「あや、たくさんの人といる方が落ち着くの。あやだって逃げたかったのに、皆、なんかこっち来ちゃうし? えりなと二人だけより、こっちの方が人多いから、安全そうだし……」
「さっきじゃなくて今のことを聞いてるんだって! 人が多い方が落ち着く? じゃあ保健室残ってれば良かったじゃん! 私と早海さんの二人より、新田くん達は三人でしょ!?」
「だ、男子だけってなんか嫌じゃん! ムサいし、苦しいしさぁ!」
「どうしてこんなときに、そんな我儘…………」
上擦った声で更に非難しようとして、泣きじゃくりかける恋路さんを見てハッと我に返る。頬に幾重にも残る涙の痕。恋路さんだって怖いんだ、これ以上無駄に怖がらせてどうする。
子供をあやすように彼女の頭を撫でて謝る。ところでどうやって男子達を説得して外に出たの、と訊ねてみた。流石に私だけじゃなくて早海さんと恋路さんまで外に出たら、男子達も止めにきたりするだろう。すると恋路さんはコロリと表情を変え、得意顔を浮かべて腕を組む。
「トイレに行くって出てきた! 大西が付いてくるって言ったんだけど、変態ーって言ったら来なかった!」
「あ、ああそうなんだ…………」
反応に困って苦笑する私と、名案でしょうと言いたげに得意顔を崩さない恋路さん。そんな私達を見て早海さんは溜息を付いて私の肩を叩いた。
「その子は任せた。私は私で動くことにする」
「え、その子って、え、早海さっ」
戸惑っている間に早海さんは姿を消してしまった。残されたのは私と、キョトンとした顔で立ち尽くす恋路さんだけ。彼女は何だかんだで二人っきりになってしまった状況に不安を感じ始めたのか、また目を潤ませた。泣きたいのはこっちの方だ。
先に上から探そうと三階にやって来たものの、三年生の教室を回ってみたところで人っ子一人いなかった。誰かが隠れたり待ち伏せしたりしたりしていないか慎重に探すが、ただ時間が減るばかり。
むしろそれは嬉しいことだった。学校に残されている人がいないということになるのだから。しかし今私を着実に苛立たせているのは、さっきから私のシャツの裾を掴んで離さない恋路さんだ。彼女は恐怖を紛らわせようとしているのか、次々と平凡な世間話をその口から喋り続けていた。
「秋月はさ、犬と猫だったらどっちが好き? あやはね、動物なら何でも好きなんだー。あ、でもでも蛇とか虫とか、そういうのは嫌い」
「そうなの」
「夏は蚊とか出るからやだよねー。そうそう、夏ってあれだよ、怪談、お化けの話! うちのおばあちゃんね、ちょっとボケてるから何度も同じ話聞かせるんだけどね、怖い話も何度も話してきてさぁ」
「へぇ」
「しかも古くさい話ばっか。ろくろっ首とか一つ目小僧とか。かまいたちって知ってる? あれは結構好きだなー。ああそうそう、牛の首って話があるんだけどね」
「……あのさ、ごめん恋路さん。少し静かにしてくれないかな」
つい冷たい声を出してしまう。恋路さんは一瞬息を呑み、露骨に傷付いた表情をして肩を落とした。その動作に罪悪感を覚えるが、流石にうるさくされるのは彼女にとっても危ないから許してほしい。
「……………………」
裾を握る手は、こうして冷たく言い放ったところで離れることはなかった。
今日はいつもと私達の立場が逆転している気がする。いつもならば恋路さんは一条さんと共に私のことを馬鹿にして、こうも近寄ってなど来ないはずなのに。秋月のバーカ、とはしゃいだ声で笑っては足を踏むくらいはしてくるはずだ。
…………あれ?
「どうかしたの秋月?」
「いや、何でも……」
そういえば恋路さんが私をからかうときはいつも一条さんが傍にいる。と言うより、恋路さんは一条さんや瀬戸川さんとくっ付いていて、二人のうちどちらかの傍に必ずいるのだ。
逆に考えると二人といないとき、一人のときに恋路さんは私に絡んでくることはほとんどない。たまにちょっかいを出したりしてくるにしろ、悪口やら暴力やらといったものは一つもない。
……もしかして、私をいじめていたのって、一条さん一人だけだったりするのかな?
「ひっ!」
思案に耽っていたとき、どこかから足音が聞こえてきた。恋路さんが小さく悲鳴を上げる。すぐさまどこかへ身を隠そうとしたけれど、間の悪いことに近くに教室の入り口がない廊下へと出てきてしまっていた。視線を巡らせて目に入ったのは掃除ロッカー。躊躇う暇もなく恋路さんの手を引いてそこへ入り扉を閉めた。
幸いにも中の掃除用具はほとんどなかった。箒が一本背骨に当たり、片足を突っ込んだバケツの中にあった濡れ雑巾が靴を濡らすが、二人も入れるスペースがあっただけで十分だ。
足音が近付いてくる。カチカチと歯を鳴らして震える恋路さんを落ち着かせようと、その頭を胸元に寄せてそっと撫でた。埃っぽいにおいが充満するロッカーの中、私と恋路さんのゆっくりと荒い呼吸音がやけに響く気がした。
大丈夫、大丈夫。できるだけ柔らかい声で恋路さんに囁けば、彼女は小さく頷いて私の服をギュッと掴んだ。
大丈夫。もうすぐ足音はいなくなるから。ほら、もう通り過ぎていく。大丈夫、大丈夫だよ。
そう囁いて恋路さんの頭を何度も撫でていると、段々と彼女は強張らせていた肩から力を抜いていった。
けれど足音がロッカーの前を通り過ぎかけたとき、油断してしまったんだろう。
恋路さんの足がバケツに当たり、ガタンと音を立ててしまった。




