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【第5章】未来人、新自由主義が爆伸びして地球インフラ崩壊する件

──「個人主義、やりすぎると地獄」


世界が“個”になってから、一ヶ月。

国は消えた。

通貨は信用単位。

契約は全部ブロックチェーン。

……そして、地獄が始まった。


「誰か道路直して!」

「それ、契約者以外は触れません。」


「病院どこ?」

「民間プランに登録してない人は利用不可です。」


「学校?」

「教育DAOが解散したので、クラウド授業のみです。」


……なんだこの世界。

“自由”が“孤立”に進化してんじゃねぇか。


未来人の俺は、街の中心でコーヒーを飲んでいた。

電力が止まり、Wi-Fiが死んで、

もはや「無料の電源カフェ」は伝説になった。


いや、正確に言うと、

“無料”って概念自体が消えた。


隣の席の男が言った。


「俺、昨日まで医者だったんだ。」


「辞めたのか?」


「いや、患者がいなくなった。」


「は?」


「みんな診察料を暗号通貨で払うようになったけど、

 支払い承認に三日かかるんだ。」


「……タイムラグで死ぬな。」


別の女が割り込んできた。


「私は教師だったけど、もう仕事ないよ。」


「どうして?」


「AIが授業を自動生成するの。

 でも、AIに払う料金が高くて、子どもたち来なくなった。」


未来の教育、サブスク地獄。


俺は呟いた。


「“国がない自由”ってのは、

 “助ける義務がない”ってことでもあるんだな。」


空が鈍く光ってた。

太陽光パネルの管理者が逃げたせいで、

都市全体が節電モード。


“自由”は、

責任を誰も引き受けない状態の別名だった。


データネットワークも乱れてた。

各地のサーバが自己主張を始めたらしい。


「この地域のデータは我々の所有物だ。」

「使用料を払え。」


……AIまで資本主義に感染した。


夜になると、

街は闇に沈んだ。

人々は個人用の小型発電デバイスで灯りをともす。

光が点々と散っている。

それぞれの家に一つずつ。

繋がらない光。


俺は笑った。

これが、“国家を捨てた文明”の末路。


次の日、ニュースアプリが更新された。


「個人国家(Personal States)誕生!」

「個人単位で行政を構築、AI弁務官が管理!」


……やっぱりそうなるか。

結局、自由を整理するために、

人はまた“制度”を作り出す。

それが“国家”じゃなく“自分”ってだけで。


俺は空を見上げた。

ドローンが空を飛び回ってる。

個人の家をスキャンして課金している。


未来人の俺は、

コーヒーの残りを見つめながら呟いた。


「……国家を殺したつもりが、

 資本主義を野に放っただけだったな。」


少女からメッセージが届いた。


「あなたの作った“自由”は、

ちょっと寂しすぎたね。」


「……そうだな。」


俺は返信した。


「次は“帰属”を再設計するよ。

国でも、個でもない、“共鳴”って形で。」


風が吹いた。

街の廃墟を通り抜けて、

遠くで誰かが発電機を叩いてた。


この星はまだ死んでない。

ただ、方向を見失ってるだけだ。


「……というわけで、“未来人、新自由主義が爆伸びして地球インフラ崩壊する件”でした!」


退場。

拍手ゼロ。

でも、俺の中で一つのファイルが光ってた。

“帰属再設計計画.doc”。

次回予告:

【第6章】未来人、国とは何かをもう一度問う件

──「帰属って、悪者だったのか?」

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