今ならポイント2倍。冗談みたいだけど……あなたを救うためなの。
もう何度目だろう。彼に魔王を討伐してもらうのは。
最近はむしろ、彼が戻ってくるたびに胸がきゅうってなる。
私、女神失格
「あんたってさあ、なんだかんだで仕事早いじゃん」
そんな気持ちを誤魔化ように、私は彼に話しかけた。
「どういうことでしょうか?」
あ、警戒してる。ちょっとだけ眉をひそめる表情も好き。って、何考えてるの……
「だからさ、やればできるんだから、もう少しピッチあげてもいい?」
できるだけ軽く、冗談っぽく。
でも内心はドキドキしてる。
本当の理由を言うには、勇気が足りなかった。
「無理をして、怪我したり最悪死ぬこともありますよ」
彼の声が少しだけ厳しくて、心がチクリとした。
「そんなのイヤに決まってるでしょ。でも……」
言葉がつかえる。言えないよ、こんな理由。
「でも……何でしょうか?理由があるのですね?遠慮せず仰ってください」
彼の声が少しだけ優しくて、私はうつむいてしまった。
ずるいなあ、そういうところ……
「怒らずに聞いてくれる?」
言いながら、自分でも情けなくなった。
怒るに決まってるよね、こんなこと言ったら。
「なぜ僕が女神さまを怒るのですか」
やっぱり、優しいんだ……
だから、ちゃんと伝えよう。
「あのね、今なら討伐ポイント……2倍なの」
言った瞬間、空気が固まった気がした。
でも、これは冗談でもテキトーでもないの。
あなたを救うために必要なのポイントが……