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あなたがいないと困るの…その熱、私にも伝わってるから
彼が、風邪をひいたらしい。
体調を崩すなんて。珍しい。
「女神様、ご迷惑をおかけします」
申し訳なさそうにそう言った彼に、私は静かに返す。
「まあ、今までこき使ってたしね。疲れもたまってたんでしょ。仕方ないわよ」
本当は心配で仕方ない。
だけど、それを言葉にすると、私の立場が崩れちゃう。
「無理はしないでね」
その一言に、彼が少し驚いた顔をしたのを見て、胸がきゅっとした。
「ありがとうございます。1日も早く風邪を治して魔王を討伐します」
そんなにがんばらなくていいのに
「ダメよ」
私は思わず、彼の言葉をさえぎってしまった。
驚いたように見つめ返す彼の目が、まっすぐで、眩しくて。
「風邪ひいてても魔王討伐は絶対でしょ、ただし無理して死んでもダメよ」
あなたがいないと、私…困る…
なんて言えないけど…
治すのも、戦うのも、ちゃんと順番にして…




