第3章第6話〜VS青山大智〜
「あんた何考えてるの!?」
あの後俺は榛名と共に野村さんが用意してくれたホテルに入って準備を進めようとしたら榛名が怒り出した、珍しいな静かなこいつがこんなにキレるって。
「え、俺なんかやらかした?」
「はぁ…やらかしてるっていうかどうかしてるよほんと…あの戦闘狂を倒すって言うんだから…」
「何を言ってんの?」
榛名は唖然とした表情をした、今日は表情豊かだな。
「俺は何も真正面から殺り合うわけじゃないし、倒すわけじゃないよ。」
「はぁ?どうゆうこと?」
「俺はあくまでも『なんとかする』って言ったのであって倒そうとは言っていないよ、そもそも経験とか色々総合的に俺が不利だし。」
そう言いながら俺は銃弾の用意を進め、ピストルの手入れをする。榛名はぶつぶつと何か小声で文句を言いながらレイピアの手入れをしていると部屋のドアをノックされた。ドアを開けると野村さんのところの忍びが来ていた。
「あの、これ…言われた物です。」
そう言いながら忍びは俺に一枚の紙を渡し、部屋を後にした。何を渡されたのかが気になるのであろう榛名が後ろからチラチラと見ようと少し背伸びしたりしてる。俺はそのまま紙を広げ榛名にも見える様に室内の机に置いた。
「これって…地図?にしては結構細かいね」
「そ、そしてこれは間者に聞いてもらって書いてもらった青山大智が通るルートだ」
「それでどうすんの?」
そうなんだよなぁそっからどうするか、ここから考えないといけない。道中爆破を考えたがそれは近隣の一般人を巻き込むことになるからダメだ。じゃあ妖怪が出たということにして退避させるかといえば良いのだろうがそれだと青山もルートを変えてくる可能性もある。
「冬也、ここを封鎖してここに誘導するのはどう?」
そう言った榛名の場所を見るとそこは熊本県内の熱田神宮への道を封鎖してあえて大分に早く入れる亀石峠へと誘導することであった。
「ここの見晴らしはかなり良いから狙いやすい、だが接近戦の榛名はキツイかもね」
「どうゆうこと?」
「…まぁとりあえず俺が1発撃ち込んでその後は粘るだけよ」
そして俺と榛名は防具の手入れに入って当日を迎えた
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亀石峠を通る一台の車が道路の端に停車した、車の中からは大鉈を背負った大柄の男が出てきた。俺は思わずでけぇ…とこぼしそうになるが堪える。ちなみに俺は車から2m離れた位置の草に隠れている。
「ふぁ~…なかなかにいい景色じゃねぇかぁ、予定していた道が塞がれてこっちに来たがこりゃあ得したな」
大鉈を背に背負いながら大柄の男、青山大智は完全に亀石峠から見える絶景に見入っていた。自身の2m後ろの草にまさか狙おうとするものに気づいてはいないのだろうか、そう思いながら俺は銃口をゆっくり向けようとすると。
「お前もそう思わないか?兄ちゃんよぉ?」
「!?」
まさかバレているのか?いやそんなことはあるわけが…
「2m背後にいんだろぉ?火薬の匂いでわかるぜぇ。」
そう言われ流石にこれはバレていると判断した俺は立ち上がり姿を現す、青山は俺の方を向き背中に背負っている大鉈の柄に手をかける。
「坊主どうせお前は俺には勝てねぇ、今からでも遅くねぇから帰りなぁ、そしたら命だけは勘弁してやる。」
俺は沈黙のまま銃口を青山に向ける、青山は交戦するつもりだと読んだのだろう大鉈を取り出し地面に叩きつけた、凄い筋力だ…叩きつけられた地面はコンクリートであるにも関わらず大きな穴が空いておりその衝撃でヒビもこちら側まで届いている。
「小僧、その度胸に免じて名前名乗ってやる、俺は青山大智、大鉈使いのSランクハンターだ。」
「…五十嵐冬也、Cランクハンター」
俺が名を名乗ると青山は一瞬驚きの顔になり、吹き出した。
「はははっ!まさかAランクではなくてCランクか!なんの冗談だ!笑いすぎて腹が捩れるぜぇ!」
そう言うと青山は一瞬のうちに俺との距離を詰め、既に大鉈を振り下ろす態勢でいた、咄嗟の事で一瞬遅れるがバックステップで回避した。しかし振り下ろされ空を切った大鉈は地面を再び両断した、その衝撃で砂埃が舞い石のかけらが上から降り注いできた。
「避けれるか!ちったぁやるみてえだなぁ!」
「くっ…」
俺は砂埃で視界が悪い上に上から降り注いでくる石のせいで狙いが定まらず、あっという間にまた距離を潰された。
「オラァァ!」
今度は右に回避するように転ぶ、しかしその合間に青山は俺を左足で蹴り飛ばした。
「甘えんだよぉ小僧!」
「ぐっ!?」
俺は吹っ飛ばされた、だが距離を取ることができたためすぐに狙いを合わせて発砲する。しかし撃った弾は命中せず鉈で斬り伏せられてしまった、俺は何発も撃つも弾は全部鉈で斬り伏せられてしまいついに1発も当たらなかった。そしてリロードのタイミングを歴戦の猛者である青山は見逃す訳ともなく瞬時に俺との距離を再び潰した。
「これで終わりだぁ小僧!よくやったと思うぞぉ!」
そう言い鉈を横に振り薙ぎ両断しようとした、俺はすぐにバックステップで避けるも腹を少しばかり深く抉られてしまった。防具を付けているはずなのだがそれすらも簡単に貫通するほどの鋭さ…すぐに躱さなかったら死んでいただろうな…。しかしダメージを負ってしまったことにより状況がただでさえ有利な青山に向いてしまった。青山は視線を俺の後ろにやり薄ら笑みをさらに深くする。
「ほぉ?まさかお仲間かい?」
俺は後ろに目をやると待機させていた筈の榛名がレイピアを構えて立っていた。
「やっぱりこうなってた…ほら、2人がかりで行くよ」
「あぁ!ありがとう榛名!」
俺と榛名は構えを取ると青山が高笑いをする。
「ははははっ!!良いねぇ!やっぱりこうでなきゃなぁ!潰すのは1人じゃなくて2人でなきゃなぁ!!」
そう言い大鉈を軽く一周させて構える。
ちょっと亀石峠って日本に二つもあるのなんて聞いてないよ(知らんがな)




