第3章第4話〜初仕事〜
あの入隊試験から早くも2週間が経過した。あれから特に変わったことはなく俺はいつも通りに射撃訓練場で射撃練習をしていると小林さんが入ってきた。
「精が出るな、冬也」
「あ、小林さんお疲れ様です。」
軽い挨拶をしながら射撃の練習をし続けていると弾が切れ、リロードをしようと思いマガジンに手をかけようとした時だ。
「ヒナがお前を呼んでる、さっさと行きな」
「え?わ…分かりました」
俺はピストルをホルスターにしまうと射撃場を後にし、ヒナさんがいる執務室に入ると榛名もいた。
「来たわね、早速なんだけど2人には私と共に大分県についてきてもらうわ」
話がいきなりすぎてついていけない、なんで俺と榛名が?それになんで大分?
「ヒナさん…多分冬也困惑してますので根底の部分から話さないといけないかと…」
榛名の助言が通ったのかヒナさんは納得したように、「あー…」と言葉を漏らすと
「元々私と小林は東京から来たの、私は割と最近なんだけどね、理由としてここ九州地方のハンター内で内乱が起こっているから。」
「なんで内乱が起こってるんですか?」
同じ組織なら同じ目標があるはず、なのになんで味方同士で争ってるんだ?
「あなたを含む私達ハンターは皆ネオ・プリズムという組織に入っているの、そして本部が東京にあるの。そして北海道、東北地方、北陸地方、近畿地方、中国地方、九州地方にはそれぞれ支部があってそれを治めているリーダー的な存在がいるの」
「なら皆そのリーダーの指示に従えば良いのでは?」
リーダーがいるのに争う理由が見つからないし分からないんだが…俺の質問を聞いたヒナさんは首を横に張った。
「ううん…今九州地方にはそのリーダー格の人物がいないの、具体的に言えば数年前の妖怪との大規模な戦争で戦死してしまったらしくて、それで九州の支部は一時解体…というより自然消滅していったわ」
「後継とかすぐに決めたりしなかったんですか
だからか、でもそれだけなら話し合いでなんとか解決できるのでは?と俺が言おうとした時だった。
「今九州地方は無法地帯となっていて親方様でさえ従わせることができないの。それにこの九州のハンターの8割が上の指示に従うことすらしない荒くれ者。現に親方様直々の令を3度も無視している」
えぇ…それはその親方様とやらが不甲斐ない人なんじゃないの?と思ってしまう俺だがなんとかその言葉を飲み込む。
「…1度目は前の親方様が亡くなられてからすぐに後継として立てられたから、2度目と3度目は無視という形だったらしいのよ、無論内容も話し合いをしようと言う内容だったらしいのよ。」
なるほど、納得こそはしないけどそんな理由があったのか。
「そして今回は大分県のハンター代表がこちらの話を聞いてくれるらしくてね、互いに血を流さずに済むなら話し合いで解決したいってきたのよ」
あとから聞いた話によると大分県のハンター代表は先月代替わりをしたらしく前の代表は戦死したらしく、その下の配下の中で最も温厚で統率の優れ、人同士の争いを好まない人物が代表になったらしい。
「今私たちには長崎県のハンターもこっちの要望に応えてくれているけど、後ろ盾は多い方がいいからね。」
そう言うとヒナさんは立ち上がり俺たちに明後日出るから用意をしておいてと言い残し部屋を後にした。
そしてその当日、ヒナさんと榛名に連れられて大分県代表が持っている中津城内の応接間に通されていた。




