第2章第16話〜決着、そして〜
第2章最終回!
『ダーク・ホールド』
その瞬間俺以外の人間は皆、動かなくなった。
「…まさかとは思ってたけど本当にやるとはな…油断ならねえな。」
そして俺は周りを見渡す。
「林くん…1年ぶりに一緒に戦ったけど本当に強くなったね…君ならいつか俺を越す事ができるよ」
「忍…半ば強引に入れてしまったけどよくここまでついてきてくれた。感謝している。」
「樋口、あまり守山と忍を振り回すんじゃあねぇぞ」
「そして守山…君は本当に成長した、初めて会った時は俺のマナの圧にすらビビってたのに今じゃ立派に簡易治療を使えるまでになって…」
そして俺は守山の前に突っ立ってダガーを下ろそうとしている男に対して敵意を向ける。
「…残り2秒程度だからな取り敢えず俺からはその汚い物を持っている手は斬らせてもらうぜ。」
そう言い俺は山県の両手を刀で斬る、これで守山の胸を貫こうとするダガーが手から落ちる。
「…時間が動き始めたようだな。」
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ー視点・守山咲ー
私は勝利した感傷に浸ってしまい油断をして山県にダガーで胸を貫かれた…はずだった、何故ならいつの間にか間合いにいた渡辺さんが山県の両手を刀で斬ったためダガーは私の胸に当たらず足元へ落ちてきた。
「…へっ?……あがぁぁぁぁぁぁぁ!?私の手がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
突然の痛みと両手を失ったショックで山県は私に突貫することすらしなくなったと同時だった、山県の背後から十字槍を持ち鋭い目をした林さんが山県の首に目掛けて刃を下ろした。瞬間山県の首から鈍い音が聞こえたかと思えば首がこちらに転がり、首を失った胴体は力無く私の前に倒れ込み首があった所からは赤い鮮血が吹き出していた。
「…」
皆沈黙している、鼓膜を伝って聞こえるのは首なき胴体から流れる赤い水が畳に滲む微かな音と騒がしかったこの地を鎮めようとする微かな外の風であった。
「…帰ろうか。」
林さんがそう言うと渡辺さんが刀を背中の鞘にしまうと続くように私たちもそれぞれの武器をしまい、林さんは事前に用意していた首桶に山県の首を入れました。こうして私達の戦いは終わりを告げたのです。
その後東北の支配権を持っていたゴールドフールトランスは本部であったネオ・プリズムへの謀反計画がバレ解体…と言っても山県を始めとし山県の跡を継ぐほどの実力者達が先の戦いで渡辺さん単独によって全滅していたので問題にすらならなかったらしい、強すぎでしょあの人…そして現在は東北のハンター支配権は支部ではなく本部で管理するらしい。そして私達北海道ではまだ放出されてしまった妖怪や自然に生まれてしまった妖怪はいるのだがいずれも確認できているのは低ランクということで私達に討伐を任せるという事となった。…そして事が終われば自然とその時は来るのであった。
ー戦いから数週間後ー
「…本当に帰るのですか?」
「あぁ、目的は果たしたし、残っている妖怪も発生する妖怪もいずれも低ランク、俺たちが滞在する理由もない。」
そう、とうとう来てしまったのだ…林さんと渡辺さんとのお別れが。私の言葉に林さんは頷き答える。あの普段五月蝿い結衣すらも別れは辛いのか黙っていると忍が。
「また…会えますよね?」
と不安気に聞く、顔は仮面で隠れて見えないが悲しげな顔をしているのは分かる、すると渡辺さんが。
「あぁ、またいつか…絶対に会えると信じていたらな。」
彼は今まで見せたことのない微笑みで私達を見つめる、私はその顔をみて少しばかり安堵した。
「それに…これは勘だけど近いうちにまた会って戦えるっていう気がするんだわ。」
林さんがそう言う、本当にこの人にはお世話になった…蜘蛛人間から助けてもらったり…槍術を教えてもらったりと…今思えばこのほんの数ヶ月で私達はここまでになったんだなと思うもまだ実感が湧かない。
「…それじゃあ勝斗、俺達は…そろそろ帰ろうか」
「…あぁ…それじゃ、また」
そう言うと2人は荷物を持ってこの拠点を去って行ってしまった…。最後に見た2人の顔はまた会えると信じて笑顔でいた…私も笑えていたかな。2人には届いていたかな。それはもう私を見ていたあの2人にしか分からない。
「ほら、結衣、泣いてないで頑張るよ、せっかくこの拠点は林さんがくれたんだから。」
「うぅぅぅ…でもぉ…」
「…まぁ無理もない、泣き止むまでは俺がそばにいる。」
「…ま、忍が言うなら大丈夫かな。」
そう言って私は忍に結衣の介護を任せて拠点の清掃にはいることにした。
…またあの2人が帰ってきてもいいようにと信じて…。
第2章はこれにて完結とします。かなり長い期間待たせていたと思います、大変申し訳ございませんでした!実はかなり第2章は構成にかなり悩んでしまったり新生活がスタートしたりしたためこのような期間となっての製作となってしまいました。・°°・(>_<)・°°・。
ですがまだまだこの物語は終わらないので皆様には期待して待っていただけると幸いです!
それでは次は第3章でお会いいたしましょう!御精読頂きありがとうございました!




