第2章第15話〜vsレジェンド山県正俊〜
山県の横薙ぎによって振るわれたダガーの刃先が私の胸元まで迫ってきた。あぁ私はここまでか…。
次の瞬間、私の身体は宙に浮いておりダガーの刃が当たったような形跡はなくなんなら山県とは距離が離れていた。
「…なにぃ!?」
驚いた様子の山県の背後から光の剣が10本程山県に向かってきていた。山県は突然の不意打ちに驚きながら光の剣の猛攻を受けた。
「…間に合ったな」
私は所謂お姫様抱っこというのをされていた。そして今の声の出所は私を抱えている人…渡辺勝斗さんだった。
「馬鹿な!?いくらなんでも速すぎますよぉ!?」
「あんな烏合の衆如きで俺が手間取る訳ないだろ。」
さてと、と渡辺さんは私を下ろすと背中の刀を鞘から抜いた。
「山県正俊、今からでも遅くない投降しないか?ただでさえ俺達は人材不足なんだ、これ以上人材を減らしたくはない。」
渡辺さんは山県に話しかける、聞いた話でしかないが私達が入っているこの組織はかなりの人材不足らしい、さらには8人のレジェンドだから減らしたくはないのだろう。しかし山県から帰ってきたのは拒絶の言葉であった。
「尚更ですよぉ…今ここで投降してもいずれバイケルに殺される、ならば今寝返った方がいいのですよぉ」
そう言うと山県は渡辺さんに斬りかかる、渡辺さんは刀で受け止めながらも問う。
「じゃあなんで使役した妖怪を北海道に放ってんだ。お前らにはなんの利益も無いはずだが。」
「いーえぇありますともぉ、北海道を制覇すれば私はこの東北地方と北海道を有する力を持ち、貴方達ネオ・プリズムを落とし力が弱まった所を倒してバイケルの元で出世するのですよぉ!」
それは余りにも下卑た理由であった。
「もういい」
カァァン!と渡辺さんが勢いよく山県のダガーを弾き、距離を取り左手の平を前に突き出しエネルギー弾を発射した、しかし山県はマントの裾を持ち自身を覆うようにするとエネルギー弾を跳ね返した。
「…なるほどな」
そう呟きながら刀で跳ね返ったエネルギー弾を斬り裂いた。
「仲間を回復させる時間をあげましょう〜、是非皆さんで掛かってきてください〜?」
渡辺さんはその言葉を聞き暫く睨みつけていたが何もしてこない事を確認すると私達4人のところへ向かってきて手をかざした、無言で治療をしてくれている。
なんとか私達4人は戦えるようになった。
「…大丈夫?いけそ?」
私達に渡辺さんは無表情で聞いてきた、口調こそは優しめではあるのだが微かな怒りを感じる。
「今更ここまで来て引き返すなんてできるわけない」
「そうですよ」
「最後まで戦わせてください」
「ここまで来てNOなんて言えないですよ」
私達がそれぞれの回答を渡辺さんに伝えると渡辺さんは目を瞑り、はぁ、っと溜息をついた。
「見てたと思うがあいつは中・遠距離の攻撃がマントによって弾かれる、だがそれはマントを翻してから効力を発揮する、ならばマントを使えない状況にしてエネルギー弾や銃弾を撃ち込むしかない。だから守山、月見、樋口の3人は俺と共に近接戦で隙ができたら林くん、撃ち込んでくれ。」
「「「「了解!」」」」
そう言い私達は渡辺さんの後に続いて山県に斬りかかる、山県はダガーで渡辺さんの斬り込みを軌道をずらし交わすも、私のハルバードの突きは避けきれず左腹に切り傷を付け、追撃として結衣と忍の2人が飛び出ると山県はダガー一本でなんとか防ぐと、横から1発の銃弾が貫いた。
「…ふぅ」
林さんがグロックが山県の横腹に銃弾を撃ち込んだのだ、流石に頭に来たのか山県は怒ったような笑みを浮かべた。
「流石に頭に来ましたねぇ…消え失せなさい!」
『ハリケーン・バースト』
8つの嵐が私達に襲いかかってくる、先ほど私達はこれを防ぐ手段が無く無様にやられてしまった、゛先程は ゛
『スターダスト・シャワー』
渡辺さんの背後から無数のエネルギー弾が嵐に向かいそれぞれ暴発した。
『影討ち』
忍が山県の背後からいきなり現れ、斬ったと思ったらすぐに陰に消えていった。
「小癪な…!」
『風切り』
『百連槍・改』
必死の思いで繰り出した風切りも林さんの百連槍・改によって相殺されたその直後だった、渡辺さんが山県の懐にまで侵入していた。
「一回上に打ち上げてやるよ。」
『極炎刃』
刀身から出てきた炎が山県に火傷を与え、山県を上に斬り上げた、斬り上げられた山県が落下してくると結衣がフレイルを振り上げた。
『メテオブレイク』
結衣は思いっきりフレイルを振り下ろすと山県はダガーで防ぐも勢いが強すぎてそのまま床に強く激突した。
「守山!決めろ!」
林さんが私に荒げた声をかける、私は山県に向かって走っていきハルバードを構える。
『フレイムスラッシュ』
私は山県にハルバードで胸元を斬りつけると山県は血を吐き、倒れた。
「かはっ!…まさかぁ5対1はきつかったなぁ…」
勝った…!勝ったんだ!私の側に結衣と忍がやってきて喜び合う。
「…でもぉ…まだ終わらないですよぉ!!!」
そう言い山県はダガーを手に持ち力を込めて私に向かって突進してきた。
「せめてお前だけでもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
私達は咄嗟のことに対応ができなかった。
『ダーク・ホールド』
最期の最期で気力を振り絞った山県正俊…守山咲はどうなってしまったのか…次回…第2章最終回!!




