第2章第8話〜リベンジ初陣〜
渡辺さんにボコボコにされた私達はあれから1週間近く鍛錬を積み重ねた。鍛錬だけではなく、林さんと渡辺さん直々に武器にマナをどうやって篭めるのか、技の出し方、覚え方を学んだ。そして昨日林さんに執務室に呼ばれた私と結衣。
「前回はこちらの不手際という結果になってしまったが今回こそは大丈夫な筈だ、函館の港付近に妖怪が一体現れるという情報を得た、この討伐を守山咲、樋口結衣の2名に任命する。」
今回は函館か…それも港付近、かなり人も多いはずだ。結衣も同じだったのだろう、林さんに結衣が言う。
「すみませんが、近隣の住民や方々はどうすれば…」
「その点は大丈夫、既に俺と勝斗が注意喚起を出して人の立ち入りを止めている、今あそこは人1人すら探すのに苦労すると思うよ。」
そういえば、渡辺さんの姿がさっきから見当たらない。
「あー、勝斗なら今根室に行ってるよ、なんでもその妖怪を放ってる奴らのアジトを炙り出したから潰してくるってさ。」
さらっと言ってるけどだいぶイカれたこと言ってないこの人?いや潰すのはこの人じゃないけどさ。
「期限は明日から1週間以内での討伐とする、もし危うくなれば俺に連絡してくれ。前回みたいに都合よく勝斗が来るわけじゃないからな。」
まぁとにかく討伐に集中してくれ、と林さんに言われ、私達は礼をし部屋を後にした。
そして今に至る、函館の港付近を今は捜索しているのだが、意外にもすぐ見つかった。
「ぽぽぽぽ…」
あれ?なんかあれ見たことあるな…たしか八尺様ってやっだったか、よく聴く情報と見た目はそっくりそのまま同じだった。白い肌に麦わら帽子、そして何より目立つ八尺の丈、そりゃ目立つしすぐ見つかるわなと私は思いながらもゆっくりと大盾とハルバードを手に持つ、結衣も臨戦体制に入っているようだ。
「ぽぽぽぽ…」
奴が私の方に向かって腕を振り上げる、私は盾を前に出しそれを防ぐと同時。
(マナを籠める!)
盾を握っている手にマナを籠める、すると奴の手が盾と勢いよくぶつかるが衝撃すら来なかった。
結衣は既に奴の背後に周り、背中を取っている。
フレイルを勢いよく振り下ろし、背中に命中した。
背後からの急襲に奴はほんの少しだけ怯んだ、私はすかさずハルバードを前に突き出し、刺突をする、そしてマナを籠める!
『下天突き!』
刃が奴の腹を貫通した、やはりマナを籠めることで戦い易さが違う、これは渡辺さんが教えてくれた事だ。
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「いいか、君達は武器の扱うタイミングだけは良くできている、だが、それだけだ。」
「えっと…それはどういう?」
「簡単な事だ、子供が大人に向かって剣の形をした紙を叩きつけるのと同じ様なもんだ」
「要は雑魚って言いたいんですね…」
ちょっと言い過ぎではないのかこの人は…事実だけどさ。
「その紙だと思ってた剣が触れた途端、刃物に変わったら、触れた部分はどうなる?」
「え、血が出ます。」
何を言ってるんのだこの人、頭おかしくなったのではないのだろうか?
「そうだよな?ということはだ、当たるコンマ数秒の直前にマナを籠めれば相手は防ぐ為のマナを籠めて防ぐことが困難になる。」
ずっとマナを纏っている俺からしたら関係ないけど。
さりげなくすごいこと言うなこの人…それはそうとして言いたい事が分かってきた。
「つまり今からその鍛錬をするって事ですね?」
「そうだ、幸い君達は武器を使うタイミングは非常に良いからな、俺に一方的に攻撃してくると良い。安心しろ籠っているか否かはわかる。」
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(まだ突き技でしかマナを籠めれないけど、それでもかなりダメージを与えれてる)
私はハルバードを引き抜き、盾を構える、予想通り奴は私に腕を振り下ろすが私の盾で防がれた。防ぐと同時に結衣のフレイルが奴の頭部を既に捉えていた。




